虹裏img歴史資料館

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21/05/22(土)19:44:03 「しか... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1621680243760.png 21/05/22(土)19:44:03 No.805383585

「しかし覇王と人類の代表者とは大きく出たねぇ。」 「言うんじゃねぇ、うちの王子様の大言壮語にゃあいつも悩まされてるが、今回はとびきりだ。ほい、桂先に銀。」 桂マの鼻先に銀を突き付けて交換を狙う。このまま進めば桂マを取った銀も取られるが、そうすれば角が切り込んで成りから王手を狙える盤面。 バルコニーでナカヤマフェスタと将棋を打ちながら、ステージでアヤベ、ドトウとオペラを演じている俺の担当バ、テイエムオペラオーを見下ろす。 目が合った瞬間にウィンクしてきたので、軽く手を振って応じる。ステージ上を駆け巡り、敵の王に刃に切っ先を突きつける姿はいつも通り見事という他ない。 俺はそれを手助けするための一兵卒に過ぎないというわけだ。

1 21/05/22(土)19:45:20 No.805384052

「私との勝負中によそ見とは余裕だな?」 「わりぃ、だがここまで優勢だぜ?互いに尊厳賭けた勝負だ、負けるわけにゃいかねぇよ。」 煙草を吹かしながらほくそ笑む。じわりじわりと歩みを進め、消耗戦の末に王を討ち取る。 とても王子様の副官には似合わない戦い、連なる二つの太陽なんて言ってくれたが、俺ぁ太陽なんて輝く存在じゃない。 オペラオーの踊り歌う様を時折見ながら雑談を交わしつつコマを動かしていく。パチン、パチン、パチン。遠くからの歌声に混じって乾いた音が響く。 段々とこちらの旗色が悪くなってくる、雑兵を盾に竜王、竜マを主軸に攻めるが、フェスタの守りは崩れない。 そうこうしている内にフェスタのコマがこちらの領地へと歩みを進めてくる。冗談じゃねぇ、俺とオペラオーの国土を踏みにじらせてたまるか。 くわえた煙草の灰がアスファルトの上に落ちる。躍起になって攻めて、守って、汗が染みたボサボサの髪を掻き毟りながら打ち続ける。

2 21/05/22(土)19:45:44 No.805384188

「王手。」 「ぬ、ぐ……くぅ………っ!」 「詰みじゃねぇか?まぁいくらでも悩んでくれや、ちょいとコーヒー買ってくるんでな。」 盤面を放置したまま、勝者の余裕を見せながら屋上を後にするナカヤマフェスタ。その背中を見送りながら、すっかり短くなった煙草を灰皿に押し付け、二本目に火を点ける。 どうにか出来ないか、ここから起死回生の一手を、そう悩んでいると、悪魔の囁きが聞こえてくる。 『戦争と恋愛においては全てが正当化されるという言葉を知っているだろう?盤面を弄ってしまえばいい、きっとばれないさ。我が王国に勝利を捧げるためなら、キミは何でもすると誓っただろう?』 何故かオペラオーの声と口調で。 俺の指が彼方から王の逃げ道を塞ぐナカヤマの角行へと伸びる。こいつを1マスずらしてしまえば、まだ続けられる。あるいは持ち駒の歩でも置いてしまえば……。 いや、やめだ。覇王の部下がそんなみっともない真似は出来ない。 潔く負けを認めよう、しかしこれでも将棋の腕前は自信があるんだが、敗因が掴めない。途中から自分の型が崩れたのはわかるが……。

3 21/05/22(土)19:46:09 No.805384322

「あそこまで竜王竜マに拘られちゃなぁ、簡単に脇を突付けたさ。」 「おう、お帰り…と、オペラオー。」 缶コーヒー片手のナカヤマは何故かオペラオーを引き連れていた、そして更に何故か、オペラオーはおかんむりのようで。 「23回、16回、7回、トレーナー君、これが何の数字かわかるかい?」 「い、いいや、全く……。」 「おお、無知は罪たるか?罪と知らず罪を犯したる者は罪人として鞭打たれるべきか?今のボクの答えは是だ。  キミへ視線を送った数、手を振った数、そして呼びかけた数だ。その悉くをキミは無視した。ナカヤマ君との将棋に夢中になってね。  ボクの伴侶としてこれは大罪だ、ナカヤマ君。賭けの内容は?」 「敗者に対する命令権、カネやモノを要求するのは無し、人に迷惑かけるようなのも無し、そんなとこだな。」 「なるほど、理解した。さてトレーナー君、先程ナカヤマ君と取引してね、その権利ボクが買い取った。」

