ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/05/19(水)23:24:23 No.804478904
「朝よトレーナー、起きなさい!」 「ん……あと5分」 お決まりの台詞を言って布団に籠る。今日は休日だ。いつも忙しくて寝不足気味だから、たまの休日ぐらいはゆっくりさせてほしい。 「ダメよ! 今日は出かける約束でしょ。ほら、おーきーなーさーい!」 その声と共に布団を剥がされた。目の前にいたのは、私が担当しているウマ娘のダイワスカーレットだった。青いチェックのエプロンを身に付けた彼女は、手早く布団を畳んでしまうとそれをベットの端にまとめた。彼女がカーテンを開けると、陽の光が差し込んできた。
1 21/05/19(水)23:25:22 No.804479217
「???」 混乱して頭が回らないでいると、見かねたスカーレットが私に声を掛けてきた。 「もしかしてアンタ忘れてるの? どうせ寝坊するからって、アタシがアンタの家に泊まるって言ったら承諾して家に入れてくれたじゃない!」 「あれ、そうだっけ……」 そう言われて思い出そうとしても全く昨日のことが思い出せない。それに二日酔いの時のような頭痛が邪魔をして記憶を復元する作業に集中できない。 「頭痛いんでしょ? アンタ昨日お酒をいっぱい飲んでいたから。後片付けはアタシがしておいたけど、今度は気をつけなさい!」
2 21/05/19(水)23:25:51 No.804479380
手を胸に置いて誇らしげな表情を浮かべるスカーレット。机の上には空いたワインのボトルが2本あった。 「参ったな、昨日はそんなに飲んだ覚えが無いんだけど。ごめんなスカーレット、迷惑かけて」 どうやら本当に私はお酒を大量に飲んで、酔い潰れて寝てしまったようだ。いくら週末で気が抜けていたとはいえ、担当の前で醜態を晒したことが情けない。それに記憶を無くすほど飲むなんて言語道断である。
3 21/05/19(水)23:26:32 No.804479627
「いいのよ、それよりちゃちゃっと支度してきなさい! 今日は水族館に行くって約束でしょ!……もしかしてそれも忘れてるの?」 「いや、ちゃんと覚えてるよ」 寂しげな表情になった彼女にそう答えると、一転して明るい顔に戻った。息抜きにと提案したものだったけれど、ここまで喜んでくれるなら考えた甲斐があるというものだ。 レースで活躍するウマ娘と言えど、彼女はまだ学生である。1番であり続けるためにストイックなのは彼女の美点だが、時には足を止めて肩の力を抜いてくれたらと思う。最も、彼女の体調に合わせてスケジュールを調整するのがトレーナーである私の仕事なのだが。 「そう! なら、朝食の準備は出来てるから顔を洗ってきなさい。まだ寝ぼけた顔してるわよ」 「分かった」 返事をして洗面所に向かう。キッチンからは、焼けたベーコンと目玉焼きにトースト、それに紅茶の香りがした。
4 21/05/19(水)23:27:38 No.804479979
「「ごちそうさまでした」」 スカーレットが作ってくれた朝食を食べて、時刻を確認すると朝の9時だった。水族館に行くのは昼からなので、まだ時間の余裕があった。 紅茶を飲んでぼーっとしてると、ソファで隣に座っていたスカーレットが立ち上がった。 「どうしたの?」 「そういえば、タキオンさんのトレーナーさんからもらったチョコがあったことを思い出したの。食べる?」 「ああ、頂こう」 そう言うと、彼女は白い箱に入ったマカロンを持ってきた。 タキオンのトレーナーの作るお菓子は絶品だ。常に発光している彼は、彼の担当であるアグネスタキオンのわがままに応えるために、日々料理の腕を上げている。 お菓子作りもその一環であり、彼が作るお菓子は紅茶によく合う。 大抵のトレーナーがウマ娘に対して献身的であるとはいえ、彼ほど担当の身の回りの世話をしている者もいないだろう。噂では、トイレにまで付き添っていると聞く。流石に過保護過ぎないだろうか。 前にくれた紅茶には一服盛ってあったが、今回のチョコはどうだろうか。先に毒味をしておこう。
