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21/06/24(木)00:13:18 サクラ... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1624461198541.jpg 21/06/24(木)00:13:18 No.816359396

サクラサク、されど散りぬ桜は非ずもの 盛者必衰…季節が巡り、また人は花を愛でるのみ チヨノオーは皐月賞に負け…伏兵として参加した…日本ダービー…そこでタガが外れたように勝利した。 「サクラは必ず咲き誇る…けど…」 その時俺は胸にどこか不安しか無かった…。 彼女は造花ではない…本物の美しい桜なのだ。 だから…それが散れば…美しさなど、等に忘れ去られてしまう。 日本ダービーに勝利した日、その日は北海道で最後の葉桜が散り始めた日だった…。 ありもしない理論なのに、俺はその不思議に感じる恐ろしさに押しつぶされてしまいそうだった。

1 21/06/24(木)00:13:31 No.816359463

少し前。 「トレーナーさん!私…春のうちに勝ちたいんです、胸騒ぎがするんです…お願いします」 ハードなレーススケジュール、安田記念も宝塚記念も出走したい、彼女はそういった。 g1を3連続出走なんて無茶だ、…彼女の選手生命を壊す行為に近い。 だけど…彼女が今、初めて見せた貪欲な勝利への願い、……それを無碍にできるトレーナーでは無かった…。 「分かった、……勝てるのか?」 「……大丈夫です!絶対勝ってみせます!…だから…勝ったあとはいっぱい褒めてください!…なでなでもしてください…!」 幼いころから、小さな彼女の良き兄貴分として俺は過ごしていた。 ことある事で彼女を撫でて…優しく大切に扱って…そして今、変わらぬ爽やかで優しい笑顔を…俺は守りたいと思う そうだ、だから疑うものか、トレーナーが担当の敗北を思考するなどあってはならない。 桜は散った…だがそれがどうした、彼女はまだ散ってない。

2 21/06/24(木)00:13:42 No.816359530

…この先に待つ地獄が、例えどんなものでも…彼女と俺ならやって行けるんだ…。

3 21/06/24(木)00:13:55 No.816359598

サクラチル、生花枯れぬもの無し。 だけど……こんな所で怪我なんて早すぎるなんて、言えるものか… 「……レコードタイムレースを出した身体に…そのような無理な練習を積んだのが原因でしょう」 チヨノオーは俺がいない間に自主練を勝手に行い………結果、そこで怪我をした。 真の問題は怪我の治癒が遅れた部分だろう骨も筋肉の不適切な接合が始まってから治療を受けてしまった…。 「リハビリを含めても…元の走りは手に入れることができません。」 恐らく、一件としてはトレーナーではなく彼女に責められる事案だ。 「………そんなっ………!」 「チヨノオーさん、…管理を任せるべき存在を信頼しなかったのが祟った事です…。ですから、まずは安静にして治すことを最前に動いてください」 チヨノオーの耳はぺたりと後ろに下がり、その目は怒りの目をしていた。 信じていなかったのではない、…信じて、なおも俺のために……

4 21/06/24(木)00:14:11 No.816359705

「いや……俺のせいです。彼女の制御に置いては全てが俺の責任にあったと言えるでしょう」 「トレーナーさん……ちがうんですっ!これは……これは私が…」 「チヨ…来年、来年なら出れるはずだ…夢を諦めてはダメだ!出たいんだろ……?」 ……彼女はずっっと苦しい顔をして…それでも精一杯の笑顔を見せた…。 「私、……絶対、絶対勝ってみせます!!…だから、……信じてください、…トレーナーさん…」 「疑うものか……だから、無理だけはしないでくれ…お願いだ………」 「はい……トレーナー……いえ……お兄さん…」 ぎゅっと抱きついて…溜まった全てが放出されるようにチヨノオーは泣き出した。 「大丈夫だって、……大丈夫。きっと…諦めなければ絶対に勝てるんだ」

5 21/06/24(木)00:14:27 No.816359802

人生はひとつの歯車である。故に生きるということは、常に歯車を回し続けるということである。…パーツを失ったなら補完を繰り返さねばならない。 ……例え、それが人が望んだものでなくとも。 「担当の追加ですか?」 ……俺に告げられたその言葉は酷く現実的で…残酷なものだった。 「チヨノオーの復帰は絶望的である、…彼女の最愛のトレーナーであることは理解した上で…しかし…それではトレーナーとしては成り立たない…追加の担当を入れなければならないんだ」 「………分かってます…」 追加の担当として新たなウマ娘を俺は育成することになった。 図書委員として静かに存在を薄めてたものの、偶然前のトレーナーが退職して手が空いてしまった。 その埋め合わせが俺である。

6 21/06/24(木)00:14:47 No.816359921

「よろしくな…ゼンノロブロイ」 「いえ…チヨノオーさんが大変な状況で、私の担当になったこと…とても感謝してます、可能な限り負担を掛けないよう、頑張りますね」 …恐ろしいことに彼女はそつなく優秀な成績を出す子であった。 練習メニューを提示すると恐ろしい早さで飲み込み、その応用も簡単にやってのける。 チヨノオーが参加するはずの宝塚記念で…見事4着を取り、最初に担当したばかりにしては中々の成績であった。 ……もし、彼女が走ってたなら…… 「トレーナーさん…やっぱりチヨノオーさんのこと、気になりますよね…」 「ああ…君の担当だってのに…これじゃトレーナー失格だよ…」 「いいえ……その一筋の思い、とても素敵だと思います。まるで……その、…本に出てくる主人公見たいです」 「……ありがと、流石に誇張しすぎだって」

7 21/06/24(木)00:15:02 No.816360003

何より驚いたのは…その頑丈さだった。 まず秋の手始めに出した京都大賞典にて2着。 「…天皇賞・秋への切符、手に入れました」 「……行ってらっしゃい、ロブロイ!」 夏場の彼女の効率的な練習が響いたんだろう…キチンと結果を残してくれた。 そしてそこから… 「勝ちました…トレーナーさん!」 有馬記念、彼女はこれで…シニア三冠を獲得する。 世間では物静かなところや、ほとんどメディア対応をしてないこともあり、…静かに、さらっと奪い取ってしまった。 「…おめでとう、ロブロイ」 「ふふ…私もひとつ、また英雄に近づけましたか?」 「ああ……ふふっ、俺のトレーナーとしての経歴にはまさに英雄として残ったよ」 「………嬉しいです……」

8 21/06/24(木)00:15:16 No.816360085

同時に、俺のトレーナーとしての1年目の最も大きな結果は…チヨノオーの日本ダービーではなくなった。

9 21/06/24(木)00:15:32 No.816360178

「シニア三冠を取れたことで…その…暫くはレースに出なくても良くなりました」 放課後の図書館で彼女は静かにそう笑って言った。 「いいのか…?お前なら春シニアだって…」 「……私のことは大丈夫です……その間に、どうかチヨノオーさんを…救ってあげてください」 「……分かった……次のレースはどうする?」 「宝塚記念に出ます。」 ……彼女と被る、……ある意味決着が着く日だ。

10 21/06/24(木)00:15:54 No.816360303

2月、彼女がついに退院する。 「おかえり…チヨ」 「……トレーナーさん……ううっ…………」 チヨは突然泣き出して…俺に抱きついた。 「どうしたんだよ、急に…」 「足が………ちゃんと動きません…きっと世間はまだ走れると思ってます…でも…もう私は走れない身体になってしまったのです…」 「……チヨ……夢、諦めるのか?」 「……できません……私、まだ走りたいんです…普通のウマ娘ではなく…トレセンのウマ娘になったんです…ここまで頑張ったんです!…だから……!」 「諦めるな、チヨ……大丈夫だ、……俺がついてる。」

11 21/06/24(木)00:16:07 No.816360379

2月、復帰とリハビリを考えても…復活出来るのは6月前半…… サクラは、完全に散ってしまっている。

12 21/06/24(木)00:16:26 No.816360478

安田記念……その日、彼女の目は闘志に満ちていた。 だけど……俺は知っていた。 マイルはもう無理だ、彼女の足はそのレベルで速度が落ちてしまっている。 世間ではチヨノオーの復帰を喜ぶ声が大きい、3番人気……だけど……分かってた、……分かりたくなんかなかった。 「はぁっはあっ……なんで……どうして……」 チヨノオーは後方に潰れていく、前はどんどん先へと進んでいく。 ……目をつぶれなかった…夢としてやり直したとしても…結果は変わらない……まるでそう言っているかのように、俺に現実を突きつける。 ………

13 21/06/24(木)00:16:41 No.816360563

「……トレーナー……お兄さん……私……」 「チヨ……」 ロブロイは静かに、邪魔しないように隠れていた。 ……彼女なりの配慮なのだ…。だからこそ、この状況は重く。……より辛いものだった。 「……まだ、諦めたくないんです」 「……やれるのか?」 「…もう、ダメかもしれません」 彼女からでた初めての弱音…… 俺は息を飲んで……そして……悔しくて……でも……。 「…俺がついてる、…だから……負けてもいい、ちゃんと……大切にするから……」 「ごめんなさい……ごめんなさいっ……!」

14 21/06/24(木)00:17:01 No.816360681

サクラは散った、次に咲く日は… 「宝塚記念、ロブロイもでる…」 「チヨノオーさん…手は抜きません…善戦を尽くしましょう」 「……はい……ロブロイさん……」 ………………ああ……やっぱり……そうなってしまった……知ってはいたんだ…最初からこうなるって…そんなの………でも……!

