21/07/05(月)01:02:31 泥を待... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
21/07/05(月)01:02:31 No.820226687
泥を待たせたな!
1 21/07/05(月)01:04:34 No.820227257
「さぁ…ここへ座って」 フェイカーのアジト、そこは泥濘の新宿では比較的治安の良い鶯谷のホテル(どういうホテルかはあえて言うまい)だった。 かつては最上級の部屋であった一室にくにを招き入れると高級そうな椅子に座るを指差す。 「私はお茶を入れて来るから寛いでね」 「は、はい……」 とは言うものの今まで見たことのない派手な宿泊施設に戸惑いを隠せず、興味を引かれ落ち着けなかった。 ふと、窓の外を見ると数時間は経っているのに月が動かず夜の帳が開けていない。 「ここはね、ずっと夜なの。おかしいでしょう?」 くにの疑問に答えるようにフェイカーはお茶を持ってその背後に立っていた。 「わっ!」 驚いたくにが振り向くと薄桃色の着物を僅かに着崩しており、白い柔肌が顕になっている。 まるで蝶のようだとくには思った。ユィお姉さまとはまた違った優雅さ、雅とでも言うのだろうか、そういった気配があった。 「ごめんなさいね、驚かせてしまった?どうぞ暖まるわよ」 「あ、ありがとうございます」 フェイカーが出してくれたのは香ばしいほうじ茶だった。懐かしい香りに心が安らぐ。
2 <a href="mailto:2/4">21/07/05(月)01:05:12</a> [2/4] No.820227424
「美味しいです」 「気に入って貰えたなら良かったわ」 フェイカーの穏和な笑みを見ていると不思議とユィお姉さまと一緒にいるときのような暖かい気持ちになり、心と体がぽかぽかとする。 それが何故か恥ずかしくて思わずくには目を反らした。 「あら、どうかした?」「いえ、わたしは…」 フェイカーはくにをじっと見詰め、くには顔を真っ赤に染めて思わず立ち上がる。 「恥ずかしがらなくていいのよ」 フェイカーは目を細めるとくにの細い腰を支えるように手を回し、側にあったベッドへと導いた。 「あ、あの、わたし!」「大丈夫……ゆっくり、力を抜いて……」 ベッドに仰向けに寝かされたくには立ち上がろうとするが、フェイカーに優しく両腕を抑えられる。 耳元に近づけられた唇から放たれる甘い言葉がくにを蝕んでいく。 「わたし……」 「大丈夫、大丈夫よくにさん。 私にしたいこと、されたいことを、ちゃんと頭に思い描いて…」 くにの首元をフェイカーの白魚のような右手と唇が走る。 かぷっ、と甘噛みすると、くにはあ…!と艶めいた声を上げた。
3 <a href="mailto:3/4">21/07/05(月)01:05:48</a> [3/4] No.820227599
「ふふ…ここ? それとも……こっちを触って欲しいの? いいのよ、恥ずかしい事じゃないの」 毒のようなフェイカーの言葉にくにの感情が揺さぶられる。 (ダメ、ダメ、こんなの良くないことです……でも、気持ちいい……) 「貴女は、私に何を望むのかしら…?…『信頼できn……」 「私にはユィお姉さまがいるんです!」 フェイカーが最後の一押しをしようとした時、くには強い意思と想い、ある女性の姿を脳裏に浮かべフェイカーを拒絶した。 フェイカーが驚き一瞬たじろいだ時、にゃー、と猫の鳴き声が聞こえた。 「猫!? ここ、3階よ!」 「良い御身分だな、フェイカー」 鳴き声のした窓際を見るとそこには深い黄色い二つの瞳が浮かんでいた。 よく見れば闇の中でも闇を拒絶するような気高い黒の毛にセーラー服のような服に真っ赤な首輪を身に付けた黒猫が見える。 「ガンナー…」 「『魔導探偵』に頼まれた。その子は迷い人のようなのでな、引き取らせて貰う」 黒猫、ガンナーはフェイカーの目をその鋭い双瞳で睨み付ける。フェイカーとガンナーの間に緊張が走り、くにはその気配に思わず身構えた。
4 <a href="mailto:4/4百合NTRは悪">21/07/05(月)01:06:53</a> [4/4百合NTRは悪] No.820227907
「……分かった、良いわ。 でもこのままじゃ外に行かせられないわ、彼女に上げる服を選ばせて」 「……………」 「なにその顔」 猫ながらも鳩が豆鉄砲を食らったような顔を見てフェイカーは不満そうに頬を膨らませる 「……いや、もう少し抵抗されると考えていた」 「あのね、私も想い人のお姉さまがいる少女を力付くでどうこうしようなんてしないわよ!」 「ユィお姉さまとわたしはそんな関係じゃ…」 「分かってる、分かってるわよ。 さぁお洋服選びましょうね、くにちゃん♪…貴女も着替える?ガンナー?」 「冗談ではない」 ぷいと、そっぽを向くガンナー。 楽しそうなフェイカーにくには不思議と先程よりも付き合い安いと感じたのだった。
5 21/07/05(月)01:53:02 No.820239253
いい… ここのところSS連作が続いてるのは嬉しいね