21/06/29(火)11:02:57 「それ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1624932177894.png 21/06/29(火)11:02:57 No.818230283
「それでね、言ってやったんですよ、トレーナーのこのだめちんちん! って」 「あははは、君のトレーナーさんにも、俺と同じ飾り物が付いているのかい?」 「えー、マスター……いや、お兄さんでしたか、のモノは飾り物なんですかぁー?」 「どうぞ……」 ガンッ! トレーが強かにテーブルに打ち付けられる。無愛想メイドの最高のパフォーマンスが見られる瞬間だ。 「……ミルクと砂糖はいかがなさいますか?」 「ミルクと角砂糖二つで、おねがいしまーす☆」 彼女、この喫茶店の店名にもなっているマンハッタンカフェの、目付きが一瞬険しくなった気がした。 「それと、訂正してください。トレーナーさんのモノは飾り物じゃないです」 「えぇー、その話を振ったのは私じゃなくてお兄さんですよー。あ、そうそう、お兄さん呼びじゃなくていいんですか?」 「度々齟齬をきたすのでここでは控えています」 「気を抜くとお兄さん呼びに戻るのに?」 「……何か?」 「なんでもないでーす☆」 ふん、とでも言いたげに踵を返して彼女は別のテーブルに移っていった。この店の見世物である。
1 21/06/29(火)11:03:33 No.818230382
「はぁー、至福の一時でした」 「だろだろぉー、セイちゃんもそう思うよなぁー」 テーブルの汚れを拭き取っていたゴルシが絡んできた。 「モノトーンのメイド服に靡く青鹿毛の長髪、ハマる人が多いのもわかるよね」 「なぁなぁーセイちゃんよぉー、アタシは? ア・タ・シは、どうよっ! アタシもモノトーンになるぜぇー」 腰をくねってポーズを取っている。今のゴルシは頭のアレの代わりにホワイトブリムを付けている。アレがないだけで随分印象が変わるものだ。普段は印象に残らないもみあげが見えて、綺麗な長髪とスタイルの良さもあって物凄い美人に見える。"あんな子居たっけ?"という会話を何度聞いたか知れない。が、勿論煽てるとウザくなるので言わない。 「まあ、良いんじゃない?」 「何だよその気のない台詞はよー、らしくないゾ☆ セイちゃんのい・け・ず」 ウザ……。
2 21/06/29(火)11:04:12 No.818230485
「そんなことよりもよー、カフェのやつ、どう考えても以前より気が強くなってるじゃねーか」 「どんな魔法使ったんだよお兄さんよぉ。まさか調教か、調教したんか? いやむしろされたんか!?」 頭のアレがなくてもゴルシはゴルシ。知らない美人に見惚れた子が、そのまま落胆していくのも、何度見たか知れない。 「ご想像にお任せします」 「かー、聞いたかよセイちゃん。この学園のトレーナーはみんなこんな野獣なのかよ?」 「教え子に手を出してシレッとしてるんだぜ? 各方面に失礼だよなぁ!」 「そうか、ゴルシは知らないんだね」 「え……?」 「この街は、隅々までメジロの力や流儀が浸透していて、それはこの国の法規より優先されているんだ」
3 21/06/29(火)11:04:36 No.818230547
「ウソだろ……アタシ達は、欲望渦巻くソドムの民だったっていうのかよ」 「いいや……ここはエデン、君が目指した場所さ」 そう言って落胆するゴルシの肩に手を置いた。 「それじゃ、私はもう行くね。美味しかったよ、お兄さん。ごちそうさまっ☆」 「いってらっしゃいませ、お嬢様」 「待って、待ってください聖ウンス。聖ウンスよ、我を救い給え」 ゴールドシップの嘆願が早春の空に響く。抜けるような青空であった。