虹裏img歴史資料館

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

21/07/17(土)00:15:39 一流と... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

画像ファイル名:1626448539283.jpg 21/07/17(土)00:15:39 No.824214567

一流というものがある それは読んで字の如く、その分野においての第一人者 或いは一つの流れといえるだろう それが大河であるのなら多くの幅と水量を誇る だが一方で下流に進めば進むほど支流が増え、枝分かれしていく では果たしてその源泉にあったものと海にほど近いそれは同じものと呼べるのだろうか?

1 21/07/17(土)00:15:54 No.824214654

「〇〇氏がお忍びで来日しているというのをキングヘイローさんはご存じですか?」 その日、見事な走りを見せ一着を決めたインタビューの際 とある記者からそんな質問が飛んできた 〇〇といえば海外でも著名なベテラントレーナーであり 数々のウマ娘を国内外問わず育成し、名バとして送り出した人物として知られている 「あら、初耳だけれど…それはどうして?」 「彼の育成バはまさにオールラウンダー。距離を問わず活躍していますから 己の一流の道を行かれるキングヘイローさんとしては気になるもではないかと思いまして」 「おーっほっほ!愚問ね、生憎とトレーナーなら間に合っているの」

2 21/07/17(土)00:16:21 No.824214819

いつもの調子で彼女が笑い出した所でその場はお開きとなり キングヘイローもまた、トレーナーと共にトレセン学園へと戻っていく 彼の運転する車に揺られる道すがら、王はインタビューの際の質問を思い出し トレーナーとの会話も上の空で何やら考え事をしていた

3 21/07/17(土)00:16:34 No.824214893

都内某所、とあるホテル その自動ドアが開き、顔を出した人物を見て受付のスタッフはおや、つい顔を見つめる 著名人が多く宿泊するホテルではあったがよもやこんな夜更け TVでも見かけた事のある者が来訪するとは思わなかったからだ しかし彼もプロであり、相手からの問い合わせには笑顔で答え接客する 「はい。畏まりました、念の為確認を取りますので少々お待ちください」 やがて内線で確認を取ったスタッフに案内され 最上階のスイーツの前で呼吸を整えた人物は部屋のドアをノックする

4 21/07/17(土)00:16:45 No.824214956

「おお、よく来たね。入り給え」 顔を出したのはベテラントレーナーの〇〇だった 彼に促されるまま入室した部屋はベッドライトに照らされ 外からはトレセン学園の様子も一望できるのが分かる 「ほら、いつまでそこで立っているのかな。さ、楽にしてかけてくれ」 人に穏やかな印象を持たせる警戒心を感じさせぬ微笑みを見せられ …一瞬の躊躇いの後、大きなソファへと腰かける その日、彼等の滞在する部屋の明かりは明け方まで消える事は無かった

5 21/07/17(土)00:17:07 No.824215095

数日後、キングヘイローは短距離のレースへと出バしていた グレードはGⅡ。しかしサクラバクシンオー、ニシノフラワーら強豪の姿も見える が、レースが開始してみれば王の圧勝だった 彼女の得意とする差しが冴え渡り 普段見せる最終コーナーからの稲妻のような電光石火の走りも 残り200mでの中位置からの加速も必要無く大差をつけての…一着 大歓声の中インタビューとウイニングライブを終えた彼女 レース場から出た所を出迎える者があった

6 21/07/17(土)00:17:29 No.824215237

「いや、素晴らしい走りだったなキングヘイロー」 拍手をしてみせた人物に周囲にいた報道陣がざわめく 「あれ…もしかして〇〇?」 「どうしてキングヘイローの所へ…」 「見事な『作戦』だったな。それを心から信じていなければあの動きはできない」 「あ、おいキング…」

7 21/07/17(土)00:17:45 No.824215338

褒め湛える彼へとトレーナーの横に立っていたキングヘイローが ずい、と進み出たかと思うとそしてビシィ!と指を差した 「お褒めに預かり光栄よミスター…けれど! この私、キングヘイローのパートナーはこの一流のトレーナーだけなの だからお生憎様。残念だけれど貴方のスカウトは受けれないわ 一生!一緒に歩んで行くと決めているのよ!おーっほっほっほ!」 「……」 呆気に取られる報道陣と〇〇。そして笑い疲れて息を切らすキングヘイロー やがて口元を歪ませたベテラントレーナーは噴き出し、笑い出した

8 21/07/17(土)00:17:55 No.824215407

「はっはっはっは!いやー…本当に面白い子だなおい馬鹿弟子よ」 「でしょう?それと賭けは俺の勝ちですね。例のお酒お願いしますよ」 「仕方あるまい…まさか話していた通りの事を言い出すとはな」 「えっ…え?ちょっとトレーナー。何?この人と知り合いなの?」 「ああ、俺の師匠だ師匠」 「聞いてないんだけど!?」 「俺のトレーナーが有名人と知ったら君のお母さんの事もある。余計に面倒だと思ってな」 「いつもうちの弟子が世話になっているね、キング いやあ普段こいつから君の事は色々聞いていたんだがつい直接二人を見たくなってね それで日本くんだりまで来てみれば久々に会ったというのに ホテルで飲んでてもこいつは君の話ばっかりなんだよ」 「あ、それはどうも…じゃあ、私をスカウトに来たりとかでは」 「違う違う」 「なんだやっぱり俺よりも師匠がいいのか?そりゃ師匠はすげーけどさ!」

9 21/07/17(土)00:18:06 No.824215479

「……」 やがて口をパクパクしながら報道陣のフラッシュを浴びていたキングヘイローだったが 絞り出すようにトレーナーへ向け「おばか!」と叫んだ

10 21/07/17(土)00:18:19 No.824215572

一流というものがある それは読んで字の如く、その分野においての第一人者 或いは一つの流れといえるだろう それが大河であるのなら多くの幅と水量を誇る だが一方で下流に進めば進むほど支流が増え、枝分かれしていく では果たしてその源泉にあったものと海にほど近いそれは同じものと呼べるのだろうか? …結論から言えば、分からない 源泉を流れ出たソレは質を変え、それでも流れるままやがては大海へと至る 本来それを為していた物は間違いなく存在するのだが 探し出す事は困難である。つまりは一度出した言葉は形を変えようと戻らない

11 <a href="mailto:オワリ">21/07/17(土)00:18:36</a> [オワリ] No.824215668

『一流ウマ娘、キングヘイロー。担当にプロポーズ』 そんな見出しが翌朝の新聞を飾り 各方面からの問い合わせに王は彼女のトレーナー共々頭を痛める事になったという。

12 21/07/17(土)00:22:07 No.824216958

>『一流ウマ娘、キングヘイロー。担当にプロポーズ』 ...まあ時間の問題だったろうし

↑Top