虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。

  • iOSアプリ 虹ぶら AppStoreで無料配布中
  • 「2分28... のスレッド詳細

    削除依頼やバグ報告はメールフォームにお願いします。 個人情報,名誉毀損,侵害等について積極的に削除しますので、メールフォームより該当URLをご連絡いただけると助かります

    21/05/16(日)22:47:24 No.803512329

    「2分28秒!凄いタイムだな!記録更新だぞテイオー!」 「そーでしょそーでしょ!なんたって無敵のテイオー様だからね!」 あの後、ボクはトレーナーと初めて出会った場所まで時間が戻ったのだと気付くのにあまり時間はかからなかった 原因は分からない。けど、ボクはトレーナーにもう一度会えたのが嬉しくて、そんなことは頭の端に追いやってしまった その場でトレーナーを逆スカウトして、会長に宣戦布告もした。3冠だって達成した トレーナーが生きていて、夢も達成して笑い合える。幸せだ、幸せなはずなんだ でも…分かってしまう。このヒトはトレーナーだけど、トレーナーじゃない 仕草も、笑顔も、優しさも、全部が全部おんなじ だけどこれは…よくできた偽物だ ただの思い出の美化なのかもしれない。でも、魂でそう感じるんだ

    1 21/05/16(日)22:47:44 No.803512456

    同じ道を二回歩いたって、同じ時間には着かないし歩幅も足跡も変わる 出会いからして違うし、ダービーで足も痛めてない。夏合宿で負担も与えなかった このヒトはボクがトレーナーと歩んできた道を、違う歩幅で歩いてるんだ 3冠目を取った時から、それを顕著に感じるようになった このヒトは紛れもなくトレーナーだ。でも…ボクが好きになったヒトじゃない 日常で見えるわずかな差異が、違和感が、軋みとなってボクを蝕む このままいくとボクの中のトレーナーは歪み、壊れてしまうかもしれない でも…それでも、あの別れを考えると、どうしたって手放すことはできない ――頭の中ではまだ目覚ましが響いてる。ボクは…本当に幸せ?

    2 21/05/16(日)22:47:59 No.803512552

    「…オー、テイオー?」 「あっ、えっと…何かな、トレーナー?」 「大丈夫か?最近よくぼーっとしてるみたいだけど」 「そ、そうかな?だいじょーぶだいじょーぶ!なんたって無敵のテイオー様だからね」 ある日のミーティング。目覚ましの音が消えないせいか、最近寝不足だ 前までは気にならなかったけど、音が大きくなってるように感じる 「でも、たまにはどっかでのんびり羽を伸ばしたいなー」 「お?言ったな?そう思ってほら、これ」 トレーナーが何かを差し出す。あれ?この流れってどこかで… 「これ…温泉旅館のパンフレット?」 「ああ、3冠のお祝いと慰安を兼ねてさ。ここなんてどうだ?」 思い出した。そうだ…これが喧嘩の原因、そして…今日はボクがトレーナーを傷付けた日だ。このままだとトレーナーは…トレーナーは… 「テイオー?どうした?」 そうだ、ここで何も言わなければ、ただ受け入れれば、時間が長引かずトレーナーは死なない。ずっと一緒に居られるんだ 言え、言うんだボク。そこでいいよって、ありがとうって…

    3 21/05/16(日)22:48:13 No.803512663

    「う、うう…うえぇぇぇぇ…!トレーナーぁ…ごめんなさいぃぃぃ…」 「テイオー?!なんで泣いてるんだ?!」 「ひっく、あの時、酷いこと、言って…うっく…ホントは、ずっと感謝してたのに…」 「温、泉もっ、凄く、嬉しかったのに、ひぐっ…変に意地張って、ワガママ言って…」 「ごめんなさい…ごめんなさい!トレーナー!死なないで!」 泣きながらトレーナーに謝る。そうだ…ボクはずっと、トレーナーに謝りたかったんだ 罪悪感でずっと目を反らしていた。会いたいとか、幸せとか何とか言って誤魔化して なんて自分勝手。自分のことしか考えてない、傲慢な願いだった もう言葉ですら無い何かを叫びながらワンワン泣く。今願うのは、純粋にトレーナーのこと 神様。3冠なんていらない、ボクがどうなってもいい。だから…だから…トレーナーを、助けて… その時、ふわりとトレーナーに抱き締められた 「大丈夫だよ、テイオー。分かってる…分かってるから」 トレーナーの笑顔は、ボクがよく知ってるトレーナーの笑みで… トレーナー…?ボクの知ってる、トレーナーなの…?不思議な気分になりながらボクは目を閉じた

