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21/06/05(土)13:53:35 正気じ... のスレッド詳細

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21/06/05(土)13:53:35 No.810005393

正気じゃない。 世間の声と同じく、正直私もそう思った。 彼女の脚質を考えれば適性がないわけじゃないと思う。 ただ、それは最初からその道を選んでいた場合の話だ。 彼女の戦績を見ると確かに勝ててはいないが皐月賞は2位だったし、掲示板にも何度か載っている。 それなのに中~長距離としてこれまで積み上げてきたことを崩して改めて短距離に挑むのはありえない。 こんなケースは存在しないわけじゃないけど、だいたいは勝ちきれない娘が何とか勝てる場所を求めてやることだ。 だけど、記者たちの前で高らかに宣言するその姿にそんな後ろ向きな感情は一片もなかった。 トレーニング場で今も彼女は走っている。 身体に刻み込んだ2000メートル以上を走るためのペース配分や体内時計を作り直すために。 彼はストップウォッチ片手に彼女に指示を出している。 器用なタイプじゃない彼女はペース配分に苦しみながらも愚直に走っている。 その姿は本気で短距離に挑んでいることを感じさせた。

1 21/06/05(土)13:54:04 No.810005537

「キング、上り3ハロンのタイムが落ちてる。コーナーで足を使いすぎかな?」 「そうね、無理に内に寄せすぎて手前を間違えたわ……」 「原因がわかっているならいいんだ。もう一本いけるかな?」 「えぇ、もちろんよ」 二人三脚。 彼と彼女を表すならその言葉がぴったりくる。 私のトレーナーは他の子のレースのため地方に遠征しており不在だ。 練習メニューは預かっているし、サブトレーナーもいるからトレーニング自体に支障はない。 だけど、彼と彼女を見てると何故かモヤモヤする。 私はまだこの感情に答えを出せていない。

2 21/06/05(土)13:54:27 No.810005644

「やっほー。がんばってるね」 休憩のために彼女がトレーニング場を離れた隙に彼に話しかけてみた。 直接話せばこの感情が何か確かめることができるかもしれない。 「あぁ。高松宮記念まであまり時間がないからね」 突然話しかけてきた私にもにこやかな笑顔を向けてくれる。 常に落ち着いている私のトレーナーとは大違いだ。 「さすがのスカイさんもびっくりしたよ。菊花賞走ったと思ったら突然の短距離挑戦だもん」 「トレーナー仲間にもさんざん言われたよ。何考えてるんだって」 そう答える彼の表情は言葉と裏腹に爽やかだった。

3 21/06/05(土)13:54:49 No.810005754

「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど」 「うん?」 「怖くないの?」 「怖い?」 「うん。だってさ、ただでさえクラシックの戦績が……その、よくなくてさ。悪く言う声、あったじゃん」 「まぁ、ね」 「そんな状況でさらに短距離に挑むなんて言っちゃったから、やっぱりあんまりいい話聞かなくてさ」

4 21/06/05(土)13:55:06 No.810005824

「ありがとう、スカイ」 「えっ?」 「キングのこと、心配してくれてるんだろう?」 「や、別に、そういうわけじゃ……」 「よかったよ。キングは友達に恵まれてるな」 彼は嬉しそうだった。 私の内心にも気づかず、おめでたい人だ。 でも、不思議と嫌な気分にはならなかった。

5 21/06/05(土)13:55:25 No.810005912

「それで怖いかって話だけど、不安がまったくないって言うと嘘になるかな?」 私が口をはさむ前にでも、と言葉を反した。 「このトレーニングプランでいいのか、とか、もっとできることはないかとは考えるけど……この道を選んだことには後悔も不安もないよ」 その回答には言葉が出なかった。 強がりと断じるには彼の言葉には自信があふれていた。 私は、なんで、と小さく問うことしかできなかった。 「これが彼女が選んだ道だから。彼女が自分なりの一流になろうとして選んだ道だから、トレーナーの俺は支えるだけだよ」 まるで3000メートル走ったかのように心臓が高鳴る。 何故そこまで言えるんだろう、なぜそこまで信じられるんだろう。 私の内心の疑問を察したのか、彼は微笑んで告げた。

