21/06/24(木)22:28:37 「お兄... のスレッド詳細
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21/06/24(木)22:28:37 No.816639944
「お兄ちゃんとカレンってもう3年以上の付き合いになるよね？」 「うん、そうだけど。」 「じゃあそろそろした方がいいかなぁ…。」 カレンが真剣な表情で何かを考えている。 こういう時の話は大抵大それた事になるのがお約束だ。 「そろそろ何をするんだ？」 「お兄ちゃんをカレンの家族に紹介するの☆」 予想以上に大きな爆弾が投下された。 家族に紹介すると言うことはつまり俺とカレンが…。 「いやまだ早いんじゃないかな？ほら、まだ付き合ったりしてるわけでもないのに。」 「むー付き合ってないってのは聞き捨てならないな！取り敢えずそれは置いといて、3年間も一緒に頑張って家族以上の関係になったお兄ちゃんを家族に紹介しないのは変じゃない？」 「うーん確かに…」 確かに3年間もカレンを預かっていたのに対面はおろか電話でのやり取りすらないのは親御さんは不安になるかも知れない。 「でしょ？だから挨拶しに行こうよ☆」 「うーんでもいきなり会うのは緊張するな…。」
1 21/06/24(木)22:29:06 No.816640159
カレンの両親がカレンを溺愛しているのは知っている。 大きなレースで勝つたびに祝福の電話を入れ、山のようにプレゼントを送ってきているのだ。 そんな両親に会ってちゃんと対応できるかどうか…。 「大丈夫だよお兄ちゃん☆父さんも母さんもトレーナーさんを取って食べたりしないから☆あ、それなら先に兄さんに挨拶する？」 「兄さん？」 カレンが度々話をするので兄の存在は知っていたが、両親と違ってどう言った為人なのかを知る機会はなかった。 連絡もあまりないし遠くに住んでいるのだろうか？ 「そう兄さん☆ちょうど時期も良いし先に済ませちゃお☆」 「そこまで言うならまあ…」 「じゃあ5月8日の予定空けててね☆」 「え！？お兄さんと調整しないで良いのか！？それにその日は平日じゃ…。」 「良いから良いから☆その日は前からカレンはお休み取ってるから☆」 どうにも釈然としないが実際にカレンはすでに休みを取っており、こちらも仕事が出来ないためスムーズに休みは取れた。
2 21/06/24(木)22:29:29 No.816640320
「お兄ちゃんこっちこっち☆」 カレンに連れられて来たのはお寺だった。 「お兄さんってお坊さんなの？」 「違うよー☆ほらこっちこっち☆」 カレンに連れて来られたのは墓前だった。 「もしかしてカレンのお兄さんって…。」 「うん、カレンがちっちゃい時に死んじゃったの☆」 カレンは笑顔だがその瞳には悲しみが浮かんで見えた。 「それで今日は命日だからお墓参りに来たの☆ごめんね兄さん、年に一回しか来れなくて☆」 カレンは新しい花を活け、墓を洗い始めた。 「お、俺も手伝おうか。」 「ううん大丈夫☆兄さんも初めての人に触られたらびっくりしちゃうだろうし☆」 カレンは墓を磨きながら語りかけた。 「兄さん、カレンはこのお兄ちゃんのお陰でトゥインクルレースで大活躍できたんだよ☆カレンの恩人って言っても良い存在なんだ☆」 カレンは楽しそうに語りかけているが、その姿はどこか痛ましかった。
3 21/06/24(木)22:29:55 No.816640500
「カレン、お兄さんってどんな人だったんだ？」 「兄さんはね、とっても優しかったよ☆ただ口下手だから無口だったかな☆走るのが好きでカレンが走りたいって思ったのも兄さんの影響かも☆」 「そうなんだ、良いお兄さんだったんだね。」 「うん、本当に良い兄さんだった…。」 兄さんの話をしたせいか、カレンの表情は悲しげになっている。 「カレンがレースで勝つところ見せたかったなあ…。」 叶わぬ夢を言うカレンの目は今まで見たことがなく弱々しかった。 「そうだ！兄さんが好きな春の歌歌ってあげるね☆」 カレンは春の歌を歌い始めた。 いつもと変わらない明るい声で歌うカレンがどこか物悲しく見える。 「どうだった兄さん？今年の新しい曲も混ぜて歌ってみました☆後はなんか歌える曲あったかな…。」 「ライブの歌を歌ってみたら？レースは見せられないけどそれなら今お兄さんに見せられるしさ。」 「お兄ちゃん名案！それじゃメイクデビューからの本能スピードでラストはうまぴょい伝説歌うよ！」 カレンは力強く持ち歌を歌い、踊りもし始めた。
4 21/06/24(木)22:30:14 No.816640651
「良いぞカレン！お兄さんのためのソロライブだ！」 「イェーイ！兄さん見てる？」 明るい声で歌い続け、うまぴょい伝説まで歌い終えた。 「あれ…なんで…？」 歌い終わったカレンの目から自然と涙が流れていた。 「なんで泣いてるんだろ…こんな弱いところ見せちゃダメなのに…。」 何とか涙を止めようとするカレンだが、涙は止めどなく溢れてくる。 ライブを歌った事により、レースを見せられなかった思いが強くなったのかもしれない。 「ごめんねお兄ちゃん。すぐに泣き止むから…。」 なんとか感情を抑えようとするカレンをもう見てはいられなかった。 「え？」 カレンを引き寄せ強く抱きしめた。 「今日は無敵のカレンじゃなくて良いよ。」 「お兄…ちゃん…！」
