虹裏img歴史資料館

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21/07/09(金)23:41:03 「芽衣... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1625841663635.jpg 21/07/09(金)23:41:03 No.821796505

「芽衣がウチに?」  7月7日、いわゆる七夕の日だが星見プロにとってはもうひとつ、月のテンペストの元気担当の早坂芽衣の誕生日だという側面の方が大きい。  事務所で誕生日用に購入しておいた好物であるドーナツを渡すと満面の笑みで駆け出して行ったことがつい先程のことのように思える 『多分ですけど…寮で誕生日会をしてた時は変なところはなかったと思うんですけど…』  心配そうな声音の琴乃はそう話す。話を聞くとレッスン後に月のテンペストとサニーピースのみんなでちょっとしたパーティーをリビングでやっていたようだ 『芽衣、牧野さんに貰ったドーナツも嬉しそうに食べてたんですけど……そういえば牧野さん、芽衣に電話ってかけ直してくれましたか?あの子何度も電話してたみたいなんです』 「電話…いや、芽衣から電話はなかったと思うけど」 『えっそうなんですか?あの子愚痴ってましたよ。牧野さんが芽衣の電話無視するーって』 「もしかして…それで俺の家に行ってるって思ったのか」 『はい。笑ってましたけどちょっとだけいつもの芽衣より元気がなかったような気がして…そのあと出掛けてくるって言われたら牧野さんのとこかなって』

1 21/07/09(金)23:41:31 No.821796698

 星見プロが東京に活動の拠点を移したことで、アイドルの皆もそっちの寮での生活が増えている。当然俺もマネージャーとして寮からそう遠くない場所に居を構えることになったのだが……。 「分かった。今日はもう上がることにしよう。わざわざ電話してくれてありがとう、琴乃」 『いっいえ、リーダーとして当然ですっ』 「これから戻ってみるから、また後で連絡する」  芽衣はちょっと動きが読めないところはあるが、周りのことも明るくしてくれる良い子だ。既に時刻も夜な事も考えると、早めに彼女を見つけ出さねければ…。  家路を急ぎ足で戻る最中、彼女の携帯に何度かコールを飛ばしてみたがいずれも留守番電話の自動メッセージが帰ってくるのみ。本当に俺の家に来ているかも分からないため、徐々に不安な気持ちが強くなってくる。駆け出しとはいえ彼女もアイドル。見た目は間違いなく可愛いし、危険な目にあってはいないだろうかと、心配が募ってしまうのも当然だった。  駅から少し歩いた住宅街、主に単身者向けの物件の並ぶ通りに俺の家はある。少しは見慣れてきた東京の町並みを早足で駆け抜けると、懸案の少女はリーダーの予想通りにそこに居た

2 21/07/09(金)23:42:18 No.821797007

「芽、衣っ…」彼女を視界に捉えた後は思わず走り出してしまい、肺が空気を求めているせいか上手く言葉が出てこない。 「ほん、とに、ウチ、来てたんだな」 「…牧野さん」  生け垣の縁に腰掛けたその少女は、少し不機嫌そうな、そして泣きそうな表情で俺を見つめていた。 「牧野さんっ!」息を整えようとした瞬間、芽衣はワッと立ち上がると胸に飛びついてきてしまった。 「ちょ、芽衣。離れて離れて!落ちついて!」 「良かった…良かった…!芽衣また…また…っ」  アイドルが男の胸に飛び込んで離れない。それだけで引っ剥がす十分な理由があった。だが俺は芽衣を引き剥がす事ができなかった。彼女が顔を擦り付けてきたシャツが、湿って行くのが分かってしまったからだ。  通行人は居なかったはずだが、こんな状況を往来の視線がある場所で続けるわけにも行かず、俺は芽衣をひとまず部屋に入れてしまうことにした。  ドアを開けてもまだキツく抱きしめてくる芽衣をなんとか宥めて部屋に上げる。男の一人暮らしの例に違わず、そこら中に洗濯物が干しっぱなしの状況だが、これよりも先に片付けなければならないのが、黙ったままの芽衣だった

