21/06/05(土)02:31:35 年を開... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1622827895808.jpg 21/06/05(土)02:31:35 No.809905953
年を開けていきつく暇もなく、次のレースがやってきた。 若駒ステークス、オープン戦、芝2000メートル、そしてトウカイテイオーとの初めての公式戦。 みんながテイオーの快進撃に期待して、オープン戦とは思えないほどのの観客がスタンドで名前を読んでいて、流石のキラキラっぷりにゲート前で思わず感嘆のため息がでた。いやぁやっぱり主人公だわ。 「ネイチャ―! 頑張れー!」 ゲートイン前の芝生の上でスタンドを眺めていると、ふとその中で、他の声よりも負けないぐらい大きく、兄貴…トレーナーさんの声が聞こえてきた。よく通る声でこっちに手を振っていて、ぶっちゃげ恥ずかしい。そりゃあ嬉しいっちゃ嬉しいですけど。 「いつもの調子でいいからなー! そうすればきっとテイオーにも勝てる!」 「ちょ、そのテイオー横にいるんですけど!」 「へー、ボクに勝つ気なんだ。ふっふーん、簡単に勝たせてあげないけどね!」 すぐ横でテイオーが胸を張って、挑戦的な笑顔を見せる。自分が負けるとは一切も考えていない表情と態度と自信、アタシに足りていないものを眩しいぐらいに見せつけられる。
1 21/06/05(土)02:32:51 No.809906173
だが、と向こうでまだ声を張っているトレーナーさんを見てアタシは自身を何とか奮い立たせる。そう、一度は触れたのだ、アタシは帝王に触れた。届かない存在じゃない、平民根性を見せてやる。そう思うとググっと自分の胸が持ち上がるのを感じた。 「って、あれ? テイオーのトレーナーさんは? トレーナー専用のスタンドにもいないっぽいけど」 「ボクのトレーナー? 来てないよ?」 「へ、なんで? な、なんかあったの…?」 色んな事情があれど、自分の担当のレースを見に来ないトレーナーは滅多にいないだろう。レースは今まで自分達が築いてきた、練習、絆、それらすべてが試される場であり、走るのはアタシたちだけど、勝利を掴むのはアタシたちだけじゃない。トレーナー間でも規則ではないけど、親が死んだとき以外は絶対に行くべしというのが暗黙のルールらしい。アタシがそう言うとテイオーは笑みを消してスタンドを見た。 「別になんにもないよー。ただ、予定に入れてないだけ。ボクのトレーナーは予定ないことは絶対しないヒトだから」 「え、えぇ…? なんかそれって酷くない…? なんか全然、テイオーの事気にかけてないっていうか、その…」
2 21/06/05(土)02:33:46 No.809906324
「逆だよ」テイオーは静かに言った。「これ以上なく、トレーナーはボクの事を気にかけてくれてる。テイオー様の覇道はここからだって、絶対に、一つも疑うことなんてなく、確実に、ボクが勝つって知ってるんだ」 そうしてアタシをみたテイオーはさっきまで手を振っていた子供っぽさは何処にもなくて、ただ目に青い炎を燃やしている一人のウマ娘がそこにいた。少しだけ背中がゾクっと冷たくなる。 「トレーナーの予定を変えさえたりしない。三冠、無敗、そしてカイチョーを超える! だから絶対負けないもんねー! 勝負だネイチャ!」 またいつもの調子に戻ったテイオーがゲートに入っていっても、アタシは動けなかった。あの目、ある意味純粋な走者だったテイオーに、違う何かが混じっていた。勝利の渇望、栄光への執着、覇道への邁進、テイオーは勝負といいながらもアタシのことは眼中になかった。 それはテイオーにとってはいい影響かもしれないけど、あの子のある意味ウマ娘の中で最も純粋な部分を犠牲にしているのではないかと思わずにはいられなかった。
3 21/06/05(土)02:34:14 No.809906398
「ナイスネイチャさん、どうされました? ゲートインですが」 「おっとっと、入ります入りますー」 いつの間にかゲートに入っていないのが自分だけになっていて、スタッフさんにせかされるままにゲートの中に入る。ふと入る前に一瞬、トレーナーさんの横に兄貴が来ていて肩を組んでいるのが見えた。その横には…イクノディクタス。 応援に来てくれたのだろう、上の兄貴はアタシのサブトレーナーでもあるし。だがこの頃どうにも、見るたびに二人は一緒な時が多い。周りのウマ娘だって「本当は付き合っているんじゃ」と噂をするレベルで一緒だった。そしてクリスマスの時に言われたイクノの言葉がいまだにアタシの脳の中で時々渦巻いてくる。 「あーやめやめ!」 慌てて頬を叩いて、静かになったゲートの前だけを見る。レースの直前だってのに何を考えておるのだアタシは。こんな時に集中しなければトレーナーさんに顔向けできない、集中だ、集中ー。 …下の兄貴。G1に行ったら伝えたい言葉があるって言ったけど、その時が来たらどうするのだろうか、アタシは受け入れるのだろうか、それとも…… そうするとゲートが開いて、アタシは見事に出遅れた。
4 21/06/05(土)02:35:07 No.809906532
〇 トレーナー室のテレビの中で、トウカイテイオーが走る。素晴らしい走り、それ以外に形容しようがない。クラシックの初めでこれとは全く末恐ろしい才能だと身震いしてしまう。 テレビの前で腕を組みながら見守るルドルフもそれを感じているらしい、尻尾が一定のテンポで揺れている。 「正直に言うと初めて君の弟を見た時、少しだけ心配になった」ルドルフがテレビを見ながら私に声をかけた。「彼の眼の中に形容できない何かが渦巻いていたからだ。それがテイオーに悪影響になるかもしれないと、だが…」 「安心した?」 「あぁ、今のところは。彼女の憧憬を彼は上手く闘争心として引き立てて、舞台へと引き上げている。私としてはこれほど嬉しいことはないよ、そう、テイオー友人としても、そして……」 それ以上は彼女は喋らずピリピリと肌に突き刺すような闘争心を抑えきれずに溢れさせながら、テイオーのゴールまでを瞬きをせずに見つめていた。その様子は自らの子獅子に対して一匹の獣として牙をむく親獅子のようにも見える。