4 21/05/22(土)19:47:02 No.805384593

ナカヤマぁ!裏切ったな!俺は心の中で叫んだ、フリッフリの可愛い服着させてうまぴょい踊らせたのがそんなに不満か!! 俺だって同じぐらい辱め受けてるんだぞ!! 覇王兼私刑執行人は白く美しい指先で鼻筋をなで上げ、細く涼やかに伸びた眉になぞらせる。そして眉を顰めて苦悩する。 ああ、クソ。見惚れちまう、世紀末覇王を名乗り、強く、美しく、そして傲慢なほどの自尊心、俺に欠けているものが、喉の乾きを覚えるような渇望が視線が固定されちまう。 「ではこうしよう、トレーナー君。キミは来月開くボク主演の一大歌劇に出演してもらおう。  既に脚本は出来ていんだ、キミの要望もあって今まで脇役ばかりやってもらっていたけど、今回ばかりは大役を任せるよ、拒否権もないことだし、ね。」

5 21/05/22(土)19:47:18 No.805384694

「ぐっ…!でもよぉ、俺みたいなのが舞台で出張っても誰も喜ばねえだろ、いつもみてぇにドトウやアヤベにしたほうが堅いんじゃねぇか?」 「ボクと連なるもう一つの太陽がそんな弱気では行けないなぁ。ハーッハッハッハ!!確かにボクは比類なく美し、強く、そして完璧だ。  しかし同時に、人を見る目も持ち合わせている、そのボクが言うんだ、キミは間違いなく逸材だよ。」 「はいはい、ごっそさん。いつ演るか決まったら教えてくれよな。」 高笑いするオペラオーをよそにナカヤマの野郎はさっさと将棋盤を片付けてバルコニーを出ていった。あの野郎いつか見てろよ。

6 21/05/22(土)19:47:41 No.805384820

「それで、覇王様よ、俺は何の役なんだ?宰相か大臣か?あんま大それた役は俺の器じゃねぇぞ?」 「フフフフ、それでは並び立つとは言えない。言っただろう、キミとボクはヒトとウマ娘の代表となってもらう。  もちろんボクはウマ娘の覇王、そしてキミには、人類の代表、我が国と争う隣国の女王をやってもらおう!」

7 21/05/22(土)19:48:12 No.805385016

「は…?」 「長きに渡り相争う二つの国、相容れないと思われる両国の王が立場も種族も、そして性別の壁すらも越えて結ばれる!そんな一大歌劇さ!  URAが終わって自由になったが、忙しくなるぞトレーナー君!早速台本の読み込みだ!」 オペラオーに手を引かれながら俺はナカヤマを、いや、オペラオーを無視して将棋にうつつを抜かしていた俺自身を恨んでいた。 女らしさなんてお袋の腹の中に置いてきちまった俺が女王なんて、冗談にしてもたちが悪すぎる……!!!

8 <a href="mailto:sage">21/05/22(土)19:49:51</a> [sage] No.805385602

URA優勝して覇王の熱気に押されてしたためました 固有スキルすら使わずぶっちぎったうちの覇王は最強です

9 21/05/22(土)19:50:44 No.805385901

しっとりオペラオー…

10 21/05/22(土)19:50:47 No.805385920

オージ欲しい PUして…

11 21/05/22(土)19:55:36 No.805387757

これトレーナー性別どっちだ…?

12 21/05/22(土)19:56:44 No.805388180

俺っ娘なんじゃない?というかそう読んでた

13 21/05/22(土)19:57:16 No.805388377

>これトレーナー性別どっちだ…? 俺女だろう、流石に男性トレーナーに女王役やらせようなんていくら世紀末覇でもないと思う

14 21/05/22(土)20:00:26 No.805389547

だがこのフリッフリの可愛い服を着せられてうまぴょい踊らされる男の娘というのは使えるぞ!

15 21/05/22(土)20:02:26 No.805390277

>これトレーナー性別どっちだ…? >女らしさなんてお袋の腹の中に置いてきちまった俺が女王なんて、冗談にしてもたちが悪すぎる……!!!

16 21/05/22(土)20:06:40 No.805391820

むう俺女オペラオートレーナー… いいね…

17 21/05/22(土)20:19:53 No.805397048

良い...

18 21/05/22(土)20:41:27 No.805405554

叙述トリックはもう1回読み直す面白さがある

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