ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/06/10(木)18:53:27 No.811781277
シュー・・・シュー・・・・ 朝、空が黒から蒼に変わろうとするそんな時刻 美浦寮のある部屋で霧吹きが霧を吹きだす音がする 「♪~」 霧吹きの持ち主は鼻歌を歌いながら机の上の苔テラリウムに霧を吹きかける 同室人の寝ているベッドに当たらないようにつけられたライトの光が反射する苔の水滴に彼女は満足げな微笑みをする ーーーグラスワンダーそれが彼女の名前である 彼女は、静かに蓋を閉めて霧吹きを置きライトを消す 早朝のルーティーンである朝のランニングで出かけるためである 「マンボくん、いってきます」 いまだにベッドで眠っている同室人のペットに挨拶し彼女は外に出るのだった
1 21/06/10(木)18:54:07 No.811781477
「ふう・・・これぐらいでいいかしら?」早朝のランニングを軽くこなした彼女はは言う ーーー早朝の多摩川 トレセン学園の間近にあるこの河川の河川敷は早朝から走るウマ娘達にとっては絶好のランニングルートである 彼女も多分に漏れず河川敷を走るのだった URAファイナルが終わり少し経った今の早朝の冷たい空気は彼女に程よい刺激を与えるのだった 深呼吸をするたびに肺を満たす冷たい空気の感触を彼女は味う そしてーーー息を整えた後持参したビニール袋を彼女は手にする 「さて、苔を集めましょうか・・・」そう言いながら苔を集める 本当のところ彼女がここを走ったのは苔集めに適したこの時期に苔を集めるためだったのだ 「ふふ・・・この苔はまだなかったですね、採取です~」 嬉しそうに、本当にうれしそうに時間いっぱいまで採取し続けていたのだった
2 21/06/10(木)18:54:36 No.811781611
空に蒼から白そして日が登り始めたころ 登校の準備を済ませた彼女は大急ぎで食堂に来ていた (遅くなりすぎました・・・つい調子にのってしまいましたね、ですが戦利品たくさんでテラリウムが楽しみです) 急ぎながら、自身の趣味である苔テラリウムの未来を想像すると彼女は自然と笑みが出てきてしまう いつものように大量のサラダとパンなどを取りながら開いている席を見つけようとする そこに「おや、今日はようやく来たねぇ~」「グラスこっちデース!」と声をかけてきたのはセイウンスカイとエルコンドルパサー 「エル、セイちゃん、おはようございます」彼女はそう言いながら隣に座る 「今日も朝練デスカー?せいがでるデース!」というエルコンドルパサーに 「ええ、でもそれは皆さんもでしょ?」と彼女は返す 事実ほかの二人の食事もまだとったばかりでスープからは湯気が出ていたのだった
3 21/06/10(木)18:55:10 No.811781793
と、そこに・・・ 「皆さん、おはようございます」大量の食材が乗った皿をもってスペシャルウィークもやってきた スペシャルウィークは他の三人がおはようと返す中、そのまま席に座り食べ始めたのだった その様子にエルコンドルパサーは「それじゃワタシたちも食べ始めるデース」と言いつつ朝食にデスソースをかけ始めるのだった 言うまでもない事ではあるが オグリキャップやスペシャルウィークに隠れがちだが彼女はその二名に次ぐ量を食べることで学園では有名である そのため、彼女を含めた三名は皿の盛られた料理でどこにいるかという目印になっている ・・・ゆえに二人が集まり同時に食べ始めた場合は他の生徒からは「朝食ステークス」として一種の余興として彼女の知らぬ間に楽しまれていたのだった
4 21/06/10(木)18:55:48 No.811781980
朝食ステークスがスペシャルウィークの勝利で終わり、いつものようにセイウンスカイがサボタージュした授業の時間も終わりトレーナーとのトレーニングの時間がやってくる 「それではトレーナーさんよろしくお願いします」彼女はそう言いながらトレーニング場を走り始める 暫く芝の触感を確かめていた彼女だったが突如加速を開始する 脚質にあった芝のコースは実戦とほぼ同じトップスピードを彼女に与える トップスピードに到達した彼女はそのまま加速を続けるために足に力を入れ続け走る! 「ドリームトロフィーシリーズで待ってるわ」この言葉の主であるマルゼンスキーに張り合うための速度を持つのが今の彼女の課題であった
5 21/06/10(木)18:56:13 No.811782110
