虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/06/13(日)20:30:53 No.812915362

    これは、もう一つの数奇な物語。 ジュニア級4月 『これから貴女達新入生はこのトレセン学園で家族と離れて新生活を送ります。自分一人だから………』 お偉方の長々とした祝辞と入学式を終え、芦毛の少女タマモクロスは一人中庭のベンチで佇んでいた。 「家族か……」 家族。と言う言葉を思い起こし、ため息を付く。 「って言ってもうちには帰る家もあらへんけど……ああ、止めや!なんか楽しい事でも考え……って痛っ!なにすんねん!!」 すぐネガティブになるのは自分の悪い癖だ。 気分を変えようと勢いよく立ち上がった瞬間、何者かにぶつかり、その相手を睨み付けようと振り向いた。 「ご、ごめんなさい! ぼーっとしてて……」 そこには背負った多数の荷物を一面にぶちまけ、あわてふためく黒髪の自分と同じくらいの年齢の少女。 どうやら新入生らしく落ちている教科書も真新しいものだ。

    1 21/06/13(日)20:31:22 No.812915607

    「ほんま気ぃつけや…そんな大荷物抱えて、お父ちゃんもお母ちゃんも手伝ってくれへんの? ま、一人はウチもやけど」「え?」 黒髪の少女の顔が強ばる。余計な事を言ったと後悔したが、口を開く。 「ウチ、お父ちゃんもお母ちゃんもおらんねん。一家離散ってやつや。誰がどこにいるか全然分からへん」 「…あ、ごめんなさい。でも、それじゃ私と一緒だね」 「ん?あんたも貧乏なんか?」 思わぬ少女の言葉にタマは首を傾げた。 「ううん。 私のお母さん、私を産んですぐに亡くなって、私お母さんの顔覚えてないの」 とてもつらい話だろうに、えへへ…と恥ずかしそうに少女は笑う。タマはその笑みを見てタマは今一度余計な事を言ったと後悔しながら唇を噛んだ。 「そう言えば名前! 私スターオー、サクラスターオー」 スターオーの明るい表情にタマの表情もつられて和らぐ 「スターオー、良い名前やないか!ウチはタマモクロスや。新入生同士仲良くしようや、スターオー」 にっと満面の笑みを浮かべスターオーに応えるタマ 「うん!よろしくね、タマちゃん!」 「タマちゃんってウチは猫ちゃうぞ…」 口ではそういうタマだが、不思議と悪い気分はしなかった

    2 21/06/13(日)20:31:47 No.812915820

    クラシック級11月後半 「スターオーは凄いなぁダービーは回避したけど菊花賞はきっちり取って二冠バやん」 トレセン学園の食堂でタマとスターオーは食事を取りながら話していた。 タマはうどんに小さなご飯、スターオーはカツ丼にうどんを食べている 「それに比べてウチは……もうダメダメや。そら芦毛は走らんなんて言われても仕方ないわ」 タマははーっ、とため息を付き箸を置く。 食が進まないようだ。 「そんなことないよ! タマちゃんはまだ本当の力を発揮出来てないだけだよ! ただ、本当に本番には弱いけど……」 カツ丼を食べ終えたスターオーはタマを励ますためか思わず語気が強くなる。 「それ、コミちゃんにも言われたわ…」 ズルズルと再びうどんをすすりはじめるタマ。 勝っている自分が勝てないタマになんと言えば良いのか、スターオーは悩むも答えは出ず、タマのようにうどんを啜るのだった。

    3 21/06/13(日)20:32:06 No.812915981

    クラシック級12月前半 初の重賞、G3鳴尾記念を勝利で飾ったタマは意気揚々とトレセン学園へと戻ってきた。 「あ、お帰りタマちゃん! 鳴尾記念見たよ! 最近調子良いね!」 満面の笑みのタマをにこやかな笑みを持って出迎えるスターオー。 「ありがとさん! 実はな、カサマツでごっつ凄い芦毛見たんや、アイツには負けてられへん!」 「道理で気合い入ってた訳だね。ま、次はアタシが勝って見せるから」 「シチーさん!」 タマモクロスの後ろから声をかけてきた金髪の美少女、ゴールドシチーはタマモクロスと同じ鳴尾記念を走り6着。 またスターオーの勝った皐月賞と菊花賞ではスターオーに敗れ、二着となっていた。 スターオーにとってはライバルであり、タマモクロスにとっても因縁と言う訳ではないが縁のある同期だ。

