ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/06/27(日)00:42:47 No.817411452
その龍の姿をした天(あま)の政所を司る神は二人を赦した。大地は元に戻る。それだけの話し、話だった。ほんの些細な少年少女のジュブナイル。で済まされていいはずなのだ。 しかし、この話には続きが存在する。 ――帆高は金曜のゼミが終わると自宅ではなく、田端の水上電車で薄明るい路地を走る。 令和の名に似合わないモルタル製の住宅の軽いドアを叩くと彼女が顔を出す。 「おかえり、帆高」エプロン姿の彼女が迎え入れてくれる。キッチンからは出汁の効いた温かい匂いが広がる。 「ただいま、陽菜」 迎え入れると同時に男は女を抱きかかえる。あの空と現実がつながったあの日のように、それが二人にとっての日常 それから先はもう少年少女の初々しいハグではない、少し男と女の関係。
1 21/06/27(日)00:43:12 No.817411615
食事の片付けもそうそうに居間に敷かれた布団で一つになる、2段ベッドでは頭をぶつけるから。 そしてなんども体を求め合う。若さだけが、青い若さだけがそこには広がる。 そして幾刻も流れた後、静けさが田端の夜を襲う。電車のきしみ音はもう聞こえない。 帆高はただ陽菜さんの寝顔を見守っていた。そして頭を撫でる。実在するという喜びを噛み締める。 その腕の中で陽菜はある確信をしていた。自分とは違う胎動が体に刻まれているという事を、そして。その愛の証をいつ帆高に告白するか、彼の順風満帆なキャンパスライフに釘をさすか、男女の契を先に済ませるか。高校生たる彼女には悩ましい問題だった。 しかし、彼女の身体は正直だった。彼の手を自然と彼女の肚へと手繰り寄せる 「陽菜?起きてたの?」「うん…それよりね帆高くん…」
2 21/06/27(日)00:43:24 No.817411703
彼女に芽吹く鼓動に彼が気づくのにさして時間はかからなかった。 そう、二人にとっての祝福。祝祭が訪れる。そんな夜明けが今始まった。 その日を境に降り続いた雨は止み、元の東京に戻り始めたのは彼女が巫女の役目を終え母親としての役目を手にいれたからに違いない。
3 21/06/27(日)00:46:15 No.817412887
hdhnキテル…
4 21/06/27(日)01:06:54 No.817421923
気ぶりや...
5 21/06/27(日)01:08:02 No.817422407
久々に見たぞ!