21/06/18(金)20:33:14 悟られ... のスレッド詳細
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21/06/18(金)20:33:14 No.814559885
悟られまいとする僕の態度を訝しんだタキオンに病院に引きずられていったのは、URAを制して一月ほどのことだった。 もって二か月。医者はどうしてもっと早く来なかったと、怒りをにじませて言った。 入院のすすめを固辞して学園に帰り、トレーナー室に入るや否や、タキオンは僕の服をつかんで慟哭した。 「どうして」 どうして早く、と医者と同じ言葉をタキオンは繰り返した。 医者には感謝しなければならない。病の進行スピードには何か他の原因があること、そしてその原因が目の前の愛バであることは明らかであった。 「どうして」が「ごめんなさい」に変わっても、タキオンが服を離すことはなかった。 理事長はトレーナー室をグラウンドが見える位置に移し、病状が悪化すると大きなベッドまで用意してくれた。 タキオンにグラウンド檄を飛ばしているのはたづなさんだ。併走相手はハッピーミーク。もちろん桐生院トレーナーもいる。 これだけの人脈に恵まれながら、それをもうすぐ手放さなければならないとは。 痛みはタキオンのお手製薬でだいぶ治まった。死ぬまで薬を飲み続けられるとは、立派なモルモットになったものだ。
1 21/06/18(金)20:33:30 No.814559995
「…君、・・・ット君」 「トレーナー君!」 「…ああ、タキオン、来てくれたんだね。」 ベッドの横に置かれた時計は深夜を指している。日に日に長くなる睡眠時間が、もうタイムリミットが近いことを告げていた。 「聞いてくれ。今日のタイムはなかなか良かったぞ!見てくれ!一回目に比べて、」 「タキオン。」 「…嘘だろ。」 賢い娘だ。声だけですべてを悟ってくれたようだ。最期の力を振り絞って手を伸ばす。 「待ってくれ、まだ私は!」 「タキオン。」 「ありがとう。」
2 21/06/18(金)20:33:44 No.814560084
「ここは?」 死んだと思ったら不思議な光の中にいた。久々の体の感覚に、なるほどこれが噂の走マ灯かと納得した。 だとするとこれからわが愛バとの輝かしい思い出が――― 「やれやれ」 ―――流れることはなかった。 「アイツもバ鹿なことしたもんだ。自分の不注意でこんな事態を招くとはね。」 振り返るとそこのは巨大な謎の四本足。だが耳と尻尾には妙に既視感がある。 「これだけ暴れたんだ。アタシが多少引っ掻き回しても問題ないでしょう。」 それはこちらに飛び掛かってきた。避けようにも久しぶりの体がそんなに俊敏に動くはずもなく… 「まあ、娘の顔も見たいしね。」
3 21/06/18(金)20:34:05 No.814560238
「うわーっ!」 勢いよく飛び起きた。見渡せば目元を腫らしたタキオンと、今駆け込んできた様子の理事長、たづなさん、桐生院トレーナーとハッピーミーク。 そして、タキオンに付き添っていたダイワスカーレットと天井裏から顔だけのぞかせているゴールドシップ。皆一様に目を丸くしている。 「トレーナーさん、なの?」 ぽかんと口を開けたタキオンに変わってダイワスカーレットが恐る恐る、といった感じで聞いてきた。 「えっと、そうだねって、あれ?」 高い声。頭と腰に違和感と何より自由に動く身体。 部屋が沈黙に包まれる。なんとも言えない空気の中で口にできたのは、 「……鏡ある?」 の一言だった。
4 21/06/18(金)20:34:17 No.814560329
「ラスト一本!」 「はあぁぁぁぁぁぁ!」 「うぉぉぉぉぉぉぉ!」 二人同時にゴール板を駆け抜けた。タイムも上々。なかなかの仕上がりだ。 戻ってきた二人にスポーツドリンクを投げ渡す。 「アタシの勝ちね!」 「ハァ!?今のはオレの方が早かっただろ!」 ノートにタイムを書き留めると、丁度スマホが着信を告げる。 「よし、向こうも準備ができたようだ。今日はカレーだってさ。」 「やった!あの人のカレー大好きなのよね!」 「せっかくだ、ウオッカ君も来るかい?」 「えっ、いいんですか?」 「一人くらい増えたって問題無いよ。さ、早くシャワーを浴びてくるんだ。」
5 21/06/18(金)20:34:30 No.814560413
「よし!」 時間ちょうどで火を止める。ごはん良し、サラダ良し。 小鍋のほうも良し。ドアベルが鳴る。帰宅のタイミングもばっちりだ。 「ただいまぁー」 「おじゃましまーす!」 「お、お邪魔します!」 「お帰りなさい!」 リビングの扉が開いて、ぞろぞろと腹を空かした怪物たちがやってくる。
6 21/06/18(金)20:34:42 No.814560503
「疲れたよー」 「私手伝います!」 「ありがとう、サラダ持ってって。ウオッカちゃんは中辛でも大丈夫?」 「あ、はい。ゴチになります。」 ごはんとカレーをたっぷり盛って、輪切りにしたゆで卵を盛り付ける。 「福神漬けは自分で取ってねー。はいタキオンはこれ。」 甘口が盛り付けられた皿を置く。彼女は満足気にうなずくた。 「それじゃあ、いただきます。」 「「「いただきます。」」」
7 <a href="mailto:s">21/06/18(金)20:34:53</a> [s] No.814560579
ウマ娘化流行れ
8 21/06/18(金)20:40:02 No.814562565
良かった…生きてた…
9 21/06/18(金)20:42:12 No.814563348
スカーレットブーケ…?
10 21/06/18(金)20:43:34 No.814563873
これスカーレットブーケだ!