21/05/31(月)01:10:37 泥ルバ... のスレッド詳細
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21/05/31(月)01:10:37 No.808299459
泥ルバード https://seesaawiki.jp/kagemiya/ https://zawazawa.jp/kagemiya/
1 21/05/31(月)01:11:36 No.808299714
泥の珍しい武器
2 21/05/31(月)01:12:08 No.808299854
目いっぱいにアクセルを踏み込んだダンプカー。例えるならそんなところだ。 廃工場の分厚い外壁が紙でも破るかのように容易く砕け散る。吹き飛んだ瓦礫さえ必殺の凶器だった。 が、待ち構える銀色に臆するところは微塵もない。 自分に飛んでくる瓦礫のうち当たると鬱陶しいものだけ的確に裏拳で叩き落とした。 片腕に懸架された大仰な武器を使うまでもない。それの出番はこの後すぐに来るのだから。 壁を突き破って彼女に迫ったのは膨れ上がった筋肉そのものだ。 速い。暴走した列車みたいなどうしようも無さ。空気が圧縮されていると錯覚するような圧迫感。 肩口の筋肉に自分の首をめりめりと埋め、ソレは何の技術も無くただただ肩から突っ込んだ。 身長2メートルほどの筋骨隆々とした男だった。体重も見た目相応、ただ体当たりするだけでも強烈だろう。 だがそのタックルは人間のものではない。その術理をただ肉体の強化に磨き抜いた死徒の突進だ。 現に男の肌はあり得ざる色合いだった。水晶のような仄かな青。スピードだって目にも止まらぬほど。 普通の人間であればぶつかれば対物ライフルの直撃を受けたように何が起こったかも分からず塵になるだろう。
3 21/05/31(月)01:12:20 No.808299917
対して、進路上にある彼女はその暴力と比すればあまりにも矮躯だった。 これを止めたければせめて城砦のひとつくらいは持ってくるべきというものだ。 が───。 炸裂音。まるで積み上げられた火薬が一斉に火を吹いたかのような衝撃。 工場に残っていた窓ガラスが残らず騒々しい喝采をあげてバラバラになる。 果たして、暴走列車の進行は止まっていた。果たして、進路上の彼女は砕け散っていなかった。 そればかりか、片腕に備えられた鋼で以て突進を受け止めてさえいたのだ。 返す刀で彼女は体幹を切り裂くように旋回させ、空いた腕で男のがら空きの胴へと拳を叩き込んだ。 見事なまでの肝臓打ち。こちらの拳速も人間離れ。 砲撃のような、およそ拳が立てるものとは思えないほどの音が周囲をびりびりと震わせる。 ───が、これでもその巨漢は小揺るぎもしなかった。 巨大な一撃を与えあったふたりは、示し合わせたかのように軽やかなステップで飛び退く。 再び距離を置いて向かい合うと、彼女は痺れを取るように撃ち込んだ掌をぶるぶると振った。 「いっ………たぁ~っ!今ので上半身もーらいって思ったのになぁ~!硬すぎるでしょそれ~!」
4 21/05/31(月)01:12:30 No.808299958
「いやいや。君の方こそ人間にしてはあまりに頑丈すぎるよ。 我が『結晶真体』を全力で殴っておいて拳がまるで破壊されていないとは恐れ入る。 君、本当に人間かね?いや、正体なぞどうでもいい。実に───心が躍る」 綺麗な逆三角形を描く肉体の頂点にある凶悪な顔つきが微笑むことでさらに殺人的な厳しさになる。 男にとって得難い強敵だった。長年出会えなかった恋人のように愛しい相手だった。 普段から手加減というものが大の苦手だが、その手加減抜きで本気でぶつかってなお殴り返してくる。 死徒でさえここまで丈夫な者はそうはいまい。超人という表現さえ陳腐だ。男の全身の筋肉が歓喜の声を上げていた。 260ほどの年月を重ね、その間に聖堂教会の狩り人たちとは幾度となく戦い、屠ってきたが───。 この相手は、間違いなくそれまでの中で最強だ。 「さあ、再開しよう!闘争を───」 そう月の光に濡れた女に呼びかけた時だ。突如としてふたりの間に魔力の渦が吹き荒れた。 明らかにこの場のふたりを纏めて狙ったものだ。第三者の横槍───。 フォーケルスゼルトの表情が歪んだ。濃密な時間を汚されたことに対する不愉快さが顕になっていた。
5 21/05/31(月)01:16:50 No.808301085
急に
6 21/05/31(月)01:19:54 No.808301910
本当に予告なしにポンと来る