21/07/05(月)02:24:24 ※ウマネ... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1625419464830.png 21/07/05(月)02:24:24 No.820244478
※ウマネストネタで若干の性的表現が含まれます。ご了承いただける方のみお読みください。
1 <a href="mailto:1/?">21/07/05(月)02:25:09</a> [1/?] No.820244567
「ウマネスト、ですか?」 「左様ッ!」 ドヤ顔で扇子を振るちびっこ理事長──さすがに僕の方がちょっとだけ背が高い──に、ダイヤと顔を見合わせる。彼女の隣には、呆れ顔のたづなさんの姿。 「すみません、理事長はいつも説明不足で…ウマネストというのはFDVRMMO、いわゆる『完全没入型体感アドベンチャー』というものです。プレイヤーは脳波を解析、信号をリアルタイムで同期することで、操縦席にいながらあたかも別の世界に入り込んだかのような体験を味わえます」 「へぇー…そうなんだ」 「へぇー…そうなんですか」 二人揃って、分かったような分かってないような。ダイヤは言わずもがなの世間知らずだし、僕だってこういう…ゲーム?ハイテク?の分野には詳しくない。そういえばテイオーちゃんのトレーナー、結構ゲームするとか言ってたけど、あいつなら理解できるんだろうか。 ぽかんとする僕らをよそに、理事長が説明を引き継いだ。 「依頼ッ!君たち2人には、動作テストの一環として『体感時間設定の変更機能』を体験してもらうッ!」
2 <a href="mailto:2/?">21/07/05(月)02:25:31</a> [2/?] No.820244618
「要するに、実際のプレイ時間とゲーム内の体感時間のズレを意図的に発生させた場合、それがヒトとウマ娘それぞれの身体に与える影響を調査するというものです。実現すれば、喩えば1時間だけ息抜きをしたのに、ゲーム内の体感では3時間たっぷり遊んで満足…といったことが実現できます」 「万全ッ!もちろんこの1時間、体調の変化はモニタリングしバイタルに変化があった場合はすぐに実験を中止するし周囲には保険医等医療スタッフも配備するッ!君たちは安心してテストプレイに励みたまえッ!」 「無論、時差ボケ等諸々の問題が発生することは想定しています。ですので、今回は極力ズレを小さくし、60分の利用で体感90分…1.5倍に引き伸ばすのみとします。安心してテストプレイに臨んでください」 「おー…」 言ってることがほとんど分からないけど、要するに余暇を効率的に使えるということだろうか。良い技術だと思うけど、何がなんだか分からないのでなんとなくのニュアンスでしか話が理解できない。 あとそんなに「安心」を強調されるとちょっと怖い。
3 <a href="mailto:3/?">21/07/05(月)02:27:14</a> [3/?] No.820244886
ともあれ、日頃理事長にもたづなさんにもよくお世話になっているため、こうして依頼をされたのならできるだけ協力してあげたいと思うのが人情。僕とダイヤはゴーグルその他の機材をつけ、カプセルのようになった座席に搭乗する。 「んしょ…ダイヤさん、もしかして『また』サイズ変わりましたか?」 「ふふ…そうなんです♥実は先日、バストがついに100cm超えてしまいまして…あら、座席もちょっと狭いですね…♥」 「はぁ…勝負服など採寸し直しますから、後で事務室にいらしてくださいね」 隣のブースから漏れ聞こえてくる会話は、努めて聞こえないフリをした。 「完了ッ!では2人とも、テストプレイの準備はいいかッ!?」 「我々がモニタリングするのはバイタルサインのみです。どうか息抜き程度に考えて楽しんできてくださいね」 機械越しに聞こえる理事長とたづなさんの言葉に、わずかに頷く。 ダイヤの様子は見えないけれど、話によればダイブを行った先で、生身に近いほど忠実に再現されたダイヤがいるらしい。僕もまた然り。 最近の技術の進歩はすごいんだなぁ、なんて。 この時点ではまだ、ひたすらに楽観をしていたのだった。
