虹裏img歴史資料館

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21/07/08(木)18:09:46 「トレ... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1625735386867.jpg 21/07/08(木)18:09:46 No.821338424

「トレーナーさーん、こっちこっち~」 「はぁ…はぁ……ちょっとは加減してくれよ……」 虫がざわめき、草木が萌ゆる夏の山。どうしても見せたいものがあると言ってきかない彼女について俺は山道を歩いていた。 分け入っても分け入ってもとはよく言ったものだと、火山のように噴き出す草をかき分けていると思う。 「ったく、せっかく合宿の休みだってのに……」 「にゃはは~、まあまあ。後悔はさせませんから~」 そういいながらもスイスイと進んでいく彼女を見失わないので精一杯だ。汗が張り付いて気持ち悪い。 夢中で手足を動かしもがくように進んでいると、何かを蹴飛ばしてしまった。

1 21/07/08(木)18:10:07 No.821338514

「……カラーコーン?」 背の高い雑草に隠れるように、プラスチックの赤が土けて倒れていた。 こんな自然の体現みたいな場所に、コテコテの人工物があるのが何だか気味が悪くて、逃げるように彼女についていった。

2 21/07/08(木)18:10:27 No.821338610

「じゃーん、ここでーす」 「ただの洞窟じゃないか……」 麦わら帽を首にかけ得意げに示すそこは単なる洞窟にしかみえなかった。暑い。 「そもそもなんでこんなところまで来たんだよお前……いくら過ごし方は自由と言ってもなぁ」 「やだな~穴場の釣りスポット探してただけですって。まあもっと面白いものが見つかりましたけど」 そう言って彼女はずかずか踏み入ってしまった。 「おい、まっ────」 慌てて追いかけようとすると何かにつんのめった。よく見ると何か棒のようなものが地面に半分埋まっている。 土を手で払い、近くの小石で軽く掘り下げてみた。

3 21/07/08(木)18:10:47 No.821338687

「標識……」 錆び朽ちてボロボロの棒の先、茂みに隠れていたそれは黄色地にエクスクラメーションマークだけが印字されていた。 「……」 さっきのカラーコーンも、この標識も、こんな山奥にそぐうとは言い難いものばかり。 背を何かに舐められるような、そんな不気味さが纏わりついて、駆け足で彼女を追いかけた。 蒸し暑い。しかし不快感以上に得体の知れない感覚から逃れたい気持ちの方が強い。 「スカイ……!スカイ……!!」 「うーん、この辺にあったはずなんだけど……」 「おいスカイったら!」 「なになにトレーナーさん、もしやビビってます~?」 ぬらぬら光る壁を観察していた彼女に、もう帰ろうと提案してもなかなか譲らない。なかなか乾かない汗をぐしゃぐしゃのタオルで拭う。不快感は拭えない。

4 21/07/08(木)18:11:00 No.821338749

「そんなに何を探してるんだよ……!」 「いやね?この辺にぱくぱく動く穴があったと────うひゃぁ!?」 こちらには目もくれず壁を探っていた彼女の姿が突如消えた。消えたのではなく、下に落ちた。 「穴……!?ああもうよそ見してるから……!」 彼女が消えたあたりまでわずかな光を頼りに進む。疲れていたので壁に少しもたれかかろうと手を触れた。

5 21/07/08(木)18:11:13 No.821338792

ぬるり およそ岩壁とは思えない感触に体が飛び退く。着いた手は生暖かい、ちょうど涎くらいのもので濡れていた。そこでようやく、違和感の正体に気づいた。 洞窟だというのに蒸し暑過ぎる。普通は太陽光を遮るので蒸れてはいても暑くはない。かといって近くにマグマでもあるような、そんな鋭い熱ではない。 ちょうど、今吐いた息のように、ぬるくて 「スカイっ……!」 嫌悪と恐怖が臨界に近づく。それでも担当だけは連れて帰らねばならない、そんな義務感が脚を動かす。 彼女が落ちた穴らしきものを見つけた。引き上げて早く帰ろう。そしたら理事長に進言してこの山を立ち入り禁止にしてもらわなくてはいけないこんな不気味な箇所が存在してる事実にすら耐えられ

6 21/07/08(木)18:11:25 No.821338840

ぬちりと穴に手を着いた。 「あ”」

7 21/07/08(木)18:11:38 No.821338898

それからのことはよく覚えていない。気づけば俺はたづなさんに背中をさすられて、そこは合宿所の浜辺だった。潮風が心地よかったことはよく覚えている。 セイウンスカイの失踪により合宿は中断。捜索隊に加わり山じゅうを探し回っても彼女どころか彼女が楽しそうに案内してくれたあの洞窟すら見つからなかった。 俺はトレセンを辞め、今はフリーのライターをしている。題材はもっぱら山の景色だ。仕事の合間にあの洞窟を探すのがライフワークである。 いつかあの洞窟を見つけたら、こんどはちゃんと友人を連れて行こう。でないと、一人で呑まれてしまうかもしれないだろう?

8 <a href="mailto:おしまい">21/07/08(木)18:12:09</a> [おしまい] No.821339041

おしまい

9 21/07/08(木)18:12:16 No.821339078

セイちゃんなんで怪異に遭遇してしまうん…

10 21/07/08(木)18:18:17 No.821340817

ヒッ

11 21/07/08(木)18:19:16 No.821341089

ワームかなにかで?

12 21/07/08(木)18:19:33 No.821341180

セイちゃんがまた失踪してる…

13 21/07/08(木)18:19:47 No.821341242

さながら食虫植物のような

14 21/07/08(木)18:27:18 No.821343401

ヤツメ穴...?

15 21/07/08(木)18:27:55 No.821343545

なにこの…なに?

16 21/07/08(木)18:38:13 No.821346540

怖くなって帰りました…嫌な気分になりました…ってか

17 21/07/08(木)18:59:43 No.821352765

床の大きな穴に気がつかず 床の穴から助けようとして 落ちて体が溶けました 穴を覗いたら溶けていた

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