ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/06/12(土)21:10:17 No.812512191
ああ、丁度良い所に来てくれたわ、エル。私がベッド下の収納に入れておいた大事な物が見当たらないの。侵入者に心当たりはない? …どうしたの、その顔は。確か前に説明したと思うのだけど…。 私がトレーナーさんから師事の証として預かっている備前大磨上無銘二尺三寸五分の刀、『六丁念仏』が見当たらないのよ。 寮の警備は厳重だから外に持ち出される事は無いにしても、誰かが面白半分で抜いてしまったら大ごとになりかねないわ。 あの刀は戦国時代、念仏を唱えて歩く托鉢僧を辻斬りしたら、六丁先で托鉢僧が血を吹いて二つになった逸話を持つ不吉な刀よ。その刀身に魅入られた誰かが過ちを犯す前に探し出して止めなければいけないわ… エル?
1 21/06/12(土)21:10:47 No.812512431
(エルが…私の手首を掴んで…) (膝の…力が抜ける…ルチャが…柔を…) 「ゴメンね、グラス」 (チョークスリーパー…!ダメ、立てない、外せない) 「エル…どうして…まさかエルが六丁念仏を…ダメ…あの刀に魅入られては…」 ──視界がブラックアウトする。
2 21/06/12(土)21:11:48 No.812512927
「グラスのトレーナーさん、無事にグラスを確保できマシタ。少し乱暴な手を使ってしまいまシタが…」 「いや、それが最適解だった。『六丁念仏なんで刀は渡していない』と告げたら、如何に沈着冷静なグラスでもどうなったか分からない」 学園の保健室。エルコンドルパサーに取り押さえられ、鎮静剤を打たれたグラスワンダーは眠り続けている。抗ウイルス剤の点滴処置が終わる頃には元に戻るだろう。 彼女が「師事の証に妖刀『六丁念仏』を預かった」という事実こそ学園を覆う奇病の変異株が引き起こした記憶錯誤であった事は言うまでもない。
3 21/06/12(土)21:12:22 No.812513216
帰り道。 「それにしても、不思議だな」 「何がデス?」 「実はね、僕の実家には家宝としてあるんだよ、『六丁念仏』という刀が。実はグラスにも話していなかったのだけどね」 「…展覧会か書籍で見たのでショウか?」 「いや、それはない。僕の実家では代々当主だけが管理してきた刀で、お殿様の上覧も固辞する程に厳重に仕舞われていた刀なんだ。ネットはおろか古書店でも探しようがない。なのにグラスが口走った刀の特徴…ええと、備前大磨上、無銘、二尺三寸五分…うん、僕の実家にある家宝とぴったり一致する。それから、托鉢僧を斬った口伝の内容も」 「偶然の一致…と考えるには、余りにも一致し過ぎていマス…」
4 21/06/12(土)21:12:59 No.812513567
「エルコンドルパサーも、トロフィーやチャンピオンベルトを『見当たらない』と思ったら、自分の記憶を疑う事から始めた方がいい。僕からも君のトレーナーには忠告しておこう」 保健室。眠り続けるグラスワンダーの頬を一筋の涙が伝った。
5 21/06/12(土)21:13:05 No.812513621
オグリキャップ版が現れたばかりだというのにまた新しいやつが…
6 21/06/12(土)21:13:24 No.812513781
やべー病気のやべー変異株じゃねーかよ!
7 21/06/12(土)21:14:52 No.812514536
伊達にして帰すべし
8 21/06/12(土)21:15:22 No.812514801
「もしも、グラスが『六丁念仏』を手にするとしたら…それは僕の妻、本家当主の妻として嫁ぐ時という事になるのか?」 「いやあ、まさかね。彼女はまだ中等部だぞ。幾ら僕が若くてもそこまで節操なしじゃあない」 ──トレーナーさんの、意気地なし。
9 21/06/12(土)21:16:44 No.812515453
記憶の改ざんが厄介すぎるな…
10 21/06/12(土)21:17:17 No.812515746
例の病気はアカシックレコードもしくは有りうるかもしれない平行世界の自分の記憶にでも接続するやつなのか
11 21/06/12(土)21:19:08 No.812516704
妄想という形で可能性の未来を幻視させるとかこれやっぱりSCiPなんじゃ…?
12 21/06/12(土)21:25:26 No.812520001
中等部の女の子にポン刀渡す訳がないじゃないですか (薙刀や錨や銃や短剣から目を逸らしながら)
13 21/06/12(土)21:35:54 No.812525815
なんなら蹄鉄キックがすでに凶器なので薙刀や錨や銃や短剣の1つや2つ…