4 <a href="mailto:4/?">21/07/05(月)02:27:34</a> [4/?] No.820244923
「…おや?」 「む? どうしたたづな。何か気になることでも?」 「いえ…お2人がダイブした瞬間、バイタルサインにわずかな揺らぎが発生したのですが…気のせいですね。現在のバイタルサイン、どちらも正常です」 「そうか! では引き続き、常時モニタリングするように! 健康第一ッ!」
5 <a href="mailto:5/?">21/07/05(月)02:27:56</a> [5/?] No.820244972
白い、白い世界。周囲の何もない『白』が、急速に後方へと流れていく。 僕の身体はそこで、ぷかぷかと浮いていた。 僕の前にも、ウマ娘のようなものが、ぷかぷかと浮いていた。 『──トレーナーさん』 わずかにハウリングした、穏やかな囁き声。 自然と、耳を傾ける。 『あの子がご迷惑をおかけして、すみません。ダイヤはあなたのことが、好きで好きでたまらないだけなのです』 頭を下げるような素振りを見せる。どこのどなたか存じないので、いえいえそんな、と押し止めようとして、気付く。 声が出ないし、身体も動かない。 『どうか、ダイヤのことをよろしくお願いします』 待ってくれ。あなたは誰なんだ。せめて名前だけでも聞かせてくれ。 もはや心のなかで念じるほかない僕を憐れんだか、そのウマ娘はすこし躊躇いがちに、 『問われたならば、お答えしましょう。私の名は、███プイ████──』 上手く聞き取れないまま、ウマ娘の姿が薄れていく。 もう一度言ってくれ、あなたの名前は──。
6 <a href="mailto:6/?">21/07/05(月)02:28:17</a> [6/?] No.820245020
「………プイ?」 自分の間抜けな呟きで、意識が覚醒した。 周囲を見渡すと、一面に広がる丘。草原。遠くには森と山。 どこか牧歌的で、しかし孤独を感じさせるそれ。 少しずつ、思い出していく。僕は理事長とたづなさんに頼まれ、ウマネストとやらの体験をしている最中。なれば、状況はさっき、たづなさんに説明された通りのはず。 『あなた方はウマネスト世界にダイブし、これまたいわゆる「剣と魔法のファンタジー」を体験していただきます。といっても今回は時間が時間ですから、町近辺での探索、および余力があれば周辺の洞窟に挑むのもよいでしょう。詳細に関しては、ゲーム内アイテムにヘルプブックを用意しましたのでそちらをご覧ください。開き方はインベントリから──』 言われた内容のほとんどが理解できてないままだけれど、とりあえず言われた通りにまずヘルプブックを開こうとして、 「………あれ? ダイヤ?」 「はい、ダイヤはここですよ、お兄さん♪」 「うわ!?」 後ろを振り向くと、ダイヤがにこにこ笑顔で手を振っていた。ぜんぜん気付かなかった。
7 <a href="mailto:7/?">21/07/05(月)02:28:39</a> [7/?] No.820245062
ダイヤはいつもの制服でも、勝負服でもない…いかにも「ファンタジー」風の衣装に身を包んでいた。 やや質素めのエプロンに、大きな肩掛けのバッグが2つ。ウエストに巻かれたベルトには、短剣と杖が挿し込まれている。 「ダイヤ、その格好…」 「うふふ…似合っていますか? …それに、お兄さんもよく似合ってますよ?」 「へ?…わっ」 言われて、自分の格好を見る。 簡単な作りの木製の盾、同じく簡単な剣。身体にも木の板を組み合わせたような…これは、鎧?が、申し訳程度に上半身を覆っていた。 そして、なぜか。なぜか、鎧の下は半袖シャツと半ズボン。 まるで小学生が夏休みにごっこ遊びをしているような格好で、僕はファンタジー世界に佇んでいた。 「えぇ…何でこんな格好…」 「いいじゃないですか。お兄さん、職業ご覧になりましたか?お兄さんの職業、"Brave"…勇者ですって」 「え…勇者?」 「はい♪ ちなみに私は"Merchant"…商人という職業のようです」 ばばば、とダイヤの指が動いて、僕たちの眼前に情報表示板…コンソールを出現させる。