6 21/06/05(土)13:55:45 No.810006003

「彼女は『一流』のウマ娘で、俺は『一流』のトレーナーだから。それだけだよ」

7 21/06/05(土)13:56:02 No.810006087

「……カッコいいね」 「ちょ、やめてくれよ」 私の言葉をからかいだと受け取ったのか彼は苦笑している。 でも、その言葉は間違いなく本心だ。 羨ましいとスカウトの時に思ったことは間違いじゃなかった。 能力も想いも願いもすべてひっくるめて信じてくれる人が傍に居てくれる。 彼のような人は苦手だったと思っていたけど、間近で見せられてそれは間違いだってわからされた。 私は意外と情熱的な人が好きだったみたいだ。 だから自分のトレーナーと比べてしまってモヤモヤしていたんだろう。 トレーナーのお陰で2冠が取れたというのに。 ないものねだりしたってしょうがないのに。 勝つためにトレセンに来て、結果も出せているのに。 何でこんなに足りないって感じるんだろう。

8 21/06/05(土)13:56:18 No.810006168

「あら、楽しそうね」 タオル片手にキングが休憩から戻ってきた。 心の動揺を悟られないように表情を作る。 「やぁやぁキング。そんなに警戒しなくてもトレーナーを盗りやしないよ」 「な、なに言ってるのよ! 別にそんなこと思ってないわ!」 「おー怖い怖い。んじゃあ邪魔者はそろそろ退散するかな」 そう言って駆けだしてその場から離れる。 そろそろ自分のメニューをこなさなければ。 最後にちらりと後ろを振り返る。

9 21/06/05(土)13:57:51 No.810006581

ちょこっと機嫌を損ねた彼女に彼が苦笑しながらなだめている。 最初はむくれていた彼女最後には笑顔を取り戻してトレーニングに戻った。 本当に、羨ましい。 私もあの人がトレーナーだったら、どうなっていたんだろう。 でも、彼は彼女のトレーナーだから、その想像は無意味だ。 彼と彼女の関係は絶対変わらないだろう。 トラックを走る彼女を見る。 ひたむきなその姿に、頑張れって気持ちが湧いてくることに安心した。 私はまだ彼女のことを友達だと思っているようだ。 ――私より弱いくせに だから、心によぎったその感情にだけは気づかないフリをした。

10 21/06/05(土)13:59:28 No.810006996

本日開催予定のNTRファイナルズ、現在のバ場や稍重となっております。 つづく

11 21/06/05(土)13:59:52 No.810007103

ウワーッ!!?

12 21/06/05(土)13:59:58 No.810007134

(ここまでのテキスト) sq137272.txt

13 21/06/05(土)14:00:50 No.810007379

曇ってきたな…

14 21/06/05(土)14:01:14 No.810007507

そりゃ羨ましくて仕方がないことを見せられ続けたらこうも思うわ

15 21/06/05(土)14:01:15 No.810007514

本当はいけないことだけど…このトレーナーはキングとくっついてほしい…!

16 21/06/05(土)14:03:03 No.810008010

>本当はいけないことだけど…このトレーナーはキングとくっついてほしい…! 何でトレーナーとキングがくっついちゃあかんのや! って思ったけどそもそもトレーナーとウマ娘がくっつくのがどうなんだって話だった。

17 21/06/05(土)14:04:11 No.810008318

トレーナーは誰のものでもないからな

18 21/06/05(土)14:06:03 No.810008844

ウンスは一流トレーナーに横恋慕はなんでこんなに似合うんだろう…

19 21/06/05(土)14:06:22 No.810008957

走ることが評価されるレースにおいて実力は劣っている相手に嫉妬する要素はないはずなのに、性格とか家柄とか交友関係とかレースに関係ないところで嫉妬しまくるウンスはいい。

20 21/06/05(土)14:07:02 No.810009166

>ウンスは一流トレーナーに横恋慕はなんでこんなに似合うんだろう… 育成ストーリーで出番が割とあるけどまだ実装されてないから…ですかね…

21 21/06/05(土)14:07:57 No.810009416

これでキングが高松宮でまとめて撫で斬ったらウンスが止まらなくなっちまう!

22 21/06/05(土)14:08:10 No.810009481

ウンスには醜い嫉妬が似合うな…

23 21/06/05(土)14:08:16 No.810009512

NTRじゃないの…ッ!!!

24 21/06/05(土)14:08:20 No.810009531

続きキテル…

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