21/07/15(木)19:36:32 こいつ... のスレッド詳細
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21/07/15(木)19:36:32 No.823779939
こいつに対する対応がわかってきたような気がする。 まず一つ、挨拶は要らない。遠慮なく隣に腰掛ける。 「タキオンの件お疲れさん。」 「頼まれて、出来る事をやっただけだ。」 「おかげでやっこさん、このあいだの中日新聞杯で大差つけて圧勝だ。来年は確実にG1に出てくるだろうなありゃ。恨むぜ、強豪バを生み出しやがって。」 「埋もれるには惜しい素質を掘り出したまでのこと、後の結果は本人とトレーナーの努力に集約される。」 「どうあっても責任は負わねえってか。」 「負けた時の保険に私を使うのはやめろ。」 「言うじゃねぇか。」 ちょっとしたじゃれ合いを済ませて、レース展開を見守る。
1 21/07/15(木)19:36:56 No.823780060
雨が降ってて不良バ場以外は菊花賞の焼き直しみたいなもんだ。先頭をマヤノが、逃げの最後尾にテイオーがくっついている。 だが今日は神様に祈る必要はない、十字架もバッグん中に置いてきた。
2 21/07/15(木)19:37:01 No.823780086
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3 21/07/15(木)19:37:11 No.823780125
「天は俺たちに味方したようだな、この雨じゃレーダーの精度も下がるだろ。」 「否定はしない。」 「なら俺たちの勝ちだ、賭けてもいいぜ。」 懐の箱から煙草を一本抜き出し、空中で振って火を点ける。加えて大きく吸い込むといがらっぽい香りが体内を満たす。 「賭けは嫌いだ。煙草もな。」 天井の換気口に向けて吐き出す。香りがついただけの吐息。 「足を折るか勝つかの賭けをやった奴のセリフとは思えねぇな。俺は両方とも好きだぜ、それにこいつは無煙（モスレク）だ、そう目くじらたてんなよ。」 「…ふん。マヤノトップガン、仕込んだな。」 先頭集団を写すホロヴィジョンを睨みながらつぶやく仏頂面、種はもう割れちまったか。
4 21/07/15(木)19:37:59 No.823780364
マヤノはテイオーが壁にしている3番を中心にした対角線上を走っている、そうすればテイオーには自分が壁にしている3番の足音がジャマーになっちまう、ついでに今日の方針は大逃げだ、距離の二乗に比例して減衰した音はもうテイオーに届かない。 「これでも元エアフォースだ、レーダー対策ならダース単位で知ってる。今回の作戦は名付けてオペレーション・マグナム、今日はこのまま逃げ切らせてもらうぜ。」 カリッ、と小さい音が響き。奴が爪を噛む。 「いや、勝てる。テイオーは勝つ、私は、信じている。」 嘘が下手だな、と口に出すのは野暮か。あるいは自分で嘘と気づいていないのか。 そいつは信頼じゃなくて祈りだぜ、負けるのが分かってて、それでもってすがりつく顔だ。 丁度、菊花賞ン時の俺の顔だ。
5 21/07/15(木)19:38:30 No.823780527
……⏰…… 「トレーナー、ごめん……。追いつけ、なかった……ううん、影も踏めなかった、最後までマヤノが、どこに居るのかもわからなかった……。」 「私も謝ることがある。私は途中で諦めていた、お前が必死に走っているのを見ていて、普段の頑張りを見ていて尚、今日は勝てないと理解してしまった。」 「……トレーナー……。」 「だがそれは今日だけだ、お前自身を諦めたわけではない。3年目だが、2つ、プランがある。一つはマヤノトップガンと、頭角を現し始めたアグネスタキオンとかち合うのを避けてG1を狙い、7冠を「そんなの絶対ヤだ！」