8 <a href="mailto:8/?">21/07/05(月)02:29:16</a> [8/?] No.820245142
トレーナー ゆうしゃ HP 12/MP 5/ちから 2/ぼうぎょ 2/すばやさ 3/かしこさ 2 サトノダイヤモンド しょうにん HP 6/MP 7/ちから 1/ぼうぎょ 1/すばやさ 1/かしこさ 1 なんか手慣れてない?と聞いてみたものの、「実家の方でちょっと」とだけ返され、それ以上は教えてくれなかった。 ファンタシーがどうとかメセタがこうとか言っていたけど、よく分からない。 「とにかく、お兄さんは前衛である勇者。先頭に立って魔物と戦います。私は商人ですから、直接戦闘能力はありません。お兄さんががんばるのを応援したり、回復したりする役割です…つまり、お兄さんは私を守りながら戦うことになります」 「…僕が、ダイヤを?」 普段、体格差もあっていいようにされっぱなしで、自然と守ってくれる存在のようになっていたダイヤを。 今度は、僕が、守る番…! 「はい♥ウマ娘といえど、ファンタジー世界ではそちらのルールに従い、ダイヤはか弱い女の子になってしまうでしょう…お兄さん♥ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします♥」
9 <a href="mailto:9/?">21/07/05(月)02:29:49</a> [9/?] No.820245215
「う…うん!頑張るぞ…!ダイヤ!僕から離れないでね!僕がダイヤを守るから!」 「……♥」 喜び勇んで、僕は歩きだす。ダイヤはそんな僕を、優しく見守ってくれていた。 スライムはトレーナーに攻撃! トレーナーに2のダメージ! トレーナーはスライムに攻撃! スライムに1のダメージ! サトノダイヤモンドはトレーナーを応援している! スライムはサトノダイヤモンドに攻撃! トレーナーはサトノダイヤモンドを庇った! トレーナーに2のダメージ! トレーナーはスライムに攻撃! スライムに1のダメージ! スライムを倒した! 「はぁ…はぁ…やったぞ…!」 「うふ、初勝利おめでとうございますお兄さん♥あぁ、ダイヤを庇ってこんなに傷が…今、治してさしあげます」 草むらから飛び出してきた粘性の魔物に襲われ、辛くも勝利を収めた僕を、ダイヤが薬草で回復してくれる。 本気で驚いたけど、さっきダイヤが見せてくれたヘルプブックに書いてあった通りだった。町の外を歩いていると、魔物に出くわすこともある。倒すことによって戦闘経験を得られるが、時には逃げることも大事である…と。
10 <a href="mailto:10/?">21/07/05(月)02:30:13</a> [10/?] No.820245263
さっきの場面も、本来なら逃げるべきだったのかもしれない。あんなに強い魔物、僕の手に負えるかどうか怪しかったからだ。 けれど、ダイヤに教わった僕の職業──勇者。その肩書きが、僕を奮い立たせてくれた。 僕は勇ましき者。今は弱くても、積極的に強い敵と戦い、戦闘経験を積んで、ダイヤが安心して冒険できるような頼れる男になるんだ──! 「あ、今の戦闘でレベルアップできるみたいです。よかったですね、お兄さん♥」 「レベルアップ…さっき言ってたやつ、だね。経験を積むと強くなるっていう」 トレーナーは レベルが上がった! HP +2/MP +1/ちから +0/ぼうぎょ +1/すばやさ +1/かしこさ +0 HP 14/MP 6/ちから 2/ぼうぎょ 3/すばやさ 4/かしこさ 2 よし、やっぱり僕も強くなってるんだ。この調子で少しずつ頑張っていこう。 僕、こういうゲームやるの初めてだけど…結構、楽しいかもしれない。現実世界で弱っちい僕でも、ゲームなら着実に強くなれるわけで…!
