21/05/26(水)17:51:31 URAファ... のスレッド詳細
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21/05/26(水)17:51:31 No.806676602
URAファイナルズを優勝し、ブライアンと共に駆け抜けた三年間は終わりを迎えた。だが、俺達の挑戦に果てはない。彼女の飢えと渇きはこの程度では満たされない。 彼女が走りたいと願う限り、挑戦の日々はまだまだ続く……のだが。 「うわ……」 ひっきりなしに来る取材や講演会の依頼に逼迫される日々。当然ブライアンのトレーニングも疎かに出来ないので業務は純粋に増える一方。まともに部屋に帰れない日もある。 そして昨日もトレーナー室で仮眠を取ったのだが、それが悪かったのだろうか。 「こりゃ……酷いな」 目が覚めたら、毛布が鼻血でベットリと濡れていた。反射的に鼻から下を手で覆うと、手のひらも真っ赤に染まる。 純粋に疲労が溜まっているのもあるが、ブライアンの如何わしい夢を見てしまったのもある。 「これじゃ……ブライアンに顔向けできないな」 まるで吐血したかのようだ。仕事がひと段落付いたら少し休暇を取ろう……だが、この時ふと魔が差したというか、思い付いてしまったのだ。 ブライアンならこんな時、何て言い回しをするだろう、と。
1 21/05/26(水)17:51:58 No.806676713
「これじゃ……ブライアンに顔向けできないな」 トレーナーが残業に追われているのは私も知っていた。それが私の為だということも全て理解しているつもりだった。 しかし、私の身を案ずるならばまずは己を省みろ、と。小言の一つでも返してやろうと思った。 「……例え身体が限界を迎えても、眠りに付くわけにはいかない……果たすべき使命が……まだ、残っているのだから……」 その言葉に、ドアノブに触れた手が止まった。空いていたドアの隙間から覗き見たトレーナーは、口元を押さえて俯いていた。 ……その身に包む毛布を、吐血で赤く染めて。 「……あぁ」 普段の彼ならそんな言い回しはしないだろう。つまり、彼の身を蝕む病はそれだけ深刻だということ。 アンタは、大馬鹿だ。 そして、それに気付かなかった私も。
2 21/05/26(水)17:52:30 No.806676856
「なんだい、随分シケた顔してるじゃないか。何があったんだい?」 鍛錬も身に入らず、当てもなく口内を彷徨い歩いていると、アマさんに声をかけられた。 「……何でもない」 「アタシにはあるんだよ。そんな顔をほっとけるかってんだ」 「……何も無かった。アンタが面白がるような事は、何もな」 「へぇ、それじゃあアンタは……何も無くても、泣きそうな顔をすんのかい」 「何……?」 言われて、気が付く。目頭は熱く、視界は滲んでいる。久しく感じた事のない情動が、胸の奥から込み上げている。 「話してみな。アンタのトレーナーと何かあったのかい?」 「トレーナー……」 その名を口にすると、込み上げてきた情動が抑えきれなくなった。 「……っ!」 彼と出会った日。デビューを決めた日。走り方を教わった日。夏合宿で彼に宥められた日。彼と共に強敵達に挑んだ日。 彼と過ごした正月やバレンタイン、クリスマス。どれも掛け替えの無い、愛おしき日々。 そして、その日々が、失われようとしている。
3 21/05/26(水)17:53:00 No.806676982
「バカだよアンタら! 二人揃って大バカだ!」 私の慟哭を受け止めたアマさんが怒りを露わにする。返す言葉もない。 「アンタのトレーナーを今すぐ病院に連れてく!いいね!」 「……あぁ……だが……」 恐らくトレーナーの病状は非常に深刻な領域にある。間に合うのだろうか……?この期に及んで臆する自分が情けなさを覚える。 「話は聞かせてもらいましたわ!」 そして、その不安を吹き飛ばすかのような、廊下全体に響き渡る大きな声。 「メジロマックイーン……? どうして、アンタが……いや、この際何でも良い。アイツを、助けてくれるのか……?」 「ええ。一心同体のあなた達に手を差し伸べるのに理由はいりません……ですが、ブライアンさん」 「……何だ」 「あなたに、ありますの? 彼に全てを捧げる、その覚悟が」 その問いへの答えは、決まっていた。
4 21/05/26(水)17:53:19 No.806677075
