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21/06/30(水)20:43:20 結論か... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1625053400181.jpg 21/06/30(水)20:43:20 No.818701177

結論から、書く。 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した アタシは失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗したアタシは失敗した アタシは120億人の命を奪った

1 21/06/30(水)20:44:23 No.818701652

透明人間になれたら何をしたい?風呂を覗く?それとも映画をタダで見る? どうしてそんなことを聞くのかって?どうせ信じないから本当のことを書くけど、アタシが透明人間だからだ。 他人と関われないっていうのは本当に退屈なもので、無限に自分を見つめ直す時間がある。 だから今、この手記を書いている。 どうせ信じないし読まれる予定もないので本当のことを書くけど、アタシは透明人間で、おまけに未来人でついでに言うと暗殺者だ。120億人もの命を奪った戦争を止めるため、この20XX年の日本ウマ娘トレーニングセンター学園にやってきた。

2 21/06/30(水)20:45:17 No.818701998

人間とウマ娘の悲惨な戦争の歴史や、戦争で敗れたウマ娘の未来世界での扱い(相当悲惨だとだけ言っておく。正直言って、この時代に来るまで人間とウマ娘がほとんど平等な時代があったなんて考えもしなかった)について書き出すとこの手記が辞書みたいに分厚くなってしまうので省略する。 大事なのは、その戦争が本来「なかったこと」だと言うことだ。 戦後、タイムマシンを発明した人類はそれを使って戦争の原因を探った。詳しい理屈はアタシには説明できないが、その結果、戦争が時空の歪みによって発生したことがわかった。らしい。

3 21/06/30(水)20:45:45 No.818702181

歪みの震源地はここ。戦時中、ウマ娘側で大きな役割を果たしたメジロ財閥。本来の歴史では、その中興の祖であるメジロマックイーンは現役中、屈腱炎を発症し引退。実家にて療養中、火山の噴火に巻き込まれて死亡。メジロ家自体も没落するはずだった。 しかし、アタシ達の歴史ではメジロマックイーンはこの時死ななかった。そこには一人の時空犯罪者の介入があったのだ。 ゴールドシップと名乗ったという、真っ赤な勝負服に身を包んだ謎のウマ娘。その暗殺がアタシの任務だ。

4 21/06/30(水)20:46:35 No.818702462

きょうびシュタゲパロは流行らない

5 21/06/30(水)20:47:23 No.818702765

アタシが――というよりウマ娘が、この任務に選ばれたのはワケがある。まず一つは、時間旅行そのものが非常に危険なこと。もう一つは"印象迷彩"だ。 これは未来でも滅多に使われることのない技術で、タイムマシンをどうにかして時空を歪め、ある特定の人間に対する他者の印象を極端に薄めてしまう。実際に透明になるわけではないが、視界に入っても何も気にならず、声は耳を素通りする。会話をしても、その記憶は端から消えていく。歴史を不用意に改変しないための処置だが、困ったことにこれが不可逆なのだ。もちろん、喜んで受ける奴などいない。

6 21/06/30(水)20:47:58 No.818702990

そこで、自分に白羽の矢が立った。ウマ娘なら記憶から消えても悲しむ者などいないというわけだ。実際問題、アタシ自身自分の名前さえ思い出せなくなってしまった。 とはいえ、この印象迷彩も万能ではない。あまりに突拍子もない言動で相手に違和感を与えると、それが記憶に残ってしまう。 だからアタシはこのトレセン学園でモブウマ娘としてトレーニングに参加しつつ、ゴールドシップが現れる時を待っているのだ。

7 21/06/30(水)20:49:07 No.818703414

「ハァ……ハァ……」 今日も今日とてアタシはトレーニングに励んでいた。ここのウマ娘にとってはこれが普通で、トレーニングをしていない方が違和感を持たれてしまうのでやっているワケだが……未来でも訓練は受けているとはいえ、なかなかハードなトレーニングだ。 当然、全身から汗は吹き出し呼吸は荒くなるのだが……どういうわけかこれが心地良い。 考えてみれば、自分のために体を動かす時間など今までなかった。しかしここでは、誰もが自分がレースに勝つために走っている。背負っているものもあるだろうが、自分で選んで背負っている。

8 21/06/30(水)20:49:51 No.818703690

「それにしてもアイツ、また来てるな……」 グラウンドの隅に目をやる。そこには(こちらが一方的に)見知ったトレーナーの顔があった。よほどヒマなのだろうか、いつもの定位置でウマ娘たちのトレーニングを見つめている。 と、よそ見をしたせいだろうか。靴紐を踏んで盛大に転んでしまった。ウマ娘たちの目が一斉にこちらを向く。しかし、印象迷彩の効果もあるのだろう。もともとこの世界に知り合いなど誰もいないのだ。皆、アタシをスルーして練習へと戻っていった。 「いてて……」 転んだ時に足首を捻ったらしい。これ以上注目をひかないよう、片足を引きずってグラウンド隅の木の下まで行く。 「なんだか……世界で一人ぼっちって感じだな」 もういっそ任務など放り出して、いいことなど何もなかった人生に幕を引いてしまおうか。そんなことを思った時だった。

9 21/06/30(水)20:50:34 No.818703964

「おい、君大丈夫か?」 突然声をかけられる。いや、そう思っただけだ。透明人間のアタシには声をかけられる人なんて…… 「お、おい、本当に大丈夫?聞こえてるか?意識はしっかりしてる?」 「……もしかして、アタシに言ってる?」 「他に誰がいるんだ?足を捻ったなら手当てするから、ちょっと見せてくれ」