11 <a href="mailto:11/?">21/07/05(月)02:30:41</a> [11/?] No.820245326
「…ん? あ、ほら。ダイヤもレベル上がったみたい。確認してみようよ」 「え!? あーその、ダイヤはですね、えーと…あ! ダメです、見ないでください…!」 ダイヤは レベルが上がった! HP +645/MP +474/ちから +169/ぼうぎょ +201/すばやさ +121/かしこさ +312 HP 652/MP 481/ちから 170/ぼうぎょ 202/すばやさ 122/かしこさ 313 「………え」 「あぁぁぁ…だから隠そうと思ったのに…」 頭を抱えるダイヤと、絶句する僕。こういうゲームは詳しくないけど、さすがにこの差がおかしいというのは分かる。 「あの…ダイヤ?さっき、ウマ娘でもゲームルールに従うって」 「はい…そのはず、なんです。確認しましたが、このゲーム種族でステータスに格差を生じさせることはないようで、その」 「その…?」 「つまり…純粋に、私とお兄さんの…おそらくは種族を差し引いた元々のスペック差が、この差分なんだと…」 「…………」 「ごめんなさい、お兄さん…今回はわざとじゃないんです…」 場違いに爽やかな薫風が、僕とダイヤの間を抜けていった。
12 <a href="mailto:12/?">21/07/05(月)02:31:25</a> [12/?] No.820245408
エルダースライムはサトノダイヤモンドに攻撃! サトノダイヤモンドに1のダメージ! トレーナーはエルダースライムに攻撃! エルダースライムに0のダメージ! サトノダイヤモンドはエルダースライムに攻撃! エルダースライムに1421のダメージ! エルダースライムを倒した! 「おぉ…」 圧倒的だった。僕が全力で斬りかかっても、さっきの粘性の魔物の色違いは剣を弾き返してしまったけど。ダイヤが杖で叩いた瞬間、魔物は爆発したように周囲に飛び散ってしまった。 「うぅ…違うんです、私は…ゴリラでは…」 「そんなこと思ってないよ!?」 珍しく本気でしょげているダイヤを励ます。最近はいつもいいようにされていたので、実はちょっとだけ楽しかったりして。 …とはいっても、まぁ。僕が調子に乗る期間なんて、そう長く続くわけもなくて。 「こうなれば、もう開き直ります。…お兄さん」 「はい」 「お兄さんは…私が、守ります」 「はい」
13 <a href="mailto:13/?">21/07/05(月)02:31:42</a> [13/?] No.820245445
「何十、何百とレベルを上げても、私の1レベル分にも満たないか弱いお兄さんを。私が、守ります」 「はい…」 レース前もかくやという気迫を帯びたダイヤに、おそらくは無意識で煽られて、僕はしゅんと俯く。 おそらく今のダイヤに、僕を貶そうなんて意図はなくて。ただ自然なこととして、僕の弱さを摘示しただけなんだと思う。 それが余計に惨めで、…ちょっと興奮した。 トレーナーはサトノダイヤモンドの後ろに隠れている! ドラゴンAは炎を吐いた! サトノダイヤモンドに110のダメージ! サトノダイヤモンドはトレーナーを庇った! サトノダイヤモンドに121のダメージ! ドラゴンBは炎を吐いた! サトノダイヤモンドに101のダメージ! サトノダイヤモンドはトレーナーを庇った! サトノダイヤモンドに129のダメージ! ドラゴンCは炎を吐いた! サトノダイヤモンドに98のダメージ! サトノダイヤモンドはトレーナーを庇った! サトノダイヤモンドに114のダメージ! サトノダイヤモンドはドラゴンAに攻撃! ドラゴンAに1871746のダメージ! ドラゴンAを倒した!
14 <a href="mailto:14/?">21/07/05(月)02:32:14</a> [14/?] No.820245509