5 21/05/19(水)23:28:20 No.804480196
「待ってくれスカーレット、先に食べてもいいか?」 「別にいいけど、そんなに食べたいの?」 「いや、前の時みたいになったら困るだろ?」 「前のって……っバカ! 朝から何言ってるのよ!」 のぼせたかのように顔を真っ赤にした彼女を見て笑う。こういう所がからかいたくなる原因だ。 板状のチョコを1枚手に取る。口に運ぶとミルクチョコレートの甘みと中に入っていたベリーソースの酸味が広がった。うん、普通においしい。
6 21/05/19(水)23:28:50 No.804480361
素直にタキオンのトレーナーのお菓子作りの腕に感心していると、横からスカーレットが手を伸ばしてチョコを食べてしまった。 「ん、おいしい。ほら、アンタも何もないしもう食べても大丈夫でしょ?」 そう言ってチョコを齧るスカーレット。その姿がとても魅力的に見えて、気づいた時にはもう動いていた。 「スカーレット」 「なに__」 彼女が聞き返す前に口を塞いだ。唇にはベリーソースが少し付いていて、その味がした。 「な、なななにしてんのよっ!?」 慌てて離れる彼女。顔を真っ赤にして目を回している様子から相当に慌てているようだ。 「嫌だった?」 「嫌、じゃないけどこういうのは、その、そう! もっと雰囲気ってものがあるでしょ!?」 手の動きが大きくなって益々混乱する彼女に私は答えを提示した。
7 21/05/19(水)23:29:14 No.804480492
カーテンを閉めて部屋を暗くする。ベッドの脇にあるスタンドライトを光量を絞って付けた。 「これでどう?」 「……水族館に遅れちゃうわ」 「まだ時間があるから大丈夫だよ」 「……ベットまで運んで。お姫様抱っこで」 相変わらず顔は真っ赤なままで、そっぽを向いて目を合わせない女王様に私は苦笑して、彼女をベットに運んだ。 この熱がタキオンのトレーナーからもらったチョコのせいなのか、それともまだ抜け切っていない酔いのせいなのかは分からなかった。 結局その日は時間通りに水族館に行ったが、お互いに気が散って鑑賞に集中できなかった。そして彼女はもう1泊していった。
8 21/05/19(水)23:30:19 No.804480850
おわり 遥か前に書いた遊園地デートの前にぴょいするダスカの続きです
9 21/05/19(水)23:31:52 No.804481403
今日はやけにうまぴょいを見るな…
10 21/05/19(水)23:33:14 No.804481858
ダスカをお姫様抱っこできるトレーナー…
11 21/05/19(水)23:39:16 No.804484037
ウワーッ!
12 21/05/19(水)23:46:36 No.804486620
トレーナー起こすダスカがまるでオカンのようだ
13 21/05/19(水)23:47:39 No.804486984
ダスカらしい正しいラブコメヒロインの休日だ…
14 21/05/19(水)23:55:00 No.804489619
紅茶口移し遊園地の「」か!ありがたい…
15 21/05/20(木)00:05:19 No.804493208
紅茶口移し遊園地… 紅茶口移し遊園地…?
16 21/05/20(木)00:13:04 No.804495654
ダスカ怪文書は次の朝を一番にする ベッドの中の出来事を見せてくれ我慢できない
17 21/05/20(木)00:14:30 No.804496119
前回のテキストどっかいってしまいました たぶん某所の4月21日の朝頃同じスレ画のやつです 某所の名前は広めないでくださいとのことなので申し訳ない…
18 21/05/20(木)00:20:09 No.804498070
教え子で1番で母で恋人 ミスパーフェクトな訳だ…