虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/05/23(日)19:59:01 No.805785754

    前回までです su4872995.txt

    1 21/05/23(日)19:59:23 No.805785928

    どさり、と肩に担いでいたエアグルーヴをベッドに下ろすと、ナリタブライアンは保健室のパイプ椅子にどっかと腰を下ろした。 「まだ当分目を覚ましそうにないな…。」 よく見ればアイシャドウに彩られた目のすぐ下にはクマがあった。おおかた最近の生徒会の業務によって仕込まれたものだろう。 毛布を掛け、薬棚から拝借した冷却シートを貼る。発熱しているわけではなかったが、昔自分が姉にそうしてもらったように、寝込んだ人にはこれが効くのだろうというナリタブライアンなりの気遣いだった。 「さて…どうしたものかな。」 一通りの看病を済ませたあと、ナリタブライアンは先程の出来事、もといシンボリルドルフの豹変について考え込んでいた。 「少なくとも昨日まではまだまともだったはずだ。最後に顔を見たのは放課後、生徒会室で作業を済ませた時だった。となると、そのあとから今日までの間に何かあったことになる。」 ナリタブライアンの耳にもシンボリルドルフのバ身事故の話は入っていた。それが原因とでもいうのだろうか?

    2 21/05/23(日)19:59:33 No.805786003

    その時、保健室の扉が開いた。一人のウマ娘が入室する。 「…姉貴。」 そこにいたのはナリタブライアンの姉であるビワハヤヒデだった。 「ブライアンか。ここにいるということは何か怪我でも…?」 「いや、私じゃない。用有りはこっちさ。」そういってベッドの上の同僚を親指で指す。 「エアグルーヴ…?意識がないのか!?」 「いや、そんな心配することじゃない。ただ眠ってるだけさ。」 「そうか…確かに最近の生徒会は山のように仕事があるだろうから、疲労がたまっててもおかしくない。ブライアンも適度に休憩するんだぞ。その都度水分も十分摂取してだな…」 「姉貴、わかったから。それより姉貴は何しにここに?」 「ああ、そうだ。アイシングのために冷却スプレーを借りに来たんだ。適切なクールダウンは効率的なトレーニングに必須だからな。」 あいかわらずの頭でっかちな様子だ、とナリタブライアンは思った。

    3 21/05/23(日)19:59:45 No.805786113

    「…そういえば姉貴は、その、病気とかの知識はあるのか?」 「どうした急に。まぁ、アスリートである以上身体は資本だからな。本職の医者まではいかずともある程度は勉強しているつもりだ。」 「そうか。」 数瞬、考えたのちにナリタブライアンが口を開く。 「…少し相談したいことがある。」

    4 21/05/23(日)20:00:00 No.805786256

    「…なるほど。つまり、ブライアンは会長の豹変の原因がその事故にあると見ている、ということだな。」 「それ以外に特に思いつかないからな。」 「しかし、噂かと思っていた会長の事故が本当にあったこととはな…。」 ふーむ、と腕を組み論理思考にふけるビワハヤヒデ。 「…さっきも言った通り、私も医者じゃないから確実な事は言えないが…。」そう前置きして話始めた。 「ウマ娘はどうか知らないが、ヒトには幼児退行という現象が起こることがある。恐らくそれに近いものだろう。」 「幼児退行…?クリークのトレーナーがやっているアレか?」 「アレは違うな。"そういう設定"でロールプレイングをしている訳ではなく、本当に精神年齢が幼少期へ逆行してしまうんだ。」 「…面倒だな。どうすれば治る?」 「それは分からないな。まず原因が何かにもよる。ヒトの場合、多くはストレスが原因らしいが、脳にダメージを受けて発症するケースもなくはない。」 「なっ…脳に!?」

    5 21/05/23(日)20:00:17 No.805786408

    「衝突事故によって発症したなら恐らく後者だろう…だが、生徒会長ともなればその重圧は我々のものとは比べ物にならないだろう。ストレスが原因である可能性も否定できない。 なによりこれはあくまでヒトでの話だから、そのままウマ娘へとあてはまるわけじゃないかもしれない。」 フーッ、とため息をつくナリタブライアン。 「…雲を掴むような話だ。」 「すまないな。あまり参考にならなかったようだが…。」 「いや、それでもとりあえず会長を病院へ引きずってでもつれて行くべきだと分かっただけましさ。」 そういうとナリタブライアンは椅子から立ち上がった。 「私もまだ残っている作業があるから、もう戻る。エアグルーヴは…まぁそのうち目も覚ますだろう、放っておいてくれ。」 「そうか。私もトレーニングに戻ることにするよ。会長に何もなければいいが…。」 「あの状態で何もなければいよいよ問題だがな…。」

    6 21/05/23(日)20:00:29 No.805786515

    保健室からナリタブライアンとビワハヤヒデが出ていくと、すぐ近くの物陰に潜む一人のウマ娘の耳がぴょこぴょこと動いた。 「ふ~ん、今はエアグルーヴがいないんだ~…にっしし!」 そのウマ娘は2人に気付かれぬよう、そっと生徒会室に向かっていった。

    7 21/05/23(日)20:00:45 No.805786652

    春の木漏れ日の暖かさに包まれながら、生徒会室ではシンボリルドルフ─ハルウララは、必死で眠気に戦っていた。 承認印を仕舞う引き出しの鍵を取りに行く前に、ハルウララ─シンボリルドルフに言われていたことを守るためである。 『もしかしたら、私が戻ってくる前にブライアンが帰ってくるかもしれない。その時は…そうだな、とりあえず私のスマートフォンに連絡をくれ。対処を考える。 それと、もしブライアンではなく先生方が何か用件を伝えにきたら、「わかりました、あいにく今は作業が残っておりますので後程こちらから連絡します」と言えばいい。』 もし誰かが来たとき、シンボリルドルフがうたた寝していたら生徒会の価値を貶めることになる。シンボリルドルフもそれをよく理解していたので、眠るまいと自分の頬をぺちん、ぺちんと叩いていた。

    8 21/05/23(日)20:00:57 No.805786746

    「あう…むにゅ…ねちゃだめ…はぅ…だめなのにぃ…むぅ…」 既に頬はうっすら赤くなっており、わずかに腫れている。それでも叩くのをやめないのは、最後に残った一片の理性と、約束を守りたいという気持ちが腕を動かすからだった。 そんなシンボリルドルフに、声の主を聞いてから判断しろと言うのは酷な事かもしれない。 「カイチョー!今入ってもいーい!?」 「っ!はい!わかりましたぁ!あいに「わぁ~い!おっじゃまっしまーす!!」 勢いよく生徒会室に入ってきた快活なウマ娘─トウカイテイオーが、シンボリルドルフの元に向かってくるのであった。

    9 21/05/23(日)20:01:51 No.805787209

    次回に続きます。 今回で書き溜めてる分を出し切ってしまったので気長にお付き合いください。

    10 21/05/23(日)20:04:24 No.805788435

    続きが気になっちゃう…

    11 21/05/23(日)20:15:10 No.805793689

    テイオーだ…

    12 21/05/23(日)20:16:13 No.805794188

    ウララinルナちゃんかわいいね♥

    13 21/05/23(日)20:31:17 No.805801421

    絶妙にめんどくさそうなのが来たな...

    14 21/05/23(日)20:48:13 No.805809952

    混乱が‥加速する!!!