5 21/06/24(木)22:30:36 No.816640820
感情を抑えきれなくなったカレンはわあわあと泣き始めた。 思えばカレンの涙を見たことは今までなかった。 常に完璧を目指すカレンは人前で弱みを見せることなんて出来なかったのだろう。 だが彼女もまだ少女だ。辛い現実を一人で受け止め切れるわけもない。 「兄さんなんで死んじゃったの…！？いつまでも一緒にいようって言ったじゃん…！」 少女が背負うには重すぎる悲しみを吐露し続ける。 俺にできることは彼女が背負って来たものを受け止め続けることだけだった。 「ヒック…ヒック…。」 「カレン、落ち着いたか？」 「…うん。」 「なぁカレン、俺はお兄さんじゃないが、カレンが辛い時は何でも相談に乗るぞ？」 「ありがとうお兄ちゃん…でもカレンはお兄ちゃんには完璧なカレンを見てて欲しいの…。」 その言葉を聞いて正直少し悲しかった。 カレンにとって自分は頼りにならない存在と言われたような感じがしてしまったのだ。 「それで本当の家族になれるのか？」
6 21/06/24(木)22:31:13 No.816641141
思わずキツい言葉をカレンに投げてしまった。 やってしまった…カレンを傷つけてしまうなんて最低だ…。 「本当の家族…。」 カレンは噛み締めるように同じ言葉を繰り返している。 「そうだよね、本当の家族ならなんでも話すべきだよね…。」 カレンの真っ直ぐこちらを見つめた。 「ごめんねお兄ちゃん、やっぱりカレンはお兄ちゃんにカワイイカレンチャンを見ててもらいたいの。でももし一人で受け止めきれないことがあったら…。」 カレンは恥ずかしそうに上目遣いでこちらを見る。 「家族としてお兄ちゃんに甘えても良い？」 「ああ勿論。」 答えを聞いたカレンの顔はとても明るくなった。 「やった☆お兄ちゃんがカレンと結婚してくれる約束してくれた☆」 「ええ！？」 「だって家族として甘えるってそう言うことでしょ☆」
7 21/06/24(木)22:31:24 No.816641217
イタズラっぽく笑うカレンを見てそれを否定できるわけもない。 「まあそうだな。いつかはとは思ってたし…。」 「カレンは今すぐでも良いんだよ？」 「流石にそれは急すぎるよ。」 「えーでももうすぐだよ？」 カレンは時計を見て言う。 「もうすぐって？」 「カレンの父さんと母さんもそろそろここに来るってことだよ☆」 「ええ！？それは聞いてないぞ！？」 「兄さんの命日なんだから家族全員集まるに決まってるじゃん☆」 してやられた。確かに家族の命日に家族が集まるのは当然だ。 家族に会う前に兄とと言ってたがここまで巧妙に仕掛けられてたとは。 「さぁ、覚悟を決めてよお兄ちゃん☆」 恐るべしカレンチャン。
8 21/06/24(木)22:33:05 No.816641958
兄の墓前で泣く愛娘とそれを抱きしめる男性 両親が見たら逃げ場は完全になくなるやつだ
9 21/06/24(木)22:34:42 No.816642693
うまぴょいしたんですか！
10 21/06/24(木)22:34:57 No.816642810
泣いたのは本心ではあるんだろうけどやっぱ強い…
11 21/06/24(木)22:35:51 No.816643234
強いな…
12 21/06/24(木)22:36:50 No.816643713
感情揺さぶられたのは偶然でも両親に紹介するのは既定路線なのがカレンチャンだ
13 21/06/24(木)22:40:59 No.816645651
強いけど弱い所もあるカレンチャンカワイイ！
14 <a href="mailto:s">21/06/24(木)22:41:32</a> [s] No.816645883
実際にお兄さん亡くなってるか分からないけどどうしても書きたくなって書いてしまった 年相応のカレンチャン書くのも楽しい…
15 21/06/24(木)22:43:34 No.816646861
墓前ぴょい！
16 21/06/24(木)22:45:19 No.816647672
カレンチャンシナリオでも強いから泣くシーンないよね 泣いた姿見たい…
17 <a href="mailto:スプリングソング(仮)">21/06/24(木)22:46:07</a> [スプリングソング(仮)] No.816648006
>墓前ぴょい！ 抱くのはいいけど他所でやってくれます？
18 21/06/24(木)22:50:38 No.816650177
うまぴょいは 隠語じゃ ねぇって
19 <a href="mailto:???">21/06/24(木)22:54:18</a> [???] No.816651798
モエとかヒメとかキラキラネームは勘弁
20 21/06/24(木)22:58:51 No.816653819
弱いところを見せるけど強か
21 21/06/24(木)23:06:40 No.816657060
カレンチャンは涙も綺麗だよなあ。 ところで兄さんじゃなくてスプリングソング姉さんだったらお兄ちゃんが亡くなった姉さんの元トレーナー(あの人がスプリングソングの主戦騎手みたいなので)って展開に出来そうだし誰か描いてくれないだろうか。
22 21/06/24(木)23:16:46 No.816661261
強い女の子が不意に見せる弱さに弱いのだ