3 21/07/09(金)23:42:45 No.821797191

『ああ、琴乃の言う通りウチに来てたよ。とりあえず落ち着くまではこっちで見ておくから心配しないでくれ』 『良かった…。まあ牧野さんですから心配はしていませんけど、誤解されるようなことは控えてくださいね!』  釘を刺して来る琴乃のその後ろからは、禁断の恋!やっぱりあの2人って…!など渚やすずと思わしき声があらぬ方向へと想像を繰り広げているところが漏れ聞こえていた。もちろんそんなことにはならないが。 「芽衣…」 「ごめんなさい」 「いや、こっちこそごめん。電話してくれてたんだってな。琴乃に聞いたよ」 「……」  芽衣はまだ話をしてくれる状態ではない様子だ。こんな時にあいつが居てくれれば…とないものねだりをしそうになる頭を振る。たしか紅茶くらいならあったはずだ。  マグカップを差し出すと、芽衣はおずおずとだがそれを受け取り、ちびちびと口を付けてくれた。それからしばらくはカップを置く音、ふぅふぅと啜る音が、1Kのさほど広くもない部屋に響くだけだった  そろそろ紅茶も飲み終わりそうな頃、ベッドに腰掛けた芽衣はようやく口を開いてくれた。

4 21/07/09(金)23:43:16 No.821797408

「……芽衣ね、牧野さんにドーナツ貰って、すっごく嬉しかった」  霊が見える体質が悪い方向に作用して、これまで人付き合いが希薄だったこと。麻奈に憑かれていた俺が初めて他の幽霊の見える人だったこと…芽衣のこれまでについては、あいつが消えた後に彼女から少し聞くことがあった。 「家族以外からの誕生日プレゼントって、貰ったこと無かったし。月ストの皆も、サニピも、トリエルとリズノワの皆にも祝ってもらえて、芽衣すっごく嬉しかった」 「それでね、その事を伝えたかっただけなの。でも何回かけても繋がらなくて…それにいつもならすぐに返してくれるのに何もないから……ちょっと不安になっちゃったんだ」 「牧野さんがいなくなったら…芽衣また置いてかれちゃうのかなって……」  涙を目にたたえながら、芽衣は溜まった気持ちを少しづつ吐き出してくれた。いくら寮生活で皆と一緒にいるとは言え、星見市から東京という大きな環境の変化に緊張が溜まっていたのかもしれない。 「芽衣……」 「ごめん、なさいっ…!」

5 21/07/09(金)23:43:42 No.821797554

怪文書!?

6 21/07/09(金)23:43:49 No.821797597

 芽衣はベッドから座椅子に座る俺の前に来ると、また抱きついてきた。関係を考えれば、振りほどかなくてはいけなかった。だが胸に顔を押し当てて嗚咽をあげる芽衣を見てしまうと、とてもそんなことはできなかった。  やがて芽衣は泣きつかれてしまったのか、寝息を立て始めた。俺はマネージャー俺はマネージャーと念仏のように唱えつつ抱え上げてからベッドに寝かす。目尻には涙の跡が残っており、やっと落ちついた彼女を起こすつもりにもなれなかった。 『遥子さん? ええはい、芽衣はなんとか落ちついてくれたんですが寝てしまって…どうしたものかと』 『芽衣ちゃんもストレス溜まってたのかしらね…。いいんじゃない?そのまま寝かせてあげれば。君が担当アイドルに手を出すようなわる~いマネージャーさんじゃないってことはみんな分かってるんだし』 『いやまあ確かに問題になるようなことはしませんけど……。みんなは?』 『んー…………月ストの子たちは良いって言ってるわね。沙季ちゃんも“今日だけは”大目に見てくれるって』 『はは…』  芽衣ちゃんのことお願いね。そうエールを受け、電話は途切れた。