10 21/06/30(水)20:51:05 No.818704156

「……アンタ、相当な変わり者だな。いや、暇人か?アタシに声をかけるなんて」 「いや、ウマ娘が怪我をしたなら声をかけるのはトレーナーとして当然だから」 ひどく真面目くさった顔で言う。どうやらこの男にとって、ウマ娘が怪我をするというのは印象迷彩を超えるような大きな関心事項のようだ。 こちらの返事も待たずに治療箱を取り出すと勝手に足に触り始める。 「痛むか?」 人と直接触れ合うなんて、いったいどれくらいぶりだろう。何故か、アタシの目から勝手に涙が溢れた。 「お、おい!泣くほど痛むのか!?」 「うるせえな……ちげえよ……」

11 21/06/30(水)20:52:56 No.818704863

流行ってからだいぶ経つし別に良いだろ

12 21/06/30(水)20:56:10 No.818706045

「……よし。しっかりテーピングしたから大丈夫だとは思うが、あとでちゃんと医者に診てもらえよ?選抜レースが近いとはいえ、無理は厳禁だからな」 「……関係ねーよ。元から選抜レースなんて出るつもりねーし」 「どうしてだ?トゥインクルシリーズに出たくないのか?」 選抜レースを突破して、トレーナーに就いてもらいトゥインクルシリーズ出場を目指す。それが、この世界のウマ娘にとっては普通のことなのだろう。アタシには関係のないことだが。 「別に……だって、アタシがレースになんか出ても未来は何も変わらないからな」 つい、そんなことを言ってしまう。そうだ、アタシは未来を変えないといけないんだ。そのためにはレースなんかに出ているヒマはない。

13 21/06/30(水)20:56:48 No.818706294

「そんなことはないぞ!!」 突然の大声に、ついビクッと反応してしまう。気がつくと、トレーナーがひどく真剣な表情でアタシの顔を覗き込んでいた。 「『この世界に生きるウマ娘の未来のレース結果は、まだ誰にもわからない』。俺の好きな言葉なんだ。確かに、実力とか適性とか色々問題はあるだろうけど……それでも走ってみるまで結果はわからない。そうじゃないか?」 やけに熱く語っている。どうやら、アタシの愚痴をレースに対する不安だと捉えたらしい。全く、この男の頭の中はウマ娘とレースのことでいっぱいのようだ。

14 21/06/30(水)20:57:53 No.818706736

「何か、君の目標になるものがあればいいんだが……例えば、勝負服なんてどうだろう?」 勝負服。G1に出走するウマ娘にのみ着用が許された、彼女達の一張羅。確かに、勝負服を着ることを目標に走るウマ娘も多い。 「別に……興味ないし」 「ええっ、そうなのか……こんな勝負服を着たいな、とか想像したりしないのか?」 「そもそも、アタシが着れるわけないし」 「そんなことはないぞ!じゃあ俺が勝手に想像してやる!……そうだな、赤い勝負服なんてどうだろう?」 「赤ぁ?」 「ああ。情熱の赤い勝負服だ。きっと君によく似合うと思うぞ」

15 21/06/30(水)20:59:02 No.818707212

そう、果たされることのない約束を交わす。その時、トレーニングの終了を告げるチャイムがなった。 次の予定があるのだろう、露骨にそわそわし出したトレーナーを、さっさと行け、と追い払う。 「そうだ、まだ名前を聞いてなかったな」 去り際に男が言う。けれど、私には名乗るべき名前がなかった。咄嗟に口から出たのは、私が追ってきた相手の名前。 「ゴールドシップ。アタシの名前は、ゴールドシップだ」 「そうか!じゃあ、ゴールドシップ。今度は選抜レースで会おう。約束だぞ!」

16 21/06/30(水)21:00:04 No.818707579

あの出会いから、ターフの上で様々なことがあった。選抜レースを覗きに行ったら、あの男がアタシを覚えていたこと。ゴールドシップとしてそのレースに出て、おまけに勝ってしまったこと。 沢山のウマ娘達と知り合い、いや友達になったこと。彼女達の頭の中からアタシの記憶が溢れていかないように、突拍子もないことを沢山やったこと。迷惑もかけたしバカなこともやったけれど、どれもいい思い出だ。 メジロマックイーンと親友になり、命を救ってしまったこと。その頃には薄々気が付いていたが、どうやらアタシこそが時空犯罪者「ゴールドシップ」らしい。 ゴールドシップを追ってこの時代にやってきたというのに、少々矛盾している気もするが……難しいことはよくわからない。

17 21/06/30(水)21:00:37 No.818707795

トレーナーとのその後の関係については……ここに書くのは少々気恥ずかしい。各々勝手に想像してくれ。 一つ言えるのは、すげー暇だったアタシの人生が、アイツと出会えて面白くなったってことだ。 この幸せな時間がいつまで続くのかはわからない。アタシの元いた未来がどうなっているのか。この世界でも戦争が起きるのか。 でも、「この世界に生きるウマ娘の未来のレース結果は、まだ誰にもわからない」んだ。だからアタシは、アイツと新しい約束をする。

18 21/06/30(水)21:01:22 No.818708118

『なあ、100年後ヒマ?空いてたら、宇宙行こうぜ』

19 21/06/30(水)21:08:36 No.818710988

そういうことだったのか…

20 21/06/30(水)21:09:08 No.818711197

えっ何これこれで終わり?

21 21/06/30(水)21:13:00 No.818712704

いい…

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