21/06/12(土)17:21:21 「よく... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1623486081065.jpg 21/06/12(土)17:21:21 No.812427639
「よく聞かれるんだけど、血筋らしいんだ」 私の何気ない質問に、トレーナーさんはそう答えた。 二人だけのクリスマスパーティーも楽しみ終わり、自分で飾り付けたものを自分で片付ける空しさのようなものを誤魔化すように、前々から気になっていたことを好奇心のままに口に出してみた。 「そういえば、トレーナーさんの目すごく赤いね~。トナカイさんにも負けてないんじゃない?」といった具合に。 彼の目は、すごく赤い。日本人の髪色は黒や茶が多く目もまた同様にそうであるのが、この世界の一般常識なわけだけど、彼の瞳はそれに当てはまらない。鯛や夕日よりも、深い赤色。
1 21/06/12(土)17:22:25 No.812427962
「アルビノ、っていうものでさ。網膜の色素が抜け落ちてるせいで、血管の色がそのまま見えてる、らしい」 「じゃあ、トレーナーの親御さんなんかも?」 「ああ、父さんがそうなんだ。聞いたらひい祖父さんもそうだったって」 へぇ、なんだか面白いね~。なんて返すとトレーナーさんは苦笑いを溢す。もう何度も言われてきた台詞なんだろうな、っていうのがよく分かる表情だった。
2 21/06/12(土)17:23:07 No.812428192
「アルビノってさ、髪の毛なんかも全部透明になるんだよ。ほら、赤目の白兎とかは全身真っ白だろ? ああいうのが普通のアルビノなんだよ。でも俺は髪や肌の色は普通だろ?」 「おー、言われてみれば……」 アルビノの人は日の光にも弱くって、酷いと太陽光だけでガンになってしまうこともあるんだと彼は続けた。けどトレーナーさんはどれだけ日差しが強い日でも、サボっている私を待ったり探してくれてることからどこまでも健康体に見える。 少なくとも、この三年間で日の光を鬱陶しそうにしているのは夏でしか見たことがない。
3 21/06/12(土)17:23:49 No.812428398
「お祖父さんが言うには、目の色だけ土地神様に持っていかれた、だって」 「じゃあ、呪いってこと?」 「どうもそうらしい。先祖代々に語り継がれてきたことだとか」 「ふぅん……」 呪い、呪いかぁ。昼寝と釣りが大好きで雲のように風の吹くまま気の向くままに生きる、かわいいかわいいセイウンスカイちゃんには程遠い言葉。 でも全国各地のサボりスポットで、もしかしたらそういう所もあるかもしれない。ちょこっとだけ気をつけておこっかなぁ。
4 21/06/12(土)17:24:37 No.812428648
「あー……すまん、つまらない話だったな。今時呪いだなんて」 「いやいやぁ、そうでもないよ。そういう話も、たまには聞いておいて損はないからね~」 「こんな話、何に使うんだよ」 「そうだなぁ。例えばアレンジをした話をスペちゃん達と集まった時に聞かせる会談風に聞かせてみる、とかしたりしなかったり」 「……」 「やだなぁ冗談ですよ~☆」 思い付いたことを口にしたものだから、どこかおかしいところがあったかもしれない。なんて懸念していたけれど、トレーナーさんはため息を溢して「あんまり夜更かしはするなよ」と言うだけ。どうやら気付かれてはないらしい。
5 21/06/12(土)17:25:13 No.812428821
流石にちょっと、策士でかわいいセイちゃんにも言えないことがある。バレンタインの時にも、そうだったけれど。 土地神様に感謝しなくっちゃね、なんて。
6 21/06/12(土)17:26:24 No.812429193
彼の、私を見つめる赤い瞳が、私は嫌いじゃない。 サボってる私を見つけた時の、安堵の瞳。 ふざけた私に突っ込みを入れる時の、焦りの瞳。 ターフへ向かう私を送り出してくれる、優しい瞳。 あの夜の海で私を見つめて離さなかった時の、真剣な瞳。 彼には私の菊の花は黄色く見えているだろうけど、私から見える貴方の瞳越しの菊が赤いのが嫌いじゃないことも、その意味も。 まだ貴方には、知られたくない。
7 <a href="mailto:sage">21/06/12(土)17:29:19</a> [sage] No.812430008
私は以前脳内の物をアウトプットするということが苦手だったんですが、聖ウンス会の会員様から出される幻覚を見てからは書きたくてしょうがなくなりました! 色々と突っ込みどころがあるのは重々承知しておりますが幻覚と言うことで多目に見てくださると幸いです