7 21/07/09(金)23:45:24 No.821798134

書いたのか……

8 21/07/09(金)23:45:48 No.821798266

「芽衣!起きろ遅刻するぞ!」 「ぅん……あと少し……って、えっ!?ま牧野さん!?」 「悪い、急に先方から連絡があったから俺はもう事務所行ってくる。冷蔵庫の中にあるものなら食べていいから!あとシャワーとか浴びたければ好きに使ってくれ」 「え、えっと」 「遅刻しないように!」  まくしたてるようにバタン!とドアが閉じられる。寝起きの回転しない頭で捉えられるのは、寮の誰の部屋でもない、男性の自室  じわじわと昨夜の出来事が脳裏に浮かび上がってくる。泣きはらして、牧野さんに抱きついて……恥ずかしさがこみ上げてきて泣きそうだ 「芽衣…牧野さんの部屋で寝ちゃったんだ…」  恥ずかしさに布団を被ってうずくまる。しかし、あの人の匂いに包まれることになってしまい、更に頭が働かない 「もう芽衣だめかも…」  7月8日、今日は学校だ。寮に戻る暇も無い。そんな言い訳があたまのなかを駆け巡る  沸騰しそうな恥ずかしさのまま、汗でベタついた身体を綺麗にするため、シャワーを借りることにした。案外、いやあの人なら当然かと思える清潔にされたシャワールーム。タオル類は気を使ってくれたのか全て洗面台付近に纏められていた

9 21/07/09(金)23:45:52 No.821798291

アイプラ怪文書初めて見た…

10 <a href="mailto:おわり">21/07/09(金)23:46:35</a> [おわり] No.821798540

 仕方ないよね…芽衣アイドルだし…汗臭いまま学校に行けないもん」  仕方ない。そう仕方ないのだ。マネージャーの部屋のシャワーを借りたことも、シワだらけになったシャツで学校に向かってしまうのを避けるために、干されていた牧野さんのYシャツを借りていくことも。全て仕方ないこと。  自己弁護でわけが分からなくなりつつ、いつもとは違った匂いを纏ってドアを開ける。誕生日は終わってしまったけれど、良い一日になりそう。そんな予感がした。 ──月ストLINE 沙季『芽衣ちゃん昨日は大丈夫だった?』 『うん、皆心配させちゃってごめんなさい!』芽衣 琴乃『牧野さんは?』     『お仕事って先に出ていっちゃった』芽衣 沙季『一応聞くけど変なことはなかったのよね?』                『ナイヨー』芽衣            『優しくしてくれた』芽衣         『なんかいい匂いだった!』芽衣   ─沙季がグループを脱退しました─

11 21/07/09(金)23:47:47 No.821799003

怪文書初めて見た

12 21/07/09(金)23:49:41 No.821799648

しっとりしたmayちゃんありがたい… 姉石はちょっと落ち着いて

13 21/07/09(金)23:50:16 No.821799874

ゲス…

14 <a href="mailto:s">21/07/09(金)23:51:10</a> [s] No.821800217

芽衣ちゃんはもっと気軽に牧野くんへ闇を見せつけていくべきだと思う

15 21/07/09(金)23:53:43 No.821801102

やっぱり電話繋がらないの霊障か…

16 21/07/10(土)00:00:36 No.821803476

牧野くんのYシャツ借りるのいい…

17 21/07/10(土)00:04:37 No.821804840

ゲス野郎が… やはり管理しなければ

18 21/07/10(土)00:17:23 No.821809541

牧野くんには責任とってほしい

19 21/07/10(土)00:19:59 No.821810531

牧野さんの匂いが染み付いた布団に包まれてちょっとエッチな気分になってほしい

20 21/07/10(土)00:27:49 No.821813549

牧野君は紳士だな

21 21/07/10(土)00:31:23 No.821814951

>牧野さんの匂いが染み付いた布団に包まれてちょっとエッチな気分になってほしい そのままオナニーして遅刻して欲しい

22 <a href="mailto:s">21/07/10(土)00:36:53</a> [s] No.821817049

ちょっと直した fu148594.pdf

23 21/07/10(土)00:40:26 No.821818402

これは…ありがたい

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