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今日は... のスレッド詳細

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21/06/02(水)22:07:01 No.809165368

今日は選抜レースの説明会のため、トレセン学園へとやってきたのだが…少々早く着きすぎてしまったようだ。 することもないのでグラウンドをぶらついていると、早朝だというのにコースを走っている一人のウマ娘が目に入った。 黒い髪を靡かせ、全力疾走に近いスピードでターフを駆ける一人のウマ娘。 「朝早いのに感心だな…」と、その時はそう思っただけだった。

1 21/06/02(水)22:07:48 No.809165732

「説明会、思ったより長かったな…それだけ選抜レースが重要ってことか」 2時間ほどの説明を受けた帰り道。グラウンドを通りかかると、沢山のウマ娘たちがトレーニングに励んでいた。 この時間帯になるとみんなグラウンドに出てくるのだな…と、そんなことを思いながら見るともなしに目をやる。 友達と柔軟をしていたり、グラウンドの隅でおしゃべりをしていたり…ウマ娘といってもまだ年端もいかない少女たち、こうしてみると普通の女子校と変わりないように見える。

2 21/06/02(水)22:08:11 No.809165953

「この中からシンボリルドルフやナリタブライアンに続く次代のスターウマ娘が生まれるのか…?」と少し疑問に感じつつ、彼女たちの様子を少しチェックしてみる。果たして、どんなウマ娘をスカウトするべきなのだろう。 すると、一人黙々と走りつづける一人のウマ娘の姿が目を惹いた。 「……というか、あの子はさっきのウマ娘じゃないか?」 もしかして、さっきから今までずっと走り続けていたのだろうか。だとしたら少しオーバーワーク気味だ。そう思い、近づいて声をかけた。

3 21/06/02(水)22:13:18 No.809168251

「……私に何か御用ですか」 彼女は、一瞬でも足を止めたくないとでも言うかのようにジョギングのまま近づいてきた。 何時間くらい走っているのか、と問いかけると 「何時間……?わかりません」 という。そこで、何時から走り始めたか、と質問を変えると 「5時には寮を出て柔軟を始めたので…6時くらい。それがどうかしましたか」 などと言う。それが本当なら、5時間近く走り続けている計算になる。涼しげな表情で気づかなかったが、ジャージは汗でびっしょりだ。

4 21/06/02(水)22:13:28 No.809168337

ひとまず日陰までついて来るように言い、たまたま鞄に入っていた水のボトルを手渡した。 「それで、なんの御用でしょうか。トレーナーさん……ですよね?」 胸元のバッジを見ながら彼女が言う。選抜レースが近くて焦るのは分かるが、行き過ぎたトレーニングは逆効果だ、と伝える。 「いえ……別に焦っているわけではありません。そもそも選抜レースは辞退するつもりなので」 どうしてだ、と訊いてみる。 「レースに出ると、トレーナーの方や学園の人、それからファンの人たちの期待を背負うことになるじゃないですか。私は、自分にそれに応えるだけの才能があるとは思えないんです」 彼女は表情を変えず、淡々とした調子で応えた。 要するに自信がない、ということだろうか。ならば何故そんなに走っていたのか、と続けて質問してみる。

5 21/06/02(水)22:14:02 No.809168672

すると彼女は初めて表情を変えた。少し驚いたように目を丸くする。 「何故って……走るのが好きだからです」 そんな当たり前のことを、と言わんばかりの調子で応えた。その言葉には一片の迷いもない。それを聞いて、目が覚めた思いがした。

6 21/06/02(水)22:14:44 No.809169001

「やはり君は選抜レースに出るべきだ」 思わず言葉が口から飛び出した。少し唐突なその言葉に、彼女の目がまた少し大きくなる。 「……それは、いったいどうして?」 「君は自分に才能がない、と言ったけど……そんなことはない。立派な才能を持っているからだ」 「どうしてそんなことが言えるんですか?まだ会ったばかりですよね」 「確かに君のことはまだ何も知らないけど……君が走ることが好きなのは知っている。それは君の誇るべき立派な才能だよ。そんな君の走りを見てみたいと思ったんだ」 そしてそれはファンも同じはずだ、だから大丈夫。そう続ける。 「だから、選抜レースに出てほしい。必ず自分が、君をスカウトするから」