    4 21/05/16(日)22:48:28 No.803512759

    パチリと、目が覚めた。身を起こし周りを見渡す…トレーナーの部屋だ ボクが持って来た段ボールや机の上の張り紙には見覚えがある 違うことと言えば、ボクが抱いていた目覚ましが粉々になっていることくらい 全部、夢だったの…?トレーナーに会って謝りたい、許されたいって願ったボクの、都合のいい…夢? そんなの…そんなのってないよ…!ジワリと目に涙が浮かぶ。そのまま泣きそうになったところで ――ガチャリと、扉が開く音が聞こえた 「あー、やっと帰ってこれた…って、テイオー?なんでウチにいるんだ?」 「トレー…ナー…?」 間違いない、トレーナーだ。ボクの…ボクのトレーナーだ…! 「段ボールまで持ち込んで、また物を増やそうと…おわっ?!急にどうした?!」 ベッドから飛び出して抱き着く。このヒトだ…このヒトだけが、ボクのトレーナーなんだ… 「トレーナー…トレーナー…!酷いこと言って…大嫌いなんて言って、ごめんなさい…!」 「本心じゃないことくらい分かってるから、気にしてないよ。テイオーのことは俺が一番知ってるんだから」 優しく抱き返してくれるトレーナー。おかえりなさい。そして、ただいま…トレーナー

    5 21/05/16(日)22:48:46 No.803512864

    「入院中は暇でなぁ。おかげでいいトレーニング法を考えることはできたけど」 トレーナーから話を聞くと、事故にあったのは本当みたい でも奇跡的に無傷で、今までいなかったのはただの検査入院だったんだって 「なんかさ、テイオーの声が聞こえた気がしたんだよな。『ごめんなさい!死なないで!』って」 「えー?ボクそんなこと言わないよー?」 「それでもさ、テイオーが守ってくれたように感じたよ。…ところで、そろそろ降りてくれない?」 「やーだよー♪ボクを放っておいて寂しくさせた罰だもーん」 話を聞いているボクはトレーナーの膝の上。両腕も前に持ってこさせて完全ホールド状態だ 「そうだ!それならボクのお願いを一つ聞いてくれる?」 「選択肢無いだろそれ。まぁいいや、言ってみ?」 「うん…今日はトレーナーと一緒に寝たいな…ダメ?」

    6 21/05/16(日)22:49:00 No.803512951

    「寝るだけ!寝るだけだから!お願ーい!」 「うーん、テイオーも年頃の女の子だし、同衾はちょっとなぁ…」 「えー?もしかしてトレーナー、変なこと考えてる~?エッチー!」 「寮に叩き返すぞ?」 「わーっ!冗談冗談!ごめんなさいー!」 「でもね…どうしても、今日は一緒に寝たいの…トレーナーと、一緒がいいの…」 今離れたら、またトレーナーがいなくなっちゃいそうで… 「全く…仕方ないな。ほら、おいでテイオー」 トレーナーのベッドに潜り込みギュっと抱き着く。この温かさを、今度こそ離さないと心に誓った 「トレーナー…温泉、一緒に行こうね」 「ああ、一緒に…な」 背中に手が添えられる。そのまま撫でられると、ボクはたちまち微睡みの中に落ちていった 今なら間違いなく言える。ボクは…幸せだ。いや、違う…ボクが幸せにするし、幸せになるんだ。トレーナーと一緒に ――目覚ましの音は、もうしない

    7 21/05/16(日)22:49:53 No.803513264

    終わり ループ物を期待してた人はごめんなさい まとめです su4856625.txt

    8 21/05/16(日)22:51:13 No.803513733

    こういうのでいいんだよこういうので