: : ドラゴンの群れを倒した! 「…ふぅ」 「…お、終わっ、た?」 「はい♥終わりましたよ♥」 「………怖かったぁ~~~」 「ふふっ♥大丈夫です♥お兄さんのことはダイヤが♥身を挺して守りましたから♥」 「うん…ごめんねダイヤ…本当にごめん…『ヒール』!」 「…♥」 ダイヤのHPの0.002%しか回復できない回復魔法で、せめてもの謝意を示す。 僕の最大HPを大幅に上回るような竜の炎を、僕の分まで防御もなしで受け続け、1頭ずつ確実に殴り倒していく…ダイヤはまさしく、鬼子母神のような強さを発揮していた。 今僕らがいるのは、町周辺にあった洞窟の地下。もうとっくに、僕の能力値では話にならないほど敵が強くなっていた。それでも、ダイヤなら歯牙にもかけない程度でしかない。改めて、ダイヤの強さを思い知る。 僕にできることといえば、ダイヤの影に隠れ、抱きつき、時には抱え上げられて、ただひたすらに敵の攻撃から身を守る…否、「守ってもらう」だけ。 それほどまでに、僕とダイヤの能力差は開いていた。
15 <a href="mailto:15/?">21/07/05(月)02:32:41</a> [15/?] No.820245578
「あ…またレベルアップ」 「今回はドラゴンだったので結構上がると思いますが…どうでしょう?」 トレーナーは レベルが4上がった! HP +3/MP +1/ちから +0/ぼうぎょ +0/すばやさ +1/かしこさ +0 HP 31/MP 13/ちから 6/ぼうぎょ 4/すばやさ 9/かしこさ 5 ダイヤは レベルが4上がった! HP +7468/MP +4843/ちから +876/ぼうぎょ +835/すばやさ +613/かしこさ +974 HP 343583/MP 93549/ちから 9731/ぼうぎょ 8966/すばやさ 6465/かしこさ 7513 「そろそろちからが1万超えそう」 「うぅ…まだちょっと恥ずかしいです…」 そう言って、大きな身体を縮こまらせる。 僕はといえば、ダイヤの成長に負けるのにもすっかり慣れっこになってしまって、今はダイヤに抱っこされながら一緒にコンソールを覗き込んでいる有様だった。
16 <a href="mailto:16/?">21/07/05(月)02:33:01</a> [16/?] No.820245621
「ところで…最初の説明の時、体感時間1.5倍くらいって言ってなかったっけ。もう90分経つよね」 「そういえば…はい、体感的にはもう一昼夜…洞窟の外はとっぷり暗くなっている頃だと思います」 「…どうしたんだろう?機材トラブルとか…」 「強制ログアウト機能もあるそうなので、大丈夫だとは思いますが…まぁ、気にしても仕方ありません。さっきのドラゴンがボスだったようですから、彼らが何を守っていたのか確かめるために洞窟の奥に行きましょう」 「うん…」 そう言って、ダイヤは僕を抱いたまま歩きだす。盾の内側になるようにしてくれているので、敵からの不意討ちに晒されることはない。 それにしても、何だか甘い匂いがする。砂糖菓子やはちみーではない、もっとこう…嗅いでいると気だるくなるような、悪い甘さ。 「う…」 「ダイヤ?」 不意に、ダイヤがよろめく。バランスを崩したダイヤの腕の中から、反射的に僕は飛び降りて、 かちり。 ふらついたダイヤのついた足が、床のおかしな紋様を踏み抜いた。 「これは──」 あたりに桃色の煙が充満する。甘い。目に染みそうなほど甘い。これが、さっきから漂っていた匂いの正体──!
17 <a href="mailto:17/?">21/07/05(月)02:33:24</a> [17/?] No.820245673
「ダイヤ!ダイヤ、大丈夫」 『ふふ…やっと見つけたわ…』 「──!」 洞窟に響く、妖艶な声。 反射的に僕は、ダイヤの身を案じ…よろめいたダイヤの背に隠れた。 「…あれ?」 『あぁ…愛しい我が子…この母が、あなたを救けてあげましょう──』 自らの奇怪な行動に、目を白黒させるのも束の間。僕は抱きついているダイヤの身体が、少しずつ少しずつ、膨らんでいることに気付いた。 いや、膨らんでいるのではない、これは…。 「ダイヤが、大きく…!?」 『母は子を愛するもの。愛しい我が子…あなたが子となりうる伴侶を見つけたのなら、その大きな、大きな愛で以て、その子を溺愛しなさい…』 「お兄、さん…♥」 「そんな、正気に戻っ…むぐ!?」 先程の甘ったるい煙をもろに吸い込んだダイヤは、ひと目見て分かるくらい、情欲に蕩けた顔をしていた。 少し吸っただけの僕も頭が痺れるような感覚があるあたり、あの煙には催淫作用のようなものがあったのかもしれない。
