虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 21/05/26(水)21:49:17 No.806762279

私は抜刀の構えを取りました。対してシップは金色の鞘からカトラスを抜き、私の攻撃に備える算段の様です。 「てやああぁーーッ！！」 ドンッと地面が抉れる程の踏み込みと同時に鋭く居合い切りをします。この術で何人もの同胞を血祭りにあげて来ました。 然し、流石は我が友、シップ。私の居合い切りを見事に見切って刃を受け止めます。鍔迫り合いの熾烈さから、刃と刃が接する点がヂリヂリと火花を上げます。 「なぁジャスタ、考え直せよ。誰も喜ばない、こんな血生臭いデュエルに何の意味もありゃしないって事をよ。願いを叶える黄金の四つ脚の聖杯なんてありゃしねえんだ！　アタシらは三女神様にどんなツラを見せたら良い！」 「それが如何したと言うのですか、シップ！　私は、欲しい物があるのです！」 「この分からず屋！！」 刃が離れ、互いの剣と刀が何度もぶつかり合います。

2 21/05/26(水)21:50:02 No.806762618

「お前も見てきただろうに！　スペは『お母ちゃんとお姉ちゃんに会いたい』って言って血に溺れた！ スズカとグラスは『スペと二人きりで邪魔されない人生が欲しい』って言って刃で共倒れになった！ ウオッカとスカーレットはお互いに隠してた好意の重さに気が付いて戦いの後に哀しみの闇に潰されちまった！ タキオンは『ウマ娘の限界を知りたい』って言って自分の限界に壊れて沈んだ！ ターボの奴は壊れる程の速さを求めてスピードの向こう側に突っ込んじまってボロボロになった！ マルゼンの奴はダービーに出たかったって泣いて涙に沈んだ！ ルドルフの奴はウマ娘皆の幸せなんて言う余りにも重い感情を背負おうとして押し潰されちまった！ 他にも皆！　皆！！　皆自分勝手な気持ちでこの下らねえデュエルで潰れちまったんだよ！！ 　お前にはそれが見えないのか、ジャスタウェイ！！」

3 21/05/26(水)21:50:33 No.806762818

「それでも、それでも私は！」 ーー芦毛がこの世に溢れる世界が欲しいのです…！ーー 「この、分からず屋！　皆芦毛に成っちまったら、芦毛の魅力もクソも無ぇだろうが！　お前はそんな事も理解出来なくなったってのかよ！？　ジャスタウェイ！！」 私達は互いに距離を取り、剣と刀を構えました。次の一手で、決めます…！ 「てやああぁぁーーーッ！！」 「うおりゃあぁぁーーッ！！」 互いの影が交差する瞬間。 私の手には、何かを斬る感覚がありました。その瞬間、ハッとなって自分の体を調べます。怪我はありません。そして、手に握られた刀には… …べっとりと血糊が付いていました。 …私は事此処に至って、遂に自分が遣らかしてしまった事の重大さに気が付いたのです。 「シップ！」 血塗れの刀を投げ捨て、地面に倒れこんでいる我が友の名を呼びます。

4 21/05/26(水)21:51:01 No.806763002

彼女の体に刻まれた切り傷からダラダラと血が溢れ出て居ました。嗚呼、全ては、私の所為なのです。 「シップ！　シップ！　我が友、ゴールドシップ！！」 唇の端から血を垂らしながらも薄く目を開き微笑む様は悲しい程に美しくて。 「何故！　何故私を斬らなかったのですか！　私を斬り捨てれば、私を止められる筈なのに！」 するとシップは、へへへ…と力無く笑うのです。 「ゴルシちゃんはよぉ…馬鹿なダチを止める事は出来ても…斬る事なんか出来やしねぇんだよ…」 彼女の体からどんどん体温が失われていきます。全ては私の為した事ですが、嗚呼、それでも…！ 「シップ！　シップ！！　私を置いていかないで下さい！！　置いていかないで！！」 「…ジャスタよぉ…Just a way (お前の道)…忘れんなよ…」

5 21/05/26(水)21:51:38 No.806763276

そう言うと彼女は事切れてしまいました… 涙が止まりません。嗚呼、私はなんて愚かな事をしてしまったのでしょうか。 その時、ハッとなって周囲を見渡しました。其処には沢山のウマ娘が…私達の友人知人が、今も尚赤い血を、呪われた黒い何かを垂れ流しているのです。 なんて酷い光景でしょうか。我が友が、シップが伝えたかったのはこの事だったのです。 そして私は、この惨状を作り上げた一人だったのです。 尚更、涙が止まりません… 《勝者は、決まった》 ドスの効いた重み在る声が天から聞こえてきました。 其処にあったのは…禍々しい空気を放つ、黄金の四つ脚の聖杯でした。 いや、聖杯と呼ぶには余りにも血生臭い、呪器でした。 《汝の望みを答えよ》 望み…？　そんな物、もう決まっています。

6 21/05/26(水)21:52:03 No.806763504

私は、シップの金色のカトラスを手にし、確りと身構えます。行きましょう、シップ。きっと、今この瞬間、私と貴女の気持ちは必ず通じ合って居るのだから。 そう、いざ…！　参ります！！ 「『私達』の、『友達』を！　返せッ！！」 ダンッ！！　と力強く地面を踏み込み、空高く舞い上がりながら、私はカトラスを抜刀し、黄金の呪器を一刀両断しました。 「…此れで良かったんだよね、シップ」 私はキィン、と鯉口を結びました。

7 21/05/26(水)21:52:42 No.806763835

其れから彼れから 私達は、原因不明の集団昏睡に陥っていた様です。 理事長だけは、何やら今回の事件の切っ掛けを知っている様な気配をしていましたが、独り悔しげに黙っている背中に対して聞くのは野暮と言う事なのでしょう。 昏睡していた他の皆さんは口を揃えて「とてもリアルで怖い夢を見た」と言っていました。 誰でもそう思うことでしょう。私だってそうなのですから。 しかし… 「ぃよーう。正義のヒーロー。元気してっか」 「嗚呼、我が友」 「今回はヤバかったなー。ま、お前が正気を取り戻してくれて助かったけどよ」 「それは違いますよシップ」 私は隣に座るシップの膝を枕にして寝転がりました。 「貴女が居たから、こうして今『私達』は此処に居るんですよ」 沈む事無き黄金の舟。彼女こそが、私達のヒーローなのですから。

8 21/05/26(水)21:54:54 No.806764774

お終い。ウ〇ナのOPを聞いて「決闘する女の子良いよね」って思い立って書きました 反省も後悔もしてません なお、ゴルシちゃんが何故デュエルの最中正常で居たかと言うと倒れ行く皆に涙していったからですね

9 21/05/26(水)21:56:40 No.806765455

>黄金の四つ脚の聖杯 大丈夫？泥詰まってたりしない？

10 21/05/26(水)21:57:07 No.806765660

ジャスタウェイは木刀か日本刀だよな…

11 21/05/26(水)21:57:23 No.806765769

なんだこれ なんだこれ

12 21/05/26(水)21:58:05 No.806766038

命の取り合いはないけどレースも似たようなもんだからね…

13 21/05/26(水)21:59:07 No.806766502

最後龍騎展開でゴルジャスがお互い知り合った所から始まるかと思った

14 21/05/26(水)21:59:40 No.806766715

>>黄金の四つ脚の聖杯 >大丈夫？泥詰まってたりしない？ 重バ場状態の泥がひたすら出てくる聖杯か…

15 21/05/26(水)22:02:20 No.806767894

>>黄金の四つ脚の聖杯 >大丈夫？泥詰まってたりしない？ 邪悪な物ならたっぷり詰まってるかもしれません

16 21/05/26(水)22:05:41 No.806769433

(CLAMPっぽい絵柄)

17 21/05/26(水)22:08:09 No.806770499

su4880240.png

18 21/05/26(水)22:08:17 No.806770569

>最後龍騎展開でゴルジャスがお互い知り合った所から始まるかと思った 「龍騎ですって我が友」「止めろよ縁起でもねえ。蟹が怖くなって食えなくなる」

19 21/05/26(水)22:10:16 No.806771444

>su4880240.png すげーおっかないなオイ

20 21/05/26(水)22:12:23 No.806772448

ナチュラルに膝枕しやがって…

21 21/05/26(水)22:13:33 No.806773050

>ナチュラルに膝枕しやがって… いいでしょう、我が友シップですよ？

22 21/05/26(水)22:16:50 No.806774568

>(CLAMPっぽい絵柄) (東京BABYLON展開)

23 21/05/26(水)22:25:04 No.806778612

>ーー芦毛がこの世に溢れる世界が欲しいのです…！ーー 何もかも台無しだよ！

24 21/05/26(水)22:28:01 No.806780181

>>ーー芦毛がこの世に溢れる世界が欲しいのです…！ーー >何もかも台無しだよ！ だってジャスタだし

25 21/05/26(水)22:39:25 No.806785397

実際ゴルシちゃんとかが殺陣やったら凄い映えるよね…