21/07/04(日)00:07:19 ゲーム... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1625324839768.png 21/07/04(日)00:07:19 No.819789111
ゲームの中というのは不思議な空間だ。現実の私とは、まるで違う姿にだってなれてしまうのだから。 そんなことができるなら、ひとつ現実ではできない企みを実行に移したくなってしまうのも、抗えない人の性なわけで。 「こんにちは。トレセン学園の方ですよね? あ、やっぱり~。実は私もなんです〜。 …ちょっと、お話ししませんか?」
1 21/07/04(日)00:08:00 No.819789376
例のフルダイブマシンは相当な人気を博しているようで、生徒、トレーナーを問わずトレセン学園内では休日にコフィンの中に入っている人をよく見かけるようになった。 どうやら私のトレーナーさんもそのひとりらしく、個人的に遠隔小型端末を買って使うほどだった。何でも、最近増えた外部への出張で、何もないところに行ってもいい息抜きになるのだとか。
2 21/07/04(日)00:08:12 No.819789475
そう。最近のトレーナーさんは出張が多い。 私がURAファイナルズで成果を挙げた結果トレーナーさんも注目されるようになり、地方のトレセンで講演や授業を頼まれる機会も増えた。もちろん、トレーナーさんが評価されるのはすごく嬉しいし、旅先でも電話越しに毎日声をかけてくれるから、すごく安心する。 でも、直接会って話す機会はやはり減った。ファイナルズ決勝を制したあとの温泉旅行で、トレーナーさんとめでたくそういう関係にはなれたのだが、その矢先にこういう状況になっている。 曰く、遠距離恋愛は長く続かないとか、カップルは成立したてが一番破局しやすいとか、日頃忙しくなるとお互いへの不満が溜まりやすくなるだとか。 そういうネガティブな噂が私の耳に入りやすくなったのも、偶然ではないだろう。
3 21/07/04(日)00:08:36 No.819789620
「へぇー、あのセイウンスカイさんの?憧れるなぁ~。私なんて、まだ専属のトレーナーさんもついてないのに」 こんな他人のふりまで装ってトレーナーさんに声をかけているのも、そういう理由だ。本人を前にすると言えないことも、ひとつやふたつはあるものだろう。 闇のドルイドブラッディースカイちゃんは、ただいい感じにダークネスなお天気を作り出すだけのへっぽこ魔術師なんてもう卒業しているのです。 実は、暗示魔法も使えるんですよ。最近必死でレベル上げしてようやく使えるようになったんだけどね。 「でも、それだけ有名な娘の担当だったら、何かと大変なんじゃないですか? ほら、言いたいのに本人の前では我慢してることとか、溜まってる不満とか、あったりして」 まあ、今回使ったのはちょっと素直になるくらいのもの。一緒に飲んだお酒の効果が少し強くなるくらいの代物だ。 だから、思ったことを素直に言ってくれる以上の効果はない。そう、例えば。 ──酒の助けを借りて、日頃言えない不満を吐き出しやすくなる、そんな程度。
4 21/07/04(日)00:09:03 No.819789802
──お世辞にも、いい子、手のかからない子とは言えない。さぼったり、逃げ出したり、うまくいかないときに打ち明けもせずにひとりで悩んでしまったこともあった。 だからこそ、そのトレーナーさんが何の不満も洩らさないで、私に黙って何か抱え込んでいるのだとしたら、考えただけで胸が潰れてしまいそうになる。 でも、他の人に私の愚痴や不満を言っている姿を想像すると、また苦しくなって。 そういうわけで、こんな馬鹿らしいことをやっているのだ。ひとりで悩んでほしくはないけど、他の人のところに行ってほしくもない。そんな我儘で弱虫な私を、今は仮初の姿で必死に隠している。
5 21/07/04(日)00:10:02 No.819790189
そこまでしても、まだ怖い。私への不満があるか探りを入れたさっきの言葉も、怖いのを必死でこらえて口にしたのだから。 「不満、ですか。 まあ、ひとつありますね」 聞きたい。 でも、聞きたくない。 どうしよう。もう、うんざりだとか言われちゃったら── 「最近、全然会えてないんですよ。彼女が活躍してくれて仕事が増えるのは嬉しいんですけど、もう少し時間を作ってあげたいんです。 …彼女は優しいから、こういうこと言うと『いいから出世しといで~』とか言って断られちゃうと思うので、なかなか言い出せないんですが」 「…他には、ないんですか?いやになったり、しないんですか?」 「不満や困難がない、っていうか、彼女と一緒にいると苦しいことでも乗り越えられる気がするんです。優秀な娘はたくさんいますけど、こんな気持ちにさせてくれるのは彼女だけですから。 …だから、これははっきりと言えます。彼女は最高のパートナーです」
6 21/07/04(日)00:10:38 No.819790413
自白剤みたいな効果の使えるVR空間はちょっと危険すぎるのでは…?
