21/05/25(火)19:36:06 ぐるぐ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1621938966171.png 21/05/25(火)19:36:06 No.806401929
ぐるぐる巻きになった死体がむっくり起き上がったので、フランシュシュのみんなはびっくり仰天。純子など愛との子供を流産したかと思ったぐらいに驚いた。 「動きよる！動きよる！」 「死体は動いたりなんかしませんよー！」 「じゃあなによ！？死体じゃなかったらなによ！？」 飛び出さんばかりに目を剥いた愛は、我関せずと鼻をほじくっている幸太郎を怒鳴りつけた。 「アンタ、なに連れ込んでくれちゃってんの！？」 「いーや、確かにそれゾンビィです。俺がちゃーんとゾンビィになーれって佐賀の夜空の流れ星にお願いしたら女神様がきて魔法をかけてくれたからもう」 「目、赤いし！動いてるし！っていうか昨日に殺してたの！？」 「俺はなんにもしーりーまーせーんー」 完全に現実逃避モードに入っている。とても話が出来そうな雰囲気ではない。 ともかく、相手は動いている。目が赤い。しかし昨日に死んでいる。愛の言葉を処理したサキの天才的頭脳が、一つの答えを導き出した。 「分かった！こいつは幽霊じゃー！」 ドタ足鳴らして地下牢を走り出たサキは、すぐに台所から塩を取って引き返してきた。
1 21/05/25(火)19:36:45 No.806402116
「リリィにおまかせだよー！」 リリィは天才霊能力者の役もやったことがある。ぱっぱと塩を撒いて印を結んで、呪文を唱えて念を飛ばした。 「破ー！」 効かない。サキも見様見真似で塩をかけて念を飛ばした。 「だー！」 もちろん効かない。死体は頭に塩の山を作って、元気にふらふら歩いている。 「幽霊じゃないみたーい」 「ナメクジでも、なさそうでありんすなあ」 さしもの幸太郎もナメクジを新メンバーにするとは考えにくいが、塩が効かないあたりからすると幽霊でもナメクジでもないらしい。 今度はたえが進み出た。 「ヴー！」 噛みつくのかと思いきや、胸に詰めていた巨大なタマネギを引っ張り出して、死体めがけて投げつけた。タマネギが頭に当たった死体はわずかに怯んだ。 「タマネギで、怯んだ……」 ようやく平静を取り戻した純子が、ハッと顔を上げた。 「もしかして、これって吸血鬼じゃないですか！？」
2 21/05/25(火)19:37:38 No.806402376
「それよー！」 愛が壁にあったボタンを裏拳で殴りつけると、緊急用の十字架と杭とポリタンクが天井から降ってきた。こういう時のために備え付けてある。 「えーい！」 さくらが十字架をブンブン振った。 「おりゃー！」 純子が白木の杭を死体の胸に打ち込んだ。 「だりゃー！」 愛がポリタンクの灯油をかけて火をつけた。 吸血鬼なら即死ものの三段攻撃であるが、死体は元気に火達磨になったまま、ふらふらと歩いている。 「効いとらんみたい……」 「吸血鬼じゃないってこと！？じゃあなんなのあれ！？」 困惑するゾンビたちの目の前で、火達磨になった死体の布と杭は燃えてゆき、見る間に炭屑と化して散っていった。
3 <a href="mailto:おわり">21/05/25(火)19:37:55</a> [おわり] No.806402463
燃え尽きた後には全裸の女が立っていた。なんだか血色はいいし肌にも髪にもハリがあって艶々しているし、ぱっと見は生きているように見える。 「死んどる……よね？あれ」 「死んだからアイツが連れてきたんでしょ！そうよね！」 「しーりーまーせーんー」 愛が怒鳴って幸太郎が無視するのをよそに、死体らしき女は蒼惶としているゾンビたちを見て自分の身体を見て、またきょとんとした顔でゾンビたちを見て聞いた。 「えー……わたし、死んだんですか？」 「へ？」 ようやくわけがわかった。舞々は生きた普通の人間だから、幽霊や吸血鬼を退治する方法が効くはずがない。 なあんだそっか。安心して笑う一同であった。
4 21/05/25(火)19:39:07 No.806402830
まいまいちゃんは強いな…
5 21/05/25(火)19:54:14 No.806408225
胸にまいまいが詰まってうまく通らんとかな？
6 21/05/25(火)20:22:02 No.806418278
どやんすに杭が挟まれたと書くかどうか悩んだけど下ネタっぽいので遠慮しました