7 21/06/02(水)22:15:25 No.809169301

興奮しているのか、自分の声が少しうわずっているのがわかった。彼女の表情に変化はない。 しばしの間、沈黙が流れた。少し先走りすぎただろうか、と不安になりはじめた頃、ようやく彼女は答えた。 「わかりました……そこまでいうなら」 よかった。どうやら自分のアプローチは受け入れられたらしい。そっと胸を撫で下ろす。 「……正直、ずっと疑問だったんです。走るのが好きというだけの自分が、トゥインクルシリーズに出ていいのかどうか」 「でも、トレーナーさんのおかげでわかりました。それが私の才能なんですね。トレーナーさんがそう言ってくれるなら、私走れます。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」 彼女の言葉には、それまでのクールな印象が一変するほどの熱い熱がこもっていた。

8 21/06/02(水)22:18:30 No.809170734

なんだい最近やけにプイプイの怪文書が多いね…

9 21/06/02(水)22:37:56 No.809178950

【ディープインパクト登場!】 スキルポイントが120p上がった(ピコッ

10 21/06/02(水)22:39:11 No.809179466

仮に育成できたとしたらどういう成長率になるんだろう

11 21/06/02(水)22:39:59 No.809179847

説明会から数日後。今日は選抜レースの初日だ。 といっても、初日に出走するのはデビュー前から将来を期待されているような有力なウマ娘ばかり。 殆どの子はベテラントレーナーと内々に契約を結んでいる。新人で、まだ自分のチームも持っていないようなトレーナーには正直縁のない世界だ。 そういう事情もあり、午前中は引っ越してきたばかりの寮の部屋の片付けを優先することにした。

12 21/06/02(水)22:40:49 No.809180211

時刻は正午を過ぎたばかり。部屋の片付けもひと段落したので、カフェテリアでランチを摂ることにする。 その日のカフェテリアはいつもより少しだけ混み合っていた。ウマ娘もトレーナー達も、皆が熱っぽく語っているのはやはり今日の選抜レースのことだ。 あのウマ娘があのチームに入ったらしい、午後のレースにはあのウマ娘が出るそうだ。そんな噂話が聞き耳を立てずとも自然と耳に入ってくる。

13 21/06/02(水)22:41:17 No.809180424

「ねえねえ聞いた?ディープインパクト先輩の話」 「聞いた聞いた!いろんなチームにスカウトされたけど、全部断ったんだって?羨ましい~!」 ディープインパクト。その名前には聞き覚えがあった。今年デビュー予定のウマ娘の中でもかなり将来を有望視されている一人だ。人によってはあのミスターシービーやシンボリルドルフに並ぶ器だという者もいるくらいで、デビュー前からクラシック路線での活躍を期待されているらしい。

14 21/06/02(水)22:41:35 No.809180538

「あーあー。私もそれくらいスカウトされてみたいなー」 「っていうか、そのディープインパクト先輩、今日の午後の選抜レースにも出るらしいよ?」 「マジで?私も午後出る予定なんだけど……詰んだわ……」 「でも、なんでだろうね?有名なトレーナーは大体もう声かけたみたいだけど」 「さあ?天才様の考えることはわかりませんなぁ~」 ディープインパクト。未来の三冠ウマ娘。正直言って、自分の担当するウマ娘が彼女と同じステージで戦うかは分からないが、見ておいて損はないだろう。そう思い、午後の選抜レースを観に行くことにした。

15 21/06/02(水)23:01:19 No.809188938

ある程度書きながら投稿しているのかな そろそろ時間がヤバいぞ!

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