5 21/06/05(土)02:35:49 No.809906646
「いいレースだった、褒めてあげなくてはいけないな」 「そうだな、見事な走りだ」 「すると…そうだ、どうだテイオーとそのトレーナーを食事に誘うというのは?」 横目でルドルフが私をちらりと見る。ため息で答えると、ルドルフは少しだけ悪戯っぽく笑った。 「流石に炊金饌玉とは行かないが、ほら君とこの前食べに行った料亭。あそこはとても美味だった」 「ルドルフ、大丈夫だ。気を使ってくれなくてもいい。弟は私を嫌っているようだし」 「もう私たちは比翼連理、家族みたいなものだろう? 君がそう言ったんだ、だから家族の家族の問題をあまり放ってはおけない、もちろん踏み込みすぎだというならば自重しよう。だが君がたった一人の兄弟と仲違いをしているなんて放ってはおけないんだ」
6 21/06/05(土)02:37:06 No.809906809
「…分かった、そこまで言われるなら誘ってみるよ。君もテイオーから頼んでみるよう言ってみてくれ」 純粋な心配そうな目が私を見つめる。この目をされるとどうにも断れない、どうせ断られると思っていても。どんなに弟から憎まれていると知っていても。 「あぁ、もちろん。ただし折角だしヘルシーなのはよそう、ほらヘルシーな料理は量がへるしーというし」 「ぶはっ! る、ルドルフ…そ、それはくくっ…」 思わず吹き出すと、彼女も釣られたようで二人で笑い合う。 尻尾が私の手に絡みついていく、エアグルーヴなどが見ればまたため息を吐くのと我慢するような表情で私たちを見るに違いない。だがどうした、見せつけてやれというものだ。
7 21/06/05(土)02:37:17 No.809906831
しかし、ルドルフ。君には謝らなければならないことが沢山あるんだ、君には嘘をついている。そう、君から向けられる感情に気づいていない振りをしているのもそうだ。 弟が私を嫌っているというのも嘘だ、実は君を私以上に嫌っている、そう君がある意味この仲違いの原因なんだ。もちろん君は悪くない、悪いのは君の父親だ。 初めて会ったころ、君は私が誰かに似ていると言って、私は他人の空似だろうと言ったね。それが一番最初の嘘だ。 愛する我が皇帝よ、君が見たのはおそらく面影だよ。君の父親の面影だ。 そして私の父の面影でもある。
8 <a href="mailto:s">21/06/05(土)02:38:06</a> [s] No.809906945
長くなりましたし締め切りぶっち許してくださいスリーゴッデスがスリーゴッデス暴れてもう手が付けられないんです私は悪くありません許してください
9 21/06/05(土)02:39:21 No.809907142
何が…起きようとしているんだ…?
10 21/06/05(土)02:40:15 No.809907276
兄弟姉妹でドロドロな関係まで出てくるのか... ここのトレセン学園最早呪われてない?
11 21/06/05(土)02:40:17 No.809907283
ウワー…ウワーッ!ウワーッ!?
12 21/06/05(土)02:41:23 No.809907450
これルナトレ感情がぐっちゃぐちゃになってません?
13 21/06/05(土)02:42:55 No.809907661
あの…ネイチャの怪文書ではなかったのですか…
14 21/06/05(土)02:43:27 No.809907736
何が始まるんです…?
15 21/06/05(土)02:46:55 No.809908264
なにがどうなってるの…?
16 21/06/05(土)02:48:04 No.809908415
スリーゴッデス!おいスリーゴッデス!どうなってんだよこれ!
17 21/06/05(土)02:48:16 No.809908439
頭の中で相関図がごっちゃになってきた…読み直さなきゃ…
18 21/06/05(土)02:49:24 No.809908588
ちょっとよくわからない生き別れか腹違い?
19 21/06/05(土)02:51:58 No.809908938
>ちょっとよくわからない生き別れか腹違い? トレーナーが年上だろうしおそらく腹違い
20 21/06/05(土)02:54:29 No.809909260
人間関係が混沌としている…このトレセンはスリーゴッデスのいいようにされてるんだ…!
21 21/06/05(土)02:56:01 No.809909453
大丈夫?その親父さんフクトレの親戚だったりしない?
22 21/06/05(土)02:58:49 No.809909785
パーソロンほどの父親ならそういうこともあるかもしれない
23 21/06/05(土)03:02:25 No.809910186
カイチョーの方でさらにこんがらがってくるとは思わなんだ 群像劇の様相を呈してきたな
24 21/06/05(土)03:03:29 No.809910290
テイオーが親戚関係に無いのが幸いだ…
25 21/06/05(土)03:05:12 No.809910473
キャラがどんどん増えとる......!
26 21/06/05(土)03:20:21 No.809911901
トレセン内の人間関係ぐっちゃぐちゃだよ…
27 21/06/05(土)03:35:26 No.809913170
見分けやすいようスレ画にアイコン足すなりしてくれるとありがたい…
28 21/06/05(土)05:06:39 No.809919230
最低だよ‥ルドルフとテイオーのトレーナーの父親!!
29 21/06/05(土)06:39:08 No.809923672
…やめろよまさかの異母兄弟とかさあ!