    4 21/06/13(日)20:32:38 No.812916277

    「シチーにスターオーにウチ、注目株が揃ったって訳やな! スターオー、シチー! 天皇賞や! ウチは春の天皇賞を目標にしとる! そこでウチと勝負や!」 初の重賞勝利はタマモクロスに自信を与えてたようだ。 かつての自信のなさは鳴りを潜め、勝負に燃えるウマ娘の姿がそこにはあった。 「……うん!負けないよ、タマちゃん!」 「熱いね、うん。 そういうの嫌いじゃない。 私も負けないよ、スターオー、タマス」 三人のウマ娘は口元を歪め、誰からともなく誓いのように拳を重ね合わせた。

    5 21/06/13(日)20:32:51 No.812916408

    クラシック級12月後半 「タマモ!」 トレーニング場でトレーニングをしていたタマモクロスの元に慌てた様子のシチーが駆け込んでくる。 「なんやシチー、そないに慌てて……」 「あ、もしかして!」 慌てたシチーに首を傾げるタマモクロスとトレーナーの小宮山だったが、小宮山はハッとしたように時計を見た。 「ごめん、タマちゃん! もうスターオーさんの出る有馬記念始まってる!」 「そらあかんわ! シチー、結果は結果はどうやった!?」 「タマモ…スターオーが、スターオーが……」 タマモクロスと小宮山の会話を尻目にその場で崩れ落ちるシチー。 「スターオー? シチー、何があったんや?」 シチーに駆け寄り、その言葉に耳を傾けた瞬間、タマモクロスもまたその場で膝をついた。

    6 21/06/13(日)20:33:11 No.812916577

    一週間後、病院。 有馬記念でサクラスターオーは2周目4コーナーで左脚靭帯断裂を起こし、競争中断。 そして診察の結果、ウマ娘としてレースで二度と走ることは出来ないと診断された。 その結果を既に聞いていたのか、病床で伏せているスターオーの表情は暗い。 それでも友人のタマモクロスがお見舞いに来てくれてた事で何とか笑顔を作り、話をしていた。 「タマちゃん、ごめんね……私天皇賞出れなくなっちゃった……」 タマモクロスとの会話は楽しかった。 だから、もう二度とタマモクロスやゴールドシチーとの約束は果たす事が出来ないと思い出してしまった。 両手でシーツを握り締め、左足をじっと見つめると一粒の涙が零れ落ちる。 (何謝ってんねん、一番つらいのもう走れない自分やろ…) タマモクロスはグッと、奥歯をかみしめる。 拳を握り力を込めた、この友人の為に出来るる事はなにか、自分が出来る事は……。 「ならウチが! 春も秋もスターオーの代わりに天皇賞取ったる!取ってウチらの世代が強かったってなんてアホどもに目にものみせたるんや!ウチが日本一になるんや!」 「タマちゃん……」

    7 21/06/13(日)20:33:55 No.812916986

    ウマ娘シンデレラグレイ外伝「桜の星、白い稲妻」 これは灰髪の少女が白い稲妻と呼ばれる前の物語

    8 21/06/13(日)20:35:40 No.812917879

    書き込みをした人によって削除されました

    9 21/06/13(日)20:36:09 No.812918130

    こういうのに弱い

    10 21/06/13(日)20:38:24 No.812919486

    もしスターオーが来たらシナリオはタマとライバルになるif展開になりそうだな…

    11 21/06/13(日)20:41:51 No.812921403

    悲劇の二冠バと昭和最後の最強ウマ娘の接点に成りうるシチーの掘り下げにもなるしいいね…

    12 21/06/13(日)20:42:41 No.812921832

    このシナリオだとマティリアルも出てきたりしない?大丈夫?

    13 21/06/13(日)20:54:43 No.812927821

    なんか悲劇の世代なんだな1987

    14 21/06/13(日)20:59:56 No.812930281

    そうか!タマが実装されないのはスターオーやマティリアル待ちだったんだな!