7 21/07/04(日)00:11:09 No.819790663
今、ちゃんと表情を作れているだろうか。頬が緩んでいないだろうか。泣きそうになっていないだろうか。 とにかく、目的は果たしたのだからこれ以上ボロが出ないうちに退散しなくては。 「…担当さんのこと、大好きなんですね~。羨ましいです。 じゃあ、お会計しましょうか」 「ええ、そうですね。 …このあとはどうする?『ブラッディースカイ』さん」 「──っ」
8 21/07/04(日)00:11:35 No.819790847
「…いつから気づかれてたのかなー」 「セイに不満があるか、とか訊いてきた時かな」 自分が取り返しのつかないことをしてしまっているかもしれないと、今更のように思い出した。トレーナーさんのことを騙して、秘密を聞き出すようなことをするなんて。 「一応聞くけど、なんで?」 「ほら、トレーナーさん優しいからさ。 不満とかあっても、言わないで我慢してるんじゃないかなーって。なので発散させてあげちゃおう、みたいな?」 どうしよう。怒られるかな。 呆れられるかな。 それとも──
9 21/07/04(日)00:11:49 No.819790962
トレーナーさんの体温が、優しく私を包み込んだ。 「…ごめんな。セイのこと、こんなに不安にさせて。 今度はちゃんと会いに行くから」 「いいですって~。なんでトレーナーさんが謝るんですか。 きっと、トレーニングとかで疲れてるのに、夜までフルダイブゲームに誘うのはどうなのかな、とか考えてたんでしょ?そういうとこセイちゃんポイント高いですから、ちょっと帰りが遅くなっても許しちゃう、かも?」 「それでも、やっぱり俺が悪いよ。彼女のこと心配させちゃうのは、男の甲斐性が足りないからだから」 そんなことないのに。これ以上ないくらい、いっぱい愛してもらってるのに。 「今は、ここで我慢してくれ」 現実と変わらないキスの感触は、心の隙間を埋めるには十分すぎた。
10 21/07/04(日)00:12:14 No.819791155
「…ぶぶー。こんなことしたってセイちゃんの好感度は上がりませんよ? …だから、早く帰ってきてね」 真っ赤になった顔を背けてログアウトしようとする。これ以上されたら、もう本当に我慢ができなくなりそうだから。 ああ、なのに。 「せっかく会えたんだからさ。 まだ、帰したくない」 「ん…!」 手を強く握られて、逃げられないように捕まえられてしまう。 ──ばか。へんたい。 帰ってくるまで、どうやって我慢すればいいんですか。
11 21/07/04(日)00:13:05 No.819791570
会えない時間が長かったからか、それとも電脳空間に似つかわしくない場末の宿屋の仄暗い雰囲気がそうさせるのか。 その日のまぐわいはいつもよりも激しくて、彼女の見せる嬌態にひどく昂ってしまった。 「あっ、や、トレーナーさん、やだやだ、また、いっちゃう…ぁぁああん…!」 そんな彼女はいつもよりも素直で、さっき暗示をかけていたこともあっさり白状してくれた。 「悪い子だね」 「だって、トレーナーさんの本当の気持ちが、ほしかったから…!」
12 21/07/04(日)00:14:01 No.819791972
既に何度も達した彼女を仰向けにさせて、未だに収まらない自分のものを秘所に押し当てる。 「ひどいなぁ。俺はこんなにセイのこと好きなのに。 もしかして、もっとしなきゃだめだった?」 「ぇ、だめ、これいじょうは、だめ…! ぁ、ぁ、ぁあ…!」 甘い声で制止する彼女の声は、禁断を彩るスパイスにしかならなくて。 そんな言葉とは裏腹に、自分が何度も吐き出した熱い欲望と彼女の熱で蕩けたそこは、此方の剛直を喜んで受け入れてくれる。
13 21/07/04(日)00:14:14 No.819792058
