21/05/24(月)00:31:45 その温... のスレッド詳細
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21/05/24(月)00:31:45 No.805903011
その温泉旅館は繁華街から少し離れた山のふもとに建っていた。 耳を澄ませても木々のなびく音や鳥の鳴き声くらいのもので、静養という言葉を体現したスポットとして関係者からは評判である。 ぽつぽつとまばらな人影にはウマ娘の割合が多く、改めてそういう場所であるとの納得がいった。 だが今回の私たちは彼女らとは少し事情が違って……
1 21/05/24(月)00:32:00 No.805903103
「温泉、ですか」 「は、はい!」 学園は春休み、ぼちぼちレースへの調整を始めることを考え出す時期。 私とあなたがまとまった時間を共に過ごせる数少ないタイミング。 年中無休のトレーナー業に不満を持ったことは無かったがこんなときは少しだけ逆恨みしたくなる。 「……へぇ、こんな施設があるんですか」 「あまり有名ではありませんが、いわゆる穴場、的な」 目の前でパンフレットを興味深そうに眺める彼はトレーナーになって数年のほぼ新人さん。 だのに彼の担当の成績は学園の歴史を見ても例の少ない程の優秀さ。 私はしませんが、やはり畏怖も嫉妬もよくされるようで。友人らしい人はあんまり見たことありません。 「おぉ……」 「評判、いいんですよ、療養にもってこい」 私の口調はたどたどしい。部屋でやった予行演習の成果はまるで感じられない。
2 21/05/24(月)00:32:23 No.805903228
「行かないんですか?」 「へ?」 「桐生院さん、ミークと行かないんですか。」 来た。 「あ、えーっと、私も実はまだ行ったこと無くて…」 これは本当。事前に親から教えてもらった以外はそのパンフレットが私の知る全てだ。 「ですから、その…し、下見に!」 「下見。」 「はい、下見に!行こうと、思ってまして…」 これも本当。知り得る限りの予定を考慮した日程が既に立っている。 後は……
3 21/05/24(月)00:32:34 No.805903287
「そうですか。じゃあ……」 「一緒に!」 「ん?」 「い、行きません、か…?」 「……俺と?」 「はい!その……一人だと不安、というか……えと……方向音痴とか……」 これは少し嘘。小さな願いのこもった、小さな嘘。 「……」 返答がない。影を落としたこぶしが固く結ばれる。
4 21/05/24(月)00:32:48 No.805903369
弾む心音のせいでその後の会話はよく覚えていない。 けど、 「……ふふっ」 蛍光灯にかざしたお気に入りの手帳。 影になって暗い見開きの片隅に、なにより輝く4文字が刻まれていた。 『彼と温泉』
5 <a href="mailto:s">21/05/24(月)00:33:26</a> [s] No.805903571
俺は桐生院とえっちしたいマン 予想以上に長くなったので4分割だ
6 21/05/24(月)00:34:34 No.805903923
えっちしたいよね…