虹裏img歴史資料館

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21/06/07(月)20:04:49 雨が降... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1623063889419.jpg 21/06/07(月)20:04:49 No.810828528

雨が降っている。梅雨に入り、連日降り続く。個人的に雨は嫌いではないが、こうも降り続くとやはり太陽の光が恋しいものである。 雨が続くことの弊害はなにも心情的なことばかりではない。担当の練習にも影響が出てくる。 もちろん、レースはいつも晴れとは限らないので曇天雨天あるいは風が吹こうが雪が降ろうがコースを走る練習もする。するのだが、悪天候で練習をしすぎて風邪をひいてしまっては本末転倒だ。よって程々で切り上げたり、ウェイトトレーニング主体となっている。 ふぅ。ため息が一つ。隣に座るエアグルーヴのものだ。 「…おい。貴様はいつまでそうしているつもりだ?」 そうしている、とはなんのことだろうか。自分はコーヒー片手に作業をしているだけだ。別に変なことをしているつもりはない。 「違う。いつまで、私の尻尾を、撫でているつもりだ、と聞いているんだ」

1 21/06/07(月)20:05:11 No.810828711

何を言っているかと思えば、俺がエアグルーヴの尻尾を撫でていることであった。エアグルーヴから実況はとてもデリケートなもの、細心の注意を払って撫でていたつもりであったが不快に感じていたのだろうか。 「違う。そういうことではない…。別に止めろと言いたいわけじゃ…」 最後の方は小声になり、そっぽを向いてしまった。見れば、顔は赤く目を潤ませ、息も少し荒くなっている。 すこし焦らしすぎたか。エアグルーヴ、と声を掛ける。彼女がこちらに顔をむけた瞬間に唇を奪う。 時間としては数秒ほどだろう。だけど、感覚的にはとても長い時間をかけ唇を離す。 エアグルーヴは最初呆然としていたが、すぐさまいつもの強気な表情に戻す。 「貴様…。覚悟はできているんだろうな…」 肉食動物に狙われる草食動物の気分はこういうことなのだろうか。どうやらすこしやり過ぎたみたいだ。彼女の目が怖い。俺は早々に反抗を諦めた。

2 21/06/07(月)20:05:42 No.810828932

数時間後、もう夕方になっていた。いつものようにクールな顔をしているエアグルーヴが帰るとのことなので送っていくことにした。 玄関を出ると西日が眩しい。いつの間にか雨は上がっていたみたいだ。水たまりが残る道を二人並んでゆっくり歩く。 途中、エアグルーヴが立ち止まった。視線の先には紫陽花が光っていた。こちらを振り返らないまま、 「紫陽花の花言葉を知っているか?」 無言で首を振る。その様子が伝わったか、続けて話し出す。 「『移り気』『浮気』、色によって変わってくるが有名なのはこのあたりだろうか」 そこで言葉を区切ってこちらを向く。

3 21/06/07(月)20:06:04 No.810829106

「走れなくなってからもう半年経つ。貴様も新しい担当を見つけるといい」 半年前、エアグルーヴは大怪我を負った。今は歩けるほどには回復したものの、まだ全快には程遠い状況である。いつになったら走れるのか、そもそも前のように走れるのか、そんな不安を彼女はずっと抱えている。 「貴様は腕が良い。他の娘でも間違いなく結果をだせる」 そう言う彼女は酷く寂しげな笑みを浮かべていた。そんな顔に俺はいてもたってもいられなくなり、諦めるのか?と聞いた。 「…」 本当に、それで良いのか? 「…良いわけないだろう。諦められるわけないだろう!」 それが聞けて良かった。 俺はエアグルーヴの手をしっかりと掴む。そして彼女の目を見て、君が諦めないなら俺も諦めない、そう伝えた。 「たわけが…」 そう言って、彼女も握り返してきた。 「なら、貴様は決して逃がさない。私にどこまでもついてきてもらうぞ」 もちろんだ。そう戯けると力が抜けたような笑みを見せた。 「さて、なら帰るか。やれることがあるはずだ」 そうして手を繋いでまた歩き始めた。

4 21/06/07(月)20:16:41 No.810833698

私 性 合

5 21/06/07(月)20:17:12 No.810833928

尻尾ケアまで踏み込んで離れる覚悟するのは重くて好き

6 21/06/07(月)20:29:02 No.810839252

エアグルーヴのまんまんスエタ臭いを放ってそう

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