21/07/14(水)00:21:04 「ウチ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1626189664288.jpg 21/07/14(水)00:21:04 No.823263482
「ウチのイナズマステップでヒイヒイ言わせたるでぇ……!」 そう言ったタマモクロスの姿を思い出しつつ、オグリキャップはベッドで仰向けになるタマモクロスを眺めていた。 ホテルの中は、酷く蒸している。室内を満たす空気は真夏のように重く、呼吸さえ薄くなる。窓は無く、換気の設備は申し訳程度。酸素は減る一方で、もう理性とか倫理とか、そういった面倒くさいのは全部熱に融けてしまった。 タマモクロスの顔はよく見えない。 明かりを消して、ぼんやりと輪郭だけが、朧気ながらに捉えられる。 一回り小さいからだ。あの頃から変わらない細い腕。その腕を汗と涙に濡らしながら、まるで幼子のように顔を塞いでいる。纏っていたシャツは色が鈍くなっており、なんだか溺れたみたい。
1 21/07/14(水)00:21:21 No.823263572
かれこれ十分、タマモクロスは小鹿のように震えながら、泣いているんだかよく分からない声を、擦り切れそうなほど小さく――繰り返していた。 ターフを駆ける勇ましさも、ふだんの鋭いツッコミも今のタマモクロスからは何一つ感じられない。つん、と指先でつつけば、また赤子のようにシーツを濡らしてしまうのだろう。 その弱々しさが、たまらなく惜しい。 だからオグリキャップはタマモクロスの肢体を抑えながら、じっと見続けている。 言葉は分からない。 ただ――こうしているのが一番気持ちがいいと、なんとなく分かっている。 下腹部の刺激や鈍痛のことではない。 タマモクロスは身動き一つ取れず、言葉を発する体力さえ残されていない。
2 21/07/14(水)00:21:59 No.823263743
もしここでまたオグリキャップが腰を持ち上げたら、タマモクロスは残された一滴を、また私の中へと溢すだろう。 だから抜かない。でも、抜いてもいい。 決めるのはオグリキャップだ。 その現実にオグリキャップの頬は酷く熱を帯びて、唇から白い息が漏れる。 「ああ――」 ゆっくりとタマモクロスの手に、自らの手を重ねた。 自分とは違う体温は不思議と暖かくて、なんだかやさしい。 タマモクロスが怯えた目が、手の隙間から覗いてみえた。
3 21/07/14(水)00:22:22 No.823263867
それが欲しい。 オグリキャップが身体を重ねようと姿勢をずらす。 粘液の混ざる音と、タマモクロスの呼吸が重なる。 必然、オグリキャップの意思とは別に腰が動いてしまった。 くぅ――と仔犬のような声が漏れた。 タマモクロスだ。 オグリキャップは少しだけ腕に力を込めて、タマモクロスの顔から腕を退かす。 はずかしいから隠そうとか、逃げようとか、だめだから。 それでもタマモクロスは目を瞑って、顔までそむけてしまう。
4 21/07/14(水)00:22:47 No.823264009
その反抗的な姿が、やっぱり愛おしい。 誰にも見せない、自分だけのタマモクロスだ。 オグリキャップは両手を抑えていた手を放して、今度はタマモクロスの両頬へと手を伸ばす。柔らかい赤ちゃんみたいな頬は、とても美味しそう。 だから一口に飲みほしてしまいたくて、オグリキャップは自らの唇を――タマモクロスの唇に重ねた。 恋人らしい口づけなんかじゃない。 タマモクロスの呼吸を遮るように、全身を重しにして抑え付ける。動きを封じようと、両手を背中に回して力をこめた。
5 21/07/14(水)00:23:02 No.823264094
力任せの抱擁に、タマモクロスが足先をバタバタと動かす。 必死に離れようと暴れるけれど、そんなのはオグリキャップには関係が無い。 ほとんど暴力的に舌を潜らせれば、荒い息が鼻腔に触れた。 饐えた汗と酸っぱい香りは、ひどく下品で、かっこう悪い。それなのにオグリキャップは好きだった。 ああ、私は今わるいことをしている。 オグリキャップは、そう思いながらも、タマモクロスを離すつもりは無い。 繰り返し舌を重ね、潜らせ、ほんの一瞬だけ息を吸わせて――また塞ぐ。 互いの色が、香りが――その繰り返しの中で一つになって、だんだんと均一化されていく。これが溶けあうという事なのだろう。 遠くから――鳥のさえずりが聞こえ始めていた。
6 21/07/14(水)00:23:20 No.823264193
◆ 「なるほど、君はタマモクロスのタマとクロスして、たまごクラブひよこクラブとなった訳だ……!」 トレセン学園理事長室に夕明かりが差し込む。 初夏を前にした温もりに、部屋はぼんやりと熱を帯びている。 オグリキャップは来客用のソファに身体を任せつつ、傍らのタマモクロスを見た。両手で顔を塞いで、みみまで赤い。 一方のシンボリルドルフと言えば、くすくすと満足そうに笑っている。 「アグネスタキオンに感謝しないといけない。会長――ああ、いや……今は理事長だったか。連絡先とか聞いていないだろうか……」
7 21/07/14(水)00:23:32 No.823264248
事の発端はアグネスタキオンなのだが、その消息は杳として知れない。 噂によれば国立の医大だか、アメリカの製薬会社でウマ娘の遺伝子研究をしているとか。 最後に出会ったのは半年ほど前で、オグリキャップの元を訪ねるなり一つの薬を預けられた。スーパークリークに渡してほしいと言われてのことだったが、当然――出会えるはずもない。そうして棚に保管しているうちに、タマモクロスが風邪薬と間違えて飲んでしまった。 「すまない……」 シンボリルドルフが顔を振った。 「彼女については何度か訪ねられていてね、私も気にはかけているんだが、もし分かったら連絡を入れよう」 「ありがとう……!」 タマモクロスの携帯電話が鳴っていた。
8 21/07/14(水)00:23:45 No.823264309
おわり
9 21/07/14(水)00:25:39 No.823264931
会長のダジャレが酷いことになってる
10 21/07/14(水)00:27:40 No.823265550
こんな色っぽい塗れ場だったのになんつー下世話なダジャレ!
11 21/07/14(水)00:33:43 No.823267320
オチがまた不穏だな…
12 21/07/14(水)00:39:04 No.823269002
もしやコレいつかのオグリとオグリトレーナーが再開した時にタマとの仔を身籠ってたカミングアウトをする怪文書の人か…
13 <a href="mailto:s">21/07/14(水)00:41:29</a> [s] No.823269657
そうですそうです!
14 21/07/14(水)00:45:30 No.823270898
序文のタマの台詞からは考えられんような叙情的な濡れ場でダメだった
15 21/07/14(水)00:50:43 No.823272422
語感が完璧すぎるよタマモクロスたまごクラブ