ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/06/14(月)23:06:51 No.813315936
こんばんわお乗様です!今日はお気に入りの運ムンリメイクしてきたので納めください!
1 21/06/14(月)23:07:26 No.813316178
ムーンはサンの家で話をしていた。 「レンタル彼氏?」 ムーンがサンの新しいバイトの内容をキョトンとした様子で聞いている。 「そう。お金貰って女の人の相手するんだ。」 ムーンは何気ない様子でサンの話を聞いていた。 「料金は一回一万円にしようと思ってんだけどお客さんには優しくして貰ってるし半額なんて……」 次の瞬間、ムーンは家を飛び出していった。 「……何だったんだ?」 ー
2 21/06/14(月)23:07:59 No.813316440
その日の夜、ムーンはマオとテレビ電話で話していた。 「……なんて事があっただけよ、その急用も今終わったところだから安心して。」 「そう……もう遅いししっかり眠ってね。」 そう言うとマオは電話を切った。 ムーンは「釈迦に説法」と思いながら就寝した。 そんな彼女の影には財布が隠れていた。 その財布には明らかに入り切らない量の札束が入っていた。 アタッシュケースに入れればちょうど一億円になりそうな量だった。 ー
3 21/06/14(月)23:08:44 No.813316789
二日後の昼。 またサンとムーンが談笑していた。 「そういえばレンタル彼氏の事だけど……どうなったの?」 「何だい藁から棒に。」 「それを言うなら藪から棒よ。」 「わりい、それでレンタル彼氏の事だったな。」 それまで椅子に座っていたサンは向きをムーンの正面へ変えた。 「仲介してるれる会社とかあったんだけど、アローラ全土くらいは俺っちだけで十分回れるし、フリーでやるつもりさ。」 やや得意になったサンの表情を見て、ムーンの表情が綻んだ。 「というわけで!」 サンが部屋の奥からチラシの束を持ってきた。 「宣伝頼めるかな!」 コロコロイチバンを一ダース分重ねたのと同じ厚みのチラシを見て、ムーンは呟いた。 「……それ私に何の得があるの?」 何も考えていなかったようで、サンは固まった。
4 21/06/14(月)23:09:16 No.813316991
彼はこういう金品に関するやり取りには鋭いようで、 「そうだな……」 すぐさま代金代わりの物を考えていた。 「料金は一回一万円にしようと思ってんだけどお客さんには優しくして貰ってるし半額なんて……」 ムーンはにっこり、と笑って無言でチラシの束を半分ほど持ってサンの家を出た。 家を出た後のムーンは、表情も足取りも非常に軽かった。 ー
5 21/06/14(月)23:09:36 No.813317123
更に一ヶ月ほど経って、とうとうサンのレンタル彼氏がサービスを開始した。 「最初のお客さんは誰かなー!」 彼の気分は童心に戻ったかのように高らかだった。 練習等を積み、相当のレンタル彼氏としての自信を付けたのだろう。 色々なトラブルのケースに対しての対策を考えていると、事務所の専用カウンターに初めての客が来た。 既に出払っている元スカル団の男が見ていたら、「レンタル彼氏童貞卒業っスカ!」等の下ネタを言うだろうと思いつつ、サンは対応に向かった。 ー
6 21/06/14(月)23:10:16 No.813317407
サンは一瞬だか驚愕した。 「すみません……サンさんをお願いしたいのですが……」 ムーンが自身をレンタルしに来ていたのだ。 サン本人はあくまで冷やかしだと思いつつ、他の客と同じような対応にあたった。 「はいはいもちろんOKですよ!」 ムーンはキャストがそのまま対応にあたるのをやや貧乏くさいと感じつつ、プランを選ぶ事にした。 「そういえば宣伝の件だけど……」 「おう!半額の件だったな……」 いきなり素を出してしまい、サンは自分に対し面食らってしまった。 「……それで頼みがあるんだけど、内容を変えてくれないかしら?」 「えっ?」 「24時間コースってあるでしょ、あれを特定の人物に限って料金の分だけずっとレンタル出来るようにしてほしいのよ。」 サンは睡眠時間でも一緒にいなければならない24時間コースではかなりの無茶振りだと思っていたが、こちらから頼んた都合断るのも不味いと思っていた。 (お客さんって普通な所得だろうし、そこそこ金持ってたとしても優しいから加減してるれるよな……)
7 21/06/14(月)23:10:39 No.813317577
「わかった!やるよオレ!」 サンはレンタル彼氏としての自分らしい声で承諾した。 「じゃあ、お願いします。」 ムーンはまたにっこりと笑って、財布から代金を出した。 瞬間、サンの脳は理解を拒んだ。
8 21/06/14(月)23:11:18 No.813317930
「24時間コースは一回五万だから一億円でニ千回頼める、年数に直して端数を切り捨てて五年分、お願い出来るよね?」 サンの目の前に一千万円分の札束が十個、つまり一億円が投げ出されたのだ。 サンはジョークだと解釈したがったが、かつて執着を見せ、今でも縛られているとも言える「金」を見間違えられなかった。 ムーンへの返答は本能的な危険を感じて金をはたく事だった。 「……いらないの?」 物悲しそうにするムーンとは対象的に、サンの気分はさながら感度が上がり過ぎたマウスポインタの如く安定していなかった。 かつて必死に集めた一億円をあっさりと出されて理解が追いつかないのだ。 友人リーリエとその母ルザミーネの関係を頭に浮かべつつ、サンは返答を返した。 「お客さん……金持ちだったのか!?」 「そういえば言ってなかったわね。」 ムーンは冷静さを取り戻しまた喋り出した。 先程も物悲しそうにしただけであくまで頭はいつもの彼女らしい冷静沈着なままだったのだろう。
