21/05/14(金)12:31:05 ダイス... のスレッド詳細
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21/05/14(金)12:31:05 No.802555370
ダイススレで発生した40代ナイスミドルトレーナーがターボ逆ぴょいそのまま逮捕ENDで脳を破壊されたので 運命に抗う事ができたトレーナーのifシナリオを書きました ので登場人物や状況にやや前提条件があります ごめんね ・・・ 「へー!ここがトレーナーの部屋かー!ターボの部屋と変わんない!」 「まあ、そうだろうね」 私の客室に訪れたターボがあちこちを見て回る。ベッドの柔らかさ、用意されているお菓子、部屋の広さ、壁紙の模様、テレビの位置、それぞれに違いがあるかどうかを確認している。彼女のチャームポイントでもある美しい群青色の髪をせわしなくなびかせターボは部屋中を動き回っていた。 「やっぱりオンナジだった!」 そう言いながらターボはベッドにぴょんと頭から飛び込む。そして大の字になったり横回転してみたりと子供のように暴れまわる。ほら、どうぞ。と部屋に置いてあったひとつばかりのお茶請け菓子を彼女に渡してあげると彼女は満面の笑みを浮かべそれを受け取りベッドの上で喜んで食べ始めた。
1 21/05/14(金)12:31:35 No.802555540
「今日はターボらしい走りだった。いいレースだったよ」 「ふふーん!!ターボ最強だもん!次も勝つんだから!」 彼女はベッドの上で両足をばたばたと動かし満足げな表情を見せる。福島レース場にてGⅢ七夕記念を制したターボと私は、トレセン学園よりはなれた遠征先という事もあり現地のホテルに宿を取り、チェックインしたところだった。 「ねえねえトレーナー!ターボ、今日トレーナーの部屋で寝たい!」 部屋は別々に取ってあるが、遠征先の宿泊地でこのような申し出をターボがすることは初めてではない。あくまでウマ娘とトレーナーという関係を踏まえるとよろしくない事だと何度教え、断っても、トランプだのジェンガだのを持ち込んできては無理矢理部屋に入ってこようとする。 追い出しでもしたら部屋の前で大声で泣き始めるものだから結局いつも私が根負けすることになる。大体の場合、遠征地でターボをベッドに寝かせ私は床にバスタオルを敷き夜を明かす事になるのだ。
2 21/05/14(金)12:32:08 No.802555706
いつもと同じはず。…なのだが今日に限っては妙な気分だった。何か見落としているような、強烈な違和感。ただその原因が分からない。ふと、ターボの顔を覗きその顔に浮かぶ表情を確認した。 彼女はその口を真一文字に結んでいた。その小さい顔には粒状の汗が幾つか浮かんでいた。彼女の特徴的なふたつの目が、私の反応を逃すまいと私を正面から見つめていた。 何かがおかしい。言葉で表現できない、言い様の無い不安があった。別次元の世界に迷い込もうとしているような、強烈な違和感が私を襲っていた。なにか、為すべき事があるような気がしてならなかった。 「ターボ、聞いていいかな」 「へっ?」 私の思わぬ言葉に不意を突かれたのかターボは素っ頓狂な声を上げる。 「何でもいいんだ。何か私に言わなければいけない事や、隠してる…、相談したい事とか、無いかな」 「な、な、な、な。ない」 おかしい。明らかに反応がおかしい。こんな様子のターボを見るのは初めてだった。心の中の不安が更に大きくなる。
3 21/05/14(金)12:32:43 No.802555872
「ターボ」 私は少しだけ口調を強め、真剣な表情でもう一度ターボに問いかける。 「なな、なにもない。ないよ。ないったら」 私から顔を背け、明らかに平常ではない様子で応える。何かある。何かを隠している。そう思わざるを得ない反応だった。 「怒ってるわけじゃないんだ。何か私に言えていない事があったら教えてくれないか」 ターボも私同様、何か違和感を感じていないかを知りたかった。全て私の気のせいなのかもしれない。しかしターボの反応が明らかにおかしい。その事だけは今この場で確認をしておきたかった。 「し、知らない!」 ターボはベッドを転げ落ちるように降りると、一目散に部屋のドアをめがけ走り出しそのまま部屋を出て行ってしまった。 部屋を出て行ったターボを追いかける事はしなかった。ウマ娘であるあの娘に追いつく事などできようもないし、こんな場所で鬼ごっこなどはじめた場合一般の方々やホテルに迷惑や危害を加える可能性すらある。彼女の気持ちが落ち着くのを待つことにしよう。そう思った。
4 21/05/14(金)12:33:14 No.802556024
ただ、先ほど私の心を覆っていた妙な雰囲気は、既に私の中から消えていた。あの一瞬で感じた強烈な違和感は、一体なんだったのだろうか。 … 19時になった。食事に誘おうと思いターボの部屋に行くが応答はなく、ターボは私の部屋にも戻らなかった。ホテルