21/06/20(日)22:01:01 前回ま... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1624194061091.png 21/06/20(日)22:01:01 No.815361762
前回までです sp92087.txt
1 21/06/20(日)22:01:38 No.815362080
次の日の放課後、シンボリルドルフ─ハルウララは、黒服のトレーナーに指定された箇所に一人で向かっていた。指定された人気のない海浜公園に、例のトレーナーが立っていた。 「約束通り一人で来ていただけたようで。それでは封筒を。」 手をすっと出すと、シンボリルドルフはキッと睨み返す。 「そのまえにっ!ウララはわざとまけないし、でんわもしないっ!いい!?」 「くっくっく…分かっていますよ。何ならここで一筆書いてもよろしいですよ。」 不敵に笑うトレーナーをじっと睨みながら、鞄から封筒を取り出した。そのまま差し出された手に置くと、さっと手を引いた。 「やれやれ。まるで私が不潔かのようだ。」 「…もうウララかえるから。じゃあねっ。」 「おい、待て。」 踵を返し来た道を戻ろうとすると、地の底から響くような声で引き留められ、びくりとする。恐る恐る振り返ると、そこには先程のわざとらしい笑顔が失せたトレーナーがいた。
2 21/06/20(日)22:02:04 No.815362317
お前、確か『すべてのウマ娘を幸福にするため』とか言っていたな。本気か?」 「…るどるふちゃんならできるよ。るどるふちゃんはいつもわたしたちのことをかんがえてるもん。」 「ハッ。やはりくだらん。お前らの勝手な夢を聞く度に反吐が出る。…その『幸福』の為に何が犠牲になっているかも知らんだろう。」 それだけを言うと、トレーナーはその場を去っていった。 シンボリルドルフが寮へ帰宅していると、スマートフォンから通知音が鳴る。相手はハルウララ─シンボリルドルフからだった。 『今どこにいる?昨日の話の続きがしたい。』 『ナリタブライアンも探している。心配だ。』 シンボリルドルフは、少しだけ考えてから返信した。 『かってにかえってごめんなさい。でも、もうそうだんはいいよ。かいけつしたから。』
3 21/06/20(日)22:02:32 No.815362516
~~~ 放課後、ハルウララが生徒会室に向かう。扉を開けると、既にエアグルーヴが書類を片付けていた。 「エアグルーヴ、お疲れ様。」 「…会長。ご苦労様です。会長の分は既に机に置いてありますから。」 会長席に座るとため息を一つ。シンボリルドルフから昨日の話の続きを聞きたかったが、彼女からの回答はすでに解決したという事後報告だった。 「昨日の今日で勝手にほっつき歩きやがって」と怒り心頭だったナリタブライアンをなんとか宥めてやっと生徒会室に来たのだった。 「…会長?どうかされましたか。」 「ああ、いや、なんでもない。うん…。」 ハルウララはペンを持つと、とにかく目の前の作業を進めることにした。感謝祭に向けてやることは山ほどあった。忙殺されていくにつれ、シンボリルドルフの相談事を少しずつ忘れていったのだった。
4 21/06/20(日)22:03:05 No.815362780
~~~ あれから幾日が過ぎ、萌えた桜の花びらが空を舞う時分になった。 今日はトレセン学園も少しだけ雰囲気が日常とは異なり、皆少し浮ついた気分になっていた。 「…以上が、今日の生徒会の巡回ルートだ。もし何かあれば適宜私かブライアンに連絡をすること。では、皆の協力を期待している。」 エアグルーヴが手元のバインダーの資料を捲りながら、生徒会のメンバーや各クラスの実行委員長に目配せした。 「では、各自配置に付いてくれ。感謝祭の開始は10時からだ。解散!」 女帝の一言でウマ娘達が散らばっていくと、物陰からピンクの髪がふわりと舞い出てくる。 「すまないな、エアグルーヴ。流石にこの身体では…。」 「問題ありません。それよりも会長、今日は一生徒として感謝祭に参加してください。生徒会でもない生徒が運営テント周りにいるのは…。」 「ふふ…言う通りだ。とはいえ私はこの身体でもできることをするだけだよ。パトロールや困っている生徒を見つけたりするくらいなら問題ないだろう。」
5 21/06/20(日)22:03:20 No.815362932
「…ありがとうございます。では、私はこれで。」 エアグルーヴがぺこりと一礼すると、テントの方に戻っていった。ハルウララもその場から離れていく。 (…そういえば、最後に参加者として感謝祭に関わった事なんていつだろうか…。久しぶりの感覚だ。) ハルウララのクラスの出し物は展示だった。自由時間はたっぷりある。とりあえずどこから回ろうか…と考えていると、背後から思わぬ誘いの声が上がった。 「そこにいるのはウララ君か!見たところ一人でどこから見に行こうかという所かな?それならボクたちと一緒に過ごそうじゃないか!」 振り返るとそこには同じ中等部のウマ娘─テイエムオペラオーと、その横に若干の挙動不審でおろおろしていたウマ娘─ライスシャワーがいた。 「ウララちゃんっ、ね、もし…もしでいいんだけど、よかったら一緒に回ろ…!」
6 21/06/20(日)22:03:41 No.815363116
~~~ 「やだやだやだやだーっ!ウララほかのところにいきたいーっ!!!」 運営テントの最奥で両手をぶんぶんと振り回しすシンボリルドルフの頭に、ナリタブライアンの手刀が振り下ろされた。 「やかましい。お前を野放しにすると面倒なことになるんだよ…これ以上指名手配が増えてたまるか。」 あうう、と呻くシンボリルドルフを尻目に、一枚のポスターを突き付ける。 「それにお前には会長の代わりにこのレースを走ってもらわなきゃならない。だから大人しくここにいろ。」 ポスターには大きく「地方・中央混合模擬レース」の文字が書かれていた。それを見ると、シンボリルドルフの目が大きく見開いた。 「えっ!ウララはしっていいの!?やったやった~!はしるはしる~!!」 「ったく…御し易いんだかどうなんだか…。」 呆れたナリタブライアンの目線にも気付かず、シンボリルドルフは嬉しそうにはしゃいでいた。
7 21/06/20(日)22:04:05 No.815363245
~~~ 「はちみーはちみーはっちっみーっ…はちみーをなめーるとー♪」 感謝祭特別のはちみつドリンクを片手に、ご機嫌なウマ娘─トウカイテイオーが、露店の間を巡り歩いていた。口周りのはちみつを舐めとると、にやりと笑みを浮かべた。 「今日はカイチョーが走る模擬レースがあるしぃ~…楽しみだなー!」 自分の目標たるウマ娘─シンボリルドルフのレース。今でこそ一線からは退いたもの、ファン投票のレースには必ず顔を出すその走りを今日は間近で見られると思うと、トウカイテイオーの楽しみはひとしおだった。 一通り外の出し物を楽しんだトウカイテイオーは、今度は校内を巡ろうと玄関に向かう。自分の靴入れを開け中に手を入れると、靴ではない何かが指先に触れた。
8 21/06/20(日)22:04:17 No.815363339
「ん?なんだろこれ…え…?」 取り出したそれは、一枚の写真だった。そこに写っていたのは、顔の隠れた一人の男と、シンボリルドルフが封筒を手渡している瞬間だった。 「なに…これ…?なんでボクのところに…っていうかこれって…カイチョー…?」 困惑するも、この写真を捨てることも出来なかった。とりあえずポケットの中に突っ込む。 「…後でカイチョーに聞いてみようっと。」 心にもやつく感情を抱えたまま、トウカイテイオーは校内へと消えていった。
9 <a href="mailto:s">21/06/20(日)22:05:51</a> [s] No.815364151
次回に続きます 仕事が重なったり他の怪文書に手を出してみたりしてたら めちゃくちゃ間が開いてしまいました…すいませんでした 以降も不定期になりそうですが、よろしくお願いします
10 21/06/20(日)22:07:54 No.815365128
続き気になってた
11 21/06/20(日)22:08:21 No.815365341
不穏だ…
12 21/06/20(日)22:15:41 No.815368908
久しぶりに見た
13 21/06/20(日)22:54:25 No.815387540
どうかき回していくのか気になる…