18 <a href="mailto:18/?">21/07/05(月)02:33:55</a> [18/?] No.820245736
大きくなったダイヤは片手だけで、いつにもまして軽々と僕を抱き上げ、もう片方の手で器用に胸をはだけさせた。 目測で、身長は3メートル超。胸の大きさは…比較になるものが思い浮かばないほど、大きい。おそらくは、片方だけで、僕の身体よりも。 まさしく、赤子と母親のような体格差になってしまった僕は…ダイヤの巨大な乳首に、しゃぶりつくことを強制されてしまった。 「大丈夫…大丈夫でちゅよ~…♥お兄さんのことは、ダイヤが、ダイヤママが、ずっと、ず~~っと…♥守ってあげまちゅからね…♥♥」 「もご、んぅ~…」 発情して勃起した乳首も、相応のサイズに巨大化していた。顎が外れるかと思うほどに、僕の口内がダイヤの大きな大きな乳首だけで埋め尽くされる。 圧倒的な体格差を感じつつ、僕はダイヤの肉の暖かさに溺れかけていた。 背中からつま先まで、ダイヤのむっちむちのふとももの上に寝かされている。頭は乳房にしゃぶりつきながら、「もしこれが急に身体の上に落とされたらどうしよう」と、ありもしない想像に震えて、必死に乳首を吸っていた。なにせ、大きいのだ。乳房が何キロあるのか、とても想像がつかないけれど。
19 <a href="mailto:19/?">21/07/05(月)02:34:16</a> [19/?] No.820245778
おそらく片方だけで僕の体重の2倍…いや、3倍近くあるかもしれない。そんなものが降ってきたら、間違いなく全身の骨が折れる。おっぱいに潰されて圧死するかもしれない。そんなことを思うと怖くて、怖くて、ダイヤに甘えたくて仕方なかった。 だって、ダイヤは守ってくれるから。ダイヤに守られていれば、いつだって安心だから。ダイヤに守られないと、僕なんて、とてもじゃないけど生きていけないから──。 「ダイヤママのお肉に包まれて♥いっぱい気持ちよくなって♥気の済むまでおもらしして♥疲れちゃったら、ママのお肉布団で♥ゆ~~っくり、おやすみなさい♥」 「んぅ、まぁ…」 「…ふふふ♥そう♥そうよ♥ダイヤは…お兄さんの、担当ウマ娘で♥年下の妹分で♥お姉ちゃんで♥ママで♥──お兄さんの、すべてです♥」 「──」 法悦の声すら、出なかった。 生殖行動である射精という感覚すらない、漏れ出すような「吐精」。頭の甘い痺れがそのまま下半身にまで広がったかのように、感覚が失われていく。
20 <a href="mailto:20/?">21/07/05(月)02:34:33</a> [20/?] No.820245816
「ふふっ…♥出せまちたか? 残念ながら、お兄さんの可愛いおちんちんから♥ぴゅる♥ぴゅるっ♥と精液を出しても♥ダイヤには分からないくらい♥ちっぽけ♥ですけど…♥」 「ぁ~…」 しょろ…しょろろ…。 「あら…ふふ♥えっちなおもらししたと思ったら、本当のおもらしまで…♥本当に、赤ちゃんみたい…♥もう、お兄さん…可愛い…♥本当に可愛い…♥♥」 意識が遠のく。生暖かさが僅かに残った下半身の感覚に広がるけれど、それが何なのかを思考することもできないくらい、僕は蕩けていた。 いつかの時と同じように、視界が端から白く染まって、そして──。
21 <a href="mailto:21/?">21/07/05(月)02:34:54</a> [21/?] No.820245863
「…はっ」 「気がついたかッ!!」 「うわっ!?」 至近距離でいきなり怒鳴られて、意識が一気に戻ってきた。なんだか頭がじんじんして、ぼーっとする。 「あぁよかった…この度は誠に、誠に申し訳ありませんでした…! どこか異常はありませんか…!?」 慌てたたづなさんの様子を見て、ゆっくりと状況を理解する。 確か僕は、ダイヤと一緒にゲームに入り込んで、そして、洞窟で──。 「…っ、そうだ! ダイヤは!? ダイヤは無事──」 「はい♥私は無事ですよ♥」 「うわっ!?」 「もう…愛バに向かって『うわっ』は無いんじゃないですか?トレーナーさん♥」 反対側にいたダイヤにぜんぜん気付かなかった。さっきもこんなことあったな。 意識が戻った僕は、簡易ベッドに横たわったまま、ダイヤともども事情を聞かされる。 どうやら僕らがダイブした後、確かに90分に設定されていたプレイ時間がなぜか900分に延長され、強制ログアウト処置を受け付けなくなってしまったらしい。