「や、だめって、いったのに…! だめ、うごいちゃ、だめ…!」 いやらしい水音が響くたびに、彼女の中がきゅうきゅうといじらしく締めつけてくる。でも、彼女の弱々しい声で猛った嗜虐心には、まだちっとも足りなくて。 散々出した愛欲の証を塗り込めるように腰をグラインドさせ、慎ましやかな胸の先端で主張する桜色の突起を口に含む。そうすると彼女は、また甘やかな嬌声を上げた。 「だめ、ぱんぱんも、おっぱいも、だめ、やんっ…!」 それを聞くと、もっといじめたくなってしまう。もう、止まらない。 限界が近づいて、彼女の背を抱いて密着する。 彼女との間に何も入ってほしくなかった。彼女とひとつになって、愛し合いたかった。 「…好きだぞ、世界で一番」 「…ぁ、とれーなーさん、すき、わたしも、すき…! ぁ、あああああっっ…!!」
14 21/07/04(日)00:14:45 No.819792286
疲れ果てて眠る彼女の頭を撫でると、嬉しそうに微笑んでくれた。それが嬉しくて、何度もそうしてしまう。 それにしても、彼女があんなに不安がるなんて。此方はむしろ積極的になりすぎて引かれてしまうことを心配していたのだが。さっきまでしきりに耽っていた情事だって、いつもはきちんとゴムをつけている。 好きで好きでたまらないのをこらえて、必死に自制しているというのに。 こういうことをされると、もう我慢が利か なくなる。 今までこらえてきたことを彼女に言ったら、どんな顔をするだろうか。 自分たちが愛し合った証を、彼女の中に宿してしまいたい、とか。 今は彼女と一緒に夢を釣り上げたいから、流石にまだそれは早いと思うけれど。
15 21/07/04(日)00:15:00 No.819792404
でも、彼女を不安にさせてしまったのは間違いない事実なのだ。こうなったら、部屋の机の中に入っているものの出番だろうか。 給料3ヶ月分もはたいて買った釣り餌だ。とびきりの大物を狙うのだから、それくらいの備えは必要だとは思っていたけれど。 まさかこんなに早く使うことになると思ってもみなかった。こういうことを言うのは彼女が引退してから、と思っていたのだけれど。 まあ、まだ婚約ならOK、ということにしておこう。メディアへの説明は後で考えておかなくてはいけないけれど。
16 21/07/04(日)00:15:15 No.819792519
隣で眠る、最愛の魔法使いを抱きしめる。 暗示なんて、使わなくたっていいのに。 ──もう、とっくに魔法にかかってるんだから。
17 21/07/04(日)00:15:54 No.819792803
ウ
18 21/07/04(日)00:16:28 No.819793021
深夜ウンスの攻勢がすごい… めちゃくちゃいい…
19 <a href="mailto:s">21/07/04(日)00:17:03</a> [s] No.819793291
ダーク・スカイ 暗黒星雲はトレーナーさんに不満を溜め込んでほしくないという優しさも、でもやっぱり好きでいてほしいと願う心もコントロールできない…
20 21/07/04(日)00:17:34 No.819793521
セイちゃんはどれだけ幸せにしてもよい そしてこのゲームやべえな…
21 21/07/04(日)00:18:07 No.819793735
>そういうことできちゃうVR空間はちょっとどころではなく危険すぎるのでは…?
22 <a href="mailto:ウマ娘">21/07/04(日)00:19:33</a> [ウマ娘] No.819794352
>そしてこのゲーム最高
23 21/07/04(日)00:22:53 No.819795783
遠距離恋愛のコツはVR世界での電脳ぴょい なるほどね…