15 21/06/24(木)00:17:21 No.816360799

チヨノオーは…泣き崩れた。 宝塚記念、ターフの最後にいた彼女は、あの優等生と呼ばれた美しい姿を捨て、ただ……泣き崩れて、泣いて、泣いて、大粒の涙を大地に落として……地に膝を着いて泣き崩れた。 ……ファン全てが彼女のその姿を見ていた。……桜は散った…いや…風に乗って…涙と共に散る姿を……… 「……チヨ……」 俺はターフに……誰もいなくなり、ただ彼女のいる所にやってきた。 そして……強く……強く抱きしめる。 「ごめんなさい……ごめんなさいっ……!」 「………もう、いいんだ……こんな辛い思いをさせたのは俺のせいだ…………だから…静かに、幸せに過ごそう…」 その言葉を聞いて……彼女は……嬉しいなんて思わなかっただろう。 でも……認めざるをえず、その上での至上の結果になった……。 だから……泣くしか無かった。 俺は彼女をただ……優しく撫で続けることしか出来なかった………

16 21/06/24(木)00:17:37 No.816360893

その後…サブトレーナーに転向したサクラチヨノオーは…ゼンノロブロイのドリームリーグまでを献身的な姿勢で補佐を続けた。 この終わり方は良い終りとは言えないだろう。 でも…… 月日はあっという間に流れ、また担当を決める4月になる。 新たな担当を決めるべくウマ娘達の模擬レースを眺める俺と……その隣に…… ぎゅっと、腕を掴んで彼女はあの日よりも……どこか力が抜けた笑顔で…… 「トレーナーさん、……お兄さん、私…あなたの隣に座れて幸せですっ」 ぎゅっと、ただ静かに…優しく、柔らかな桜のような笑顔で、俺の隣にただ着いていた。

17 21/06/24(木)00:18:36 No.816361246

時間切れなら明日出すと言ったので約束通り次の日の今日出した サクラチヨノオー好きなんだけど本当に情報無いな…でもこういう苦しむ内容いいよね…みんなも苦しめ…

18 21/06/24(木)00:20:19 No.816361851

辛い…けど優しい……

19 21/06/24(木)00:24:12 No.816363220

>辛い…けど優しい…… 最後は流石に救いの余地を入れないと本人の脳が爆発寸前だった……一流のバットエンドよりも三流のハッピーエンドがいいんだ……

20 21/06/24(木)00:25:22 No.816363615

>最後は流石に救いの余地を入れないと本人の脳が爆発寸前だった……一流のバットエンドよりも三流のハッピーエンドがいいんだ…… 誇っていいよ…

21 21/06/24(木)00:27:35 No.816364362

>最後は流石に救いの余地を入れないと本人の脳が爆発寸前だった……一流のバットエンドよりも三流のハッピーエンドがいいんだ…… それを書き上げたあんたは偉い…

22 21/06/24(木)00:30:44 No.816365476

苦しいぃぃ……けど良い…

23 21/06/24(木)00:30:49 No.816365503

>最後は流石に救いの余地を入れないと本人の脳が爆発寸前だった……一流のバットエンドよりも三流のハッピーエンドがいいんだ…… お前は偉いよ…

24 21/06/24(木)00:35:02 No.816367027

旅行物を2日サボったけどこれはこれでなかなか良いものができた感じがするので満足 チヨちゃんは曇らせよりも崩れ去る姿の方が美しいと思う

25 21/06/24(木)00:39:06 No.816368399

悲しいけどとてもよい…

26 21/06/24(木)00:43:31 No.816369862

いい…でも立派に咲き誇る桜もいいよね…

27 21/06/24(木)00:45:57 No.816370670

この完璧に絆が高まった状態でうまぴょいキメれたらマジでエクスタシー全開放できるんだけど うまぴょい適正ないので書けない なので誰か本気で書いてくんない?

28 21/06/24(木)00:50:41 No.816372075

>この完璧に絆が高まった状態でうまぴょいキメれたらマジでエクスタシー全開放できるんだけど >うまぴょい適正ないので書けない >なので誰か本気で書いてくんない? 正直どうやっても退廃的な感じにしかならないと思うんだけど気のせいかな?

29 21/06/24(木)00:55:51 No.816373603

>正直どうやっても退廃的な感じにしかならないと思うんだけど気のせいかな? たぶん主従関係決定ぴょい(チヨノオー従属)になりそう

30 21/06/24(木)01:15:12 No.816378967

お前が始めた物語だろ

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