9 21/06/14(月)23:11:47 No.813318162
「こう見えて私……財閥の令嬢なの。」 「それよりなんで私と一緒にいてくれないの。」 「ポケリゾートの建設に必要なお金だってこれで全部貯まるのよ。」 ムーンは一瞬のうちにサンに近づき抱擁をした。 彼の肉体を堪能するように揉みつつ、そのまま語りかけてきた。 「それに、これから不自由なく暮らせるしどんな病気も治してあげるし何よりずっと一緒にいられるのよ。」 サンは今から拘束されるかのような気分だったが、不思議と恐怖していなかった。 むしろ若干だがそれを拒んでいる自分自身を恐れていた。 「だ、駄目だ……」 サンは声を絞り出して拒否した。 今後の状況によるが「拒否してしまった。」 と書いた方が自然になるかもしれないが。 またサンはリーリエの事を思い浮かべていたが、もしこの状況で考えている事がムーンに分かったらと思うといつの間にか出していた冷や汗が止まらなくなった。
10 21/06/14(月)23:12:08 No.813318305
「何倍でも出せるのに……わかった、今日は帰るわ。」 「お互いに考える時間も必要だもんね……」 そう言ってムーンは物悲しそうに、だかある種呆れたかのようにサンの事務所から出ていった。 その時の眼はウルトラビーストに取り付かれた時のルザミーネと同じかそれ以上に不気味に黒光りしていた。 サン本人は似たような気分になったのかはいつだったか思い出しながら、同僚のカキに連絡を取った。 「ゴメン、急にめまいがしてきた。」 END?
11 21/06/14(月)23:12:21 [s] No.813318409
以上になります!
12 21/06/14(月)23:13:13 No.813318816
レンタル彼氏(メンヘラムーン)ネタ懐かしいな!
13 21/06/14(月)23:14:52 No.813319555
>コロコロイチバンを一ダース分重ねたのと同じ厚みのチラシ なそ にん >「24時間コースは一回五万だから一億円でニ千回頼める、年数に直して端数を切り捨てて五年分、お願い出来るよね?」 なそ にん >サンの目の前に一千万円分の札束が十個、つまり一億円が投げ出されたのだ。 なそ にん
14 21/06/14(月)23:21:42 No.813322384
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
15 21/06/14(月)23:22:33 No.813322685
>No.813322384 怖っ!!
16 21/06/14(月)23:22:34 [s] No.813322691
今回はサンとムーンの心理描写とか盛りたかったけど実力不足や読みやすさを取った結果どうとも取れる物に仕上げようと思いこのような形にしました 続きは余裕が出来たら書きたいですし勝手に書いてもいいんですよ!
17 21/06/14(月)23:24:06 [s] No.813323314
>1623680502682.png 手書きありがとうございます!ムーンって探求心が高じて猟奇的になりそうってイメージがあるのでこの怪文書にピッタリです!
18 21/06/14(月)23:27:05 No.813324481
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
19 21/06/14(月)23:29:33 [s] No.813325391
>1623680825213.png ありがとうございます! どうにもLのイメージがチラついてしまいますが圧倒されてる感にじみ出てますね!
20 21/06/14(月)23:37:58 No.813328629
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
21 21/06/14(月)23:39:37 No.813329240
>その日の夜、ムーンはマオとテレビ電話で話していた。 >「……なんて事があっただけよ、その急用も今終わったところだから安心して。」 >「そう……もう遅いししっかり眠ってね。」 >そう言うとマオは電話を切った。 >ムーンは「釈迦に説法」と思いながら就寝した。 ここどういうことだろうか…?
22 21/06/14(月)23:40:15 [s] No.813329492
>1623681478109.png またまたありがとうございます!単純な恐怖と呼べないようなサンの気持ちが伝わってくるようです!
23 21/06/14(月)23:43:09 [s] No.813330489
>>そう言うとマオは電話を切った。 >>ムーンは「釈迦に説法」と思いながら就寝した。 >ここどういうことだろうか…? 医療に携わってるムーンにとって睡眠の重要性は身に染みてるはずなので言われるまでもなく十二分な睡眠をとる気だったって書きたかったんですがやっぱ描写不足多かったですね…すみません
24 21/06/14(月)23:45:28 No.813331293
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
25 21/06/14(月)23:48:00 [s] No.813332197
>1623681928329.png 冷や汗ダラダラなサンは本編じゃかなりの確率で見れないだろうし入れてみたかった描写です 手書きありがとうございます!
26 21/06/14(月)23:54:09 No.813334208
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
27 21/06/14(月)23:56:43 No.813335018
>1623682449625.png 出来ない物はきっぱり無理!って言いそうなムーンがここまで言うのはサンが妄信してるとも言える金があるからですね