22 <a href="mailto:22/?">21/07/05(月)02:35:33</a> [22/?] No.820245959
すわ大事故かと思いつつ、無理に引き剥がすのも精神に悪影響が出かねないという判断で意識が戻るのを待ち…結局、僕がゲーム内で気絶すると同時にシステムが回復、弾き出すように2人揃ってログアウトされた、という経緯で。 よく分からないけど、ゲームって意外と危ないんだなぁ、なんて見当違いなことを思いながら立ち上がろうとして、 「…あれ?」 「きゃっ…トレーナーさん?」 ふらついて、寄り添うように見守ってくれていたダイヤに抱きついてしまう。 ダイヤは僕なんかが抱きついてもビクともしないくらい大きくて、こうして抱きついていると、なんだか無性に…安心する。 「もう…まだ時差ボケみたいな症状が残っているんです。無理しちゃ、めっ、ですよ?」 「うん…ごめん、ママ…」 ざわっ。 蕩けた頭で放った一言に、周囲がざわつく。一拍遅れて理解が追いついて、血の気が引くように、今更になって頭が冴えてきた。 「……ふふ♥はい♥ママでちゅよ~?♥なんて♥」 「うわ…ごめん、ごめんなさい!今のは違うんです!」 「う…うむ!仲睦まじいようで何よりッ!」 「違うんですってばー!」
23 <a href="mailto:23/24">21/07/05(月)02:35:57</a> [23/24] No.820246011
勘違いされた。絶対勘違いされた。 いや、確かにゲームの中ではそんな感じだったけど。よりによって皆の前で、そんな。 ──無意識で口をついて出るくらい、どんどんダイヤに甘えたくて仕方なくなっていることから、無駄な抵抗と知りつつも目を逸らしつつ。 せめてどうしようもなくなるまでは、衆人環視の中でバレるような真似だけは避けよう…と、心に決めるのだった。 さて。僕たちがテストプレイを行った、VRについて。 結局、体感時間設定機能は今回の事故を踏まえ、実装を見送ったらしい。 便利は便利だけれど、僕らは助かったからいいようなものの下手をすればゲーム内に数十年にわたって囚われ、解放された段階で精神と肉体がバラバラになってしまうおそれもある…とかなんとか。 実体験した僕は正直、あまり実感が湧いていないのだけど。とにかく、何か恐ろしい事故に発展する危険があったらしい。 とはいえ、僕がこれ使う機会はもう来ないだろうし関係ないな…と、僕は気持ちよくしてもらった思い出だけ残して、綺麗さっぱり忘れることにしたのだった。
24 <a href="mailto:24/24 おしまい">21/07/05(月)02:36:18</a> [24/24 おしまい] No.820246050
「…あの、たづなさん? ウマネストのアバター設定についてのお話なんですが…」 「えぇ…はい? アバターのサイズを自由に変更するパッチ…? もちろん可能ですけど…どうして…?」 「………♥」 つづく。
25 <a href="mailto:s">21/07/05(月)02:39:54</a> [s] No.820246482
おしまいでーす 今回いつにもまして冗長感がすごい 好きな性癖ネタというかM向けジーコネタもりもり突っ込んだらこうなりました 手塚治虫神の『やすらぎの館』は名作
26 21/07/05(月)02:42:59 No.820246849
人間とウマ娘が平等な世界のはずなのにありえないステータス差が付いちゃうの好き…
27 21/07/05(月)02:43:28 No.820246902
プレイ内容がモニタリングされてなくて良かったですね…
28 21/07/05(月)02:46:01 No.820247190
>※ウマネストネタで若干の性的表現が含まれます。ご了承いただける方のみお読みください。 若干…若干…!?
29 21/07/05(月)02:47:47 No.820247389
ウマネストX指定は絶好調ッ! 問題はない!