今自身ができるだけのトップスピードで駆け抜けた彼女はゴール板を駆け抜けてゆく 「・・・はぁ・・・はぁ・・・・トレーナーさん、どうでしたか?」 彼女にしては珍しく息も絶え絶えになりながらトレーナーに確認する トレーナーは彼女が息を整えるのを待ってから、マルゼンスキーのトップスピードに並んだことを続ける 「そうですか・・・それはよかったです~」にこやかにそう言う彼女だったが 彼女がまだ満足していないことをトレーナーは知っていた スピードが並んだだけでは満足するわけもないし、ましてや息が絶え絶えになるスタミナにも満足していていない それが彼女の勝利への渇望に青い火をともす 長くコンビを続けたトレーナーは続く言葉が何であるかも知っていた 「さて、まだまだ続けますね、トレーナーさんよろしくお願いします」 ・・・ 限界へのアタックは空が黄色くなるまで続き、トレーナーは彼女が負けず嫌いの頑固者であると再認識するのだった
6 21/06/10(木)18:56:38 No.811782239
空が黄色から赤くなるころ・・・正門前 彼女とトレーナー、そしてヒシアマゾンの姿があった 「いつもすまないねぇ、手伝ってくれて」 「いえいえ、これぐらいお安い御用です~」 そう、寮の共用品の買い出しのためにこれから出かける二人にトレーナーが捕まったのだった その横を複数の生徒たちが走って街に繰り出していたーーー夕方以降のスーパーの半額品などを目的とした集団である 「ッ!!!!それじゃ雑貨類は頼んだよ、食料品はアタイに任せな!!!」集団を目にしたヒシアマゾンはそう言いながら走り始めたのだった 実際のところヒシアマゾンは何かを察し、彼女のトレーナーが参加するときは日用品を二人きりで買いに行ってもらっているのだ 「・・・では、私たちも行きましょう」そう言いながらトレーナーと二人、夕方の街へと繰り出した
7 21/06/10(木)18:57:07 No.811782376
二人が雑貨類を買い終えるころには空はそろそろ蒼に染まろうとしていた 「買い忘れは・・・ありませんね、ではトレーナさん行きましょう」買い物を終えた彼女はそう言いながら商店街を二人並んで歩き始める 「トレーナーさん、今日もありがとうございました」歩きながら彼女は言う 以前トレーナーに寮の共用品の買い出しを手伝ってもらって以降、買い出しの時はかなりの頻度でトレーナーを誘っていたのだった 実際のところ二人きりで並んで歩むこの時間は彼女にとってはかなり好きな時間であった 歩いているとトレーナーとあるく自身の姿がガラスに映る (手を繋だりしたらはしたないですよね・・・)と彼女は考えながらトレーナーとの距離を少しだけ詰めながら歩く もっとも心の奥底では腕を組みたいなどの感情はあるが自制心が強い彼女はそれができずにもどかしい時間でもある なのでトレーナーとの距離をいつもより縮めて歩くのが彼女の乙女心ができるせめてもの抵抗だった
8 21/06/10(木)18:57:34 No.811782511
微妙に距離を縮めて商店街を歩く二人、ある雑貨屋を通り過ぎようとした時だった 「まぁ・・・これは」、雑貨屋の窓に飾られていた霧吹きが彼女の目に入る 飾られているものはアンティーク調ガラスのもので可愛らしいという言葉が似あうものであった (欲しいですが・・・今日はこの店で買うものは無いですから仕方がありませんね・・・) 後ろ髪をひかれる思いを持ちながら歩き去ろうとする彼女だったが、唐突に手を引っ張られる 彼女が引っ張られた方向を見るとトレーナーが手を引っ張って店に入ろうと促していたのだった 手から伝わってくるトレーナーの体温や手をつないだことそのものなどが彼女の頭を一瞬混乱させる そのためか、入っていかない?と言うトレーナーの言葉に従って店舗に入っていったのだった・・・
9 21/06/10(木)18:58:06 No.811782684
シュー・・・シュー・・・・ 同室人のエルコンドルパサーが眠りに落ちた深夜 再び彼女の部屋から霧吹きが霧を吐く音が聞こえる 彼女は苔テラリウムに霧を吹き終え机にアンティーク調の霧吹きを置く 結局、あの後店舗に入ったあとトレーナーにいつも頑張っているご褒美として買ってもらったのだった (心を以て心に伝う・・・トレーナーさんにはバレバレでしたね) そう思いながらトレーナーに買ってもらった霧吹きをいとおしそうに見ながら、トレーナーが握った方の手をもう一方の手で握るのだった・・・ (トレーナーさん・・・) こうして夜は静かに更けていったのだった・・・
10 21/06/10(木)18:58:21 No.811782758
コンディション獲得! <夜更かし気味>
11 21/06/10(木)18:58:36 No.811782848
どこからか飛んできた吹き矢に塗られていた毒によってこんな感じのウマ娘の日常が見たくてたまらない欲求が噴き出してしまった 何とか解毒できたのでこれにて失礼する