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    21/06/24(木)02:05:12 No.816390677

    泥の深夜便

    1 21/06/24(木)02:10:50 [1/4] No.816391633

    「なんやうちと似た匂いがするから来てみればまたけったいなことになってはるなぁ」 「ええ、全くね。退屈しなくていいけれど」 角の生えた鬼と西洋人らしい金髪の二人の少女達は新宿の片隅で長身の女性と対峙していた。 「どちら様ですの…?」 長身の女性、といってもまだ8歳のスヴェトラーナはその小豆色の髪を不安そうに弄りながら問う。 朝起きたら見知らぬ土地に放り出され、追う背中もない今スヴェトラーナは非常にナイーブになっていた。 だからこそ分かる。目の前の二人から感じる気配、感覚。間違いなく自分の同類だ。 「ああ、うち?まぁそやね、泥新宿のアヴェンジャー何人目やったけ?」 鬼の少女、鬼童丸は首を傾げ金髪の少女、モードに問い掛けた。 「寒波、赤コート、双龍に私達。四人目よ」 モードはいつもの事だとでも言わんばかりに答える。 「ああ、そや、4人目や。泥新宿のアヴェンジャー4とか言われとる」 「スヴェトラーナは、スヴェトラーナは、貴女達とは無関係ですわ…」 深淵のような鬼童丸の目から目を反らす。

    2 21/06/24(木)02:11:27 [2/4] No.816391733

    「いややわぁ、あんたうちと同じ混じり物やろ? 竜や」 「一つ訂正してもらいますわ。ドラゴンではなくジラント。そう、東欧至上の種族ジラント。幻想に生きるものの中でも最上位に生きるもの、全ての連鎖の頂点」 煽るような鬼童丸の言葉が気に触ったのか、スヴェトラーナは少々早口になりながらも言い返す。 「そういうの語るに落ちるって言うんじゃない?スヴェトラーナさん?」 くすくすと、ひどく愉快そうに子供を慈しむようにモードは微笑んだ。 「あ! ほ、放っておいてくださいまし!」 あわてふためくスヴェトラーナ。 恥ずかしかったのか顔が真っ赤にそまっていた。 「あんた、面白いなぁ。うちらと組まん?」 「貴女、また勝手に…」 「ええやないの」 鬼童丸とモードは和気藹々と会話を続ける。 「お断りしますわ、スヴェトラーナには帰らなければ行けない場所があります!」 スヴェトラーナは深く深呼吸をするとしっかりとした口調で言い放った。

    3 21/06/24(木)02:12:40 [3/4] No.816391928

    「……残念やなぁ」 「ええ、本当に残念」 アヴェンジャー達の雰囲気が変わる。 しかし、少なくとも惜しいと思ってはくれているようだ。敵対するような気配はない。 「……そこまでだっ!」 瞬間、雷光が疾った。赤い雷光がアヴェンジャー達の周囲を焼く。 「そう言えば、あいつの縄張り近くだったわね」 「ああ、忘れとった。気分悪いわぁ」 「スヴェトラーナさんを任せるならちょうど良いかもね」 「まぁ、不愉快やけど仕方ないなぁ」 赤い雷光を珍しくもなく眺めながら鬼童丸とモードは溜め息を付いた。 赤い何かが上空から降ってくる。それは人だった、赤い髪、赤いスーツに身を包んだ槍を持った女性。泥新宿のランサー(2)、御苑のランサー竜狩り。 「アヴェンジャー! 今日、ここで決着をつけるつもりか!」 怒りに肩を震わせ、竜狩りは吠える。 鬼童丸とモード、竜狩りはこれまで幾度も刃を交えた宿敵だ。

    4 21/06/24(木)02:13:35 [4/4] No.816392070

    「冗談、今日は気分が良いから見逃してあげるわ。そこの子、スヴェトラーナは迷い人らしいからなんとかして上げて」 「その子は竜やけど、手ェ出したらうちらが容赦せぇへんの覚えとき。スヴェトラーナはん、ほな、またな」 殺気だっている竜狩りとは違い、鬼童丸とモードは戦う気はないようだった。 鬼童丸は竜狩りを一睨みする。 二人はスヴェトラーナに手を振るとさっさと竜狩りの前から立ち去った。 「なんなんだ、あいつらは……」 困惑しながら首を傾げる竜狩り。 殺気は何処かへと行ってしまった。 槍を納めるとスヴェトラーナを見る。 「ひっ!スヴェトラーナは竜じゃないですの!ジラントですの!」 竜狩りを見るとその場にへたりこむ。 (ジラントは竜ではないのか…?) 「迷い人ならちょうど良い。君の知り合いかは分からないが、他にも迷い人がいる。付いてきてくれ」 竜狩りはへたり込んだスヴェトラーナに手を差し伸べる。 暫く躊躇していたスヴェトラーナだったが、やがて竜狩りの手を掴み、立ち上がった。

    5 21/06/24(木)02:16:02 No.816392463

    新宿×綺羅星続いたn!?

    6 21/06/24(木)02:19:36 No.816392980

    これどっかでペトラがビーストモードで突撃してくるやつ