30 21/07/05(月)02:55:09 No.820248090
本当は呪いを受けてLDS(レベルドレインサキュバスの略)になっちゃうのも考えたんですが冒険が短期間過ぎて吸うレベルがないのとレベルドレインの醍醐味である「強かった勇者がレベルを吸われて本来楽勝だったはずのか弱いサキュバスに力負けする」が描写不可能なのでボツになりました レベルドレインは逆転の性癖なので逆転のタイミングが本編開始前にあるこの連作と相性最悪でしたね >人間とウマ娘が平等な世界のはずなのにありえないステータス差が付いちゃうの好き… 本来は1レベル上昇につき各ステータス10~15くらいの伸びを想定したゲームバランスだったようです ヒトもウマ娘も平等に遊べるいいゲームですね 単純にお兄さんが生物として信じられないくらい弱くてダイヤちゃんが生物として信じられないくらい強かっただけでした
31 21/07/05(月)03:00:24 No.820248549
あいつレベルドレインの話になると…
32 21/07/05(月)03:02:00 No.820248684
>本来は1レベル上昇につき各ステータス10~15くらいの伸びを想定したゲームバランスだったようです >ヒトもウマ娘も平等に遊べるいいゲームですね 理事長ゲームバランス考えてて偉いな… >単純にお兄さんが生物として信じられないくらい弱くてダイヤちゃんが生物として信じられないくらい強かっただけでした ひどい…
33 21/07/05(月)03:04:09 No.820248848
お兄さんが弱すぎて最低限のステアップでも過大評価だからその分他のプレイヤー(サトちゃん)を超絶強化させないといけないってことだと思ってた
34 21/07/05(月)03:05:18 No.820248936
身長差サトトレありがとう…
35 <a href="mailto:s">21/07/05(月)03:08:54</a> [s] No.820249221
あと一応ですがお父さんのウマソウルは本物ですけど最後に出てきた母を名乗る不審ボスは母親ではないというかウマソウルでもないです単にそういうボスです(最初のダンジョンに中盤になって戻ってくると入れるようになってる追加マップにいるタイプのボス)
36 21/07/05(月)03:09:59 No.820249308
>「ふふ…そうなんです♥実は先日、バストがついに100cm超えてしまいまして…あら、座席もちょっと狭いですね…♥」 でっか…
37 21/07/05(月)03:11:42 No.820249454
ふぅとてもいいものだった ダイヤちゃんに種や個体としての差をわからせさせられると濃いのが出る >あいつレベルドレインの話になると… わかるよ…
38 21/07/05(月)03:13:43 No.820249635
>「…ふふふ♥そう♥そうよ♥ダイヤは…お兄さんの、担当ウマ娘で♥年下の妹分で♥お姉ちゃんで♥ママで♥──お兄さんの、すべてです♥」 ここシコ
39 21/07/05(月)03:18:49 No.820250108
相変わらずM向け作品の造詣が深い「」だ…
40 21/07/05(月)03:19:32 No.820250168
まあお互いに愛し合ってるだろうし…
41 21/07/05(月)03:23:43 No.820250498
しかしこうして見るとウマネストの設定便利だなぁ…
42 21/07/05(月)03:24:03 No.820250522
ウマ娘とヒトとの間には特別な絆が生まれウマ娘がより強くなる世界観なのは知っていますね? つまりお兄さんを愛玩したり搾精することでダイヤはより強くんですよ❤
43 21/07/05(月)03:32:08 No.820251150
>ウマ娘とヒトとの間には特別な絆が生まれウマ娘がより強くなる世界観なのは知っていますね? >つまりお兄さんを愛玩したり搾精することでダイヤはより強くんですよ❤ それだとダイヤちゃん無限に強くなり続けて超性能娘になるな…
44 21/07/05(月)03:38:06 No.820251551
トレーニングと称してうまぴょいしても許される世界…
45 21/07/05(月)03:41:04 No.820251766
チームトレーナーの下で必死にトレーニングするよりも専属トレーナーとうまぴょいする方が遥かに強くなれる世界か…
46 21/07/05(月)03:45:56 No.820252098
サトちゃんPSO2と関係あったといえばあったなそういえば…
47 21/07/05(月)03:54:05 No.820252589
プイプイは…見守る相手が多くて大変だな… と思ったけどこっちではそんなでもないか
48 21/07/05(月)06:21:23 No.820260036
身長差サトトレ待ってた
49 21/07/05(月)06:23:13 No.820260150
自分とは比べ物にならないほど強くて生物としての格が違う女の子に死ぬほど愛されて絶対の庇護の下で安全に冒険するのいいよね…
50 21/07/05(月)06:27:13 No.820260355
巨大化する前の通常時サトちゃんにもナチュラルに抱っこされて移動してるのとてもエッチで好き 特殊性癖寄りだけどlift carryいいよね…
51 21/07/05(月)07:07:39 No.820262918
身長の話したあたりでなんとなくどの「」かあたりが付いたよ……
52 21/07/05(月)07:09:57 No.820263096
プイでダメだった
53 21/07/05(月)07:11:08 No.820263178
ちょっと性癖溢れ出しすぎてない?
54 21/07/05(月)07:25:00 No.820264315
今からするとヘンリー銃みたいなレバーアクションとかすごい先進的でめっちゃ活躍したんだろうなって気がするけど当時は連射が効きすぎて碌に狙わずにバカスカ銃弾浪費するやつが多かったせいであんまり評判良くなかったと言う