21/05/19(水)00:52:23 「いよ... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1621353143470.png 21/05/19(水)00:52:23 No.804193705
「いよいよ、明日だね選抜レース。私も手続きが終わったし見に行けるよ」 「……かなりの頻度で来てましたね。暇なんですか?」 「グラスも毎日こんな時間まで練習してたんだからお互い様だよ」 「お互い様ではないでしょう」 暇だったら来ると言っていたトレーナーさんとの会話は、夜練の一部にすらなっていました。 「今日はもう誰も来ない感じ?」 「選抜レース前なので一人で心を落ち着かせたいと、みんなには頼んだんですよ」
1 21/05/19(水)00:52:45 No.804193798
「あれ?私もしかして邪魔?」 「今更ですか」 夜練に参加する人が私だけなわけもなく、エルやスペちゃん達が参加するときもあり、その時もこの人は練習を眺めてたり、たまにエルとプロレスをしたりもしている。 選抜レースは明日なので軽めの練習にしておこうと思った矢先にぽつぽつと雨が降ってくる。 「うわ、天気予報では書いてなかったのに。これから強くなるかもしれないからもう帰ったら?」
2 21/05/19(水)00:53:13 No.804193902
「これくらいの雨でしたら平気ですよ」 「明日は選抜レースなんだから風邪でも引いたら元も子もない──へっくし」 「トレーナーさんの方が深刻じゃないですか」 ですが、実際に雨も強くなってきたので帰ろうかと思っているとトレーナーさんが近寄って来て、上着を被せてくれました。 「何ですか」 「風邪ひいちゃうで──くしゅん」 くしゃみをしながら身震いをするトレーナーさんの耳は垂れている。
3 21/05/19(水)00:53:30 No.804193971
「そうですね、もう帰りますか。これ以上いるとトレーナーさんの方が風邪ひいちゃいそうですし」 「私は大丈夫だよ」 「鼻水垂らしながら言われても説得力がありませんよ」 帰る道中トレーナーさんは何度もくしゃみをしていて、尻尾と耳はすっかり垂れていました。 ──────────────────────────
4 21/05/19(水)00:53:49 No.804194068
結果だけ言うと選抜レースはグラスの圧勝だった。ただ一つ問題があり。 「1着でしたねって、グラスは何を探してるんですか?」 「トレーナーさんを見ませんでしたか?」 「トレーナーって、夜練によくいるあの愉快な人ですか?」 「その愉快な人なんですけど、見ていませんか?」 「ウマ娘のトレーナーなんて目立つから居たらすぐ気づくと思うんですけど、私は見ていませんね。スペちゃんはどうですか?」
5 21/05/19(水)00:54:12 No.804194159
「私も見てないなあ、他の人にも聞いてみたら?」 「そうですか……」 軽く周りを見回して探してみるが見つからない。 ただ、たづなさんが居たので何か知ってるんじゃないかと思い尋ねると、歯切れが悪いながらも答えてくれた。 「あの人はですね、その、なんて言うか……」 「何かあったんですか?」
6 21/05/19(水)00:54:39 No.804194275
「……風邪引いちゃいましてね」 「はい?」 「昨日の夜から体調が悪いとか言ってたんですが早朝に、熱出て死にそう。と連絡が来て、様子を見に行ったら本当に辛そうだったのに出勤しようとしてたので、無理矢理休ませて来たんですよ」 昨日人にあれだけ風邪を引くなと言っていたのに結局風邪を引いたのはあの人だった。 「……何ていうか、すいませんね。彼女が色々と迷惑をおかけしたようで」 「……?何でたづなさんが謝るんですか」 「まあ、昔からの癖みたいなものですのでお気になさらず」
7 21/05/19(水)00:55:13 No.804194403
何の癖なんだろうと疑問を抱きつつもたづなさんにお礼を言い別れると、レースを見ていたトレーナーさん達からのスカウトが始まった。 今度会ったときは文句の一つでも言ってやろうかと考えを巡らせながら、スカウトを断ることにした。 ────────────────────────── レース後なので軽めの練習にしておく。 夜風に当たりながら星を眺めると、彼女に言いたかった文句も消えてしましそうになるので、体に染み付いた練習に集中する。
8 21/05/19(水)00:55:42 No.804194509
ふと視界の端に見慣れたウマ娘の姿を捉え、もしやと思い近づいてみると、厚着をしてマスクをしている、誰が見ても病人だと判断が付くような見た目の彼女がいた。 「こんな所で何やってるんですか!」 スカウトしに行くとか言っといて、来れてないじゃないですかとか色々と文句は考えていたはずなのに、本当に体調の悪そうな彼女を見てしまうと、自分でも驚くぐらいの声量で心配をしてしまった。 「スカウトをしに来たよ」 彼女はとてつもないほどの鼻声で、体調も悪いはずなのに笑顔でスカウトに来た。
9 21/05/19(水)00:56:15 No.804194653
「もしかして、もう決まっちゃったりしてる?」 「いえ、まだ決まってませんけど」 「よかった、じゃあちょっと締まらないけど」 彼女が何を言いたいかはすぐに分かったので、心配を一度置いて姿勢を正す。 「グラス、私の担当ウマ娘になってくれますか?」 「はい、ご指導ご鞭撻、よろしくお願いいたします」 初めて会ったウマ娘のトレーナーは私のトレーナーさんになりました。
10 21/05/19(水)00:56:40 No.804194739
「……はい、じゃあ早く帰りましょう。というよりどうやって来たんですか?」 「マルちゃんにめっちゃお願いして、安全運転で運んでもらった」 「マルちゃん?」 「マルゼンスキーちゃんのこと」 「……知り合いなんですか?」 「こうはい」 そういえばトレーナーさんの事はあまり知らなかったなと思うと、遠くからたづなさんとマルゼンさんが心配そうな顔をしながらトレーナーさんを引き取りに来たので、心配をしつつも引き渡してそこで別れた。
11 21/05/19(水)00:57:41 No.804195000
たづなさんはトレーナーさんの家の合鍵を持っています
12 21/05/19(水)01:06:49 No.804197074
風邪引きながらマルゼンさんの車に乗るとか正気の沙汰ではない
13 21/05/19(水)01:18:31 No.804199713
>風邪引きながらマルゼンさんの車に乗るとか正気の沙汰ではない それでもスカウトしに来たかったんだろうさ
14 21/05/19(水)01:22:18 No.804200508
マルゼンスキーの態度でやべー先輩だったって気付かれない?
15 21/05/19(水)01:33:36 No.804202925
マルちゃん…