「……やっと、仕事が終わった……」 今日の残業を終え、漸くの帰宅。明日は何も予定が入っていない。久しぶりに家でグッスリ眠れる。そう気が緩むと、足元がフラついた。 「うぉっとと……あ、ありがとう。ブライアン」 部屋を出ると同時にバランスを崩しかけて、偶然近くを通りかかったブライアンに支えられた。 「……ブライアン?」 礼を言ったのだが、彼女の様子がおかしい。何故か頬が赤く、どこか戸惑っているような。 「……これは、前借りだ」 「へ? 何を……っ!?」 そのハッキリしない態度に首を傾げていると、彼女が俺の頬を手を添え、そして唇を重ねてきた。 ブライアンに、キスをされた。 あまりに衝撃的な出来事。疲労で頭が回らないのもあり、ただひたすらに固まるしかなく。 「……マックイーン! これでいいんだな!?」 「ええ。まごう事なき一心同体の証ですわ!」
5 21/05/26(水)17:54:09 No.806677286
「そう言う訳だ。悪いが強制連行させてもらうぞ」 「ブライアンさんを悲しませちゃダメー!」 「さあ観念しな」 そのままビワハヤヒデとマヤノトップガン、そしてヒシアマゾンにも囲まれて、あれよあれよと言う間にメジロ家お抱えの大病院へと連行されてしまった。見た事もない馬鹿でかい機器で精密検査を受けさせられたが、過労以外では特に身体の異常も無く。 「愛ですわ! ブライアンさんの愛が奇跡を起こしたのね!」 やたらとテンションの高いメジロマックイーンにも着いて行けない。 兎に角疲れた。押し寄せてくる眠気に再び体勢を崩し、ブライアンに受け止められた。 「あぁ……ごめん、ブライアン……」 「いや、いい……今は、休め」 「そうする……」 「あぁ……二度とアンタを……この手を、離しはしない」 ブライアンに抱き止められ、俺は意識を手放した。 目を覚ましたのは三時間後。俺とブライアンの結婚式をどうするかで揉める彼女達の声が目覚ましとなった。 ……一体、どうしてこんな事に?
6 21/05/26(水)17:54:56 No.806677487
一月前くらいに見たエアグルーヴのトレーナー死亡勘違いネタをブライアンでやってみたやつ
7 21/05/26(水)17:55:44 No.806677691
久々のアンジャッシュは体に染み渡る
8 21/05/26(水)17:58:43 No.806678469
ズタ袋に入れられて連行される姿が見える…!
9 21/05/26(水)17:59:50 No.806678771
完全にすれ違ったままでダメだった
10 21/05/26(水)18:02:00 No.806679355
やっぱりアンジャッシュ怪文書は良い すごく好き
11 21/05/26(水)18:02:36 No.806679528
残業してたら人生の墓場へ叩き込まれたトレーナー
12 21/05/26(水)18:04:07 No.806679951
どうして疲れたトレーナー達はちょっと気取ったセリフを言ってしまうのか 自分もたまに言う時はある
13 21/05/26(水)18:06:53 No.806680721
そういえばエロが原因で鼻血出たことねえな
14 21/05/26(水)18:08:58 No.806681317
なにがどうなって? ブライアンと俺の結婚式? ??????????
15 21/05/26(水)18:09:54 No.806681625
マックイーンが余計な事言いすぎでは?
16 21/05/26(水)18:10:10 No.806681703
もしかして:ハッピーエンド
17 21/05/26(水)18:10:18 No.806681742
一心同体プラン便利だなあ…
18 21/05/26(水)18:11:03 No.806681967
> マックイーンが余計な事言いすぎでは? いいでしょう私は春天連覇ですわ
19 21/05/26(水)18:11:54 No.806682206
>そういえばエロが原因で鼻血出たことねえな キングのトレーナーは勃起してたけどあれは鼻血は出してなかったっけか
20 21/05/26(水)18:12:33 No.806682396
>どうして疲れたトレーナー達はちょっと気取ったセリフを言ってしまうのか >自分もたまに言う時はある 今回のはブライアンの気取った言い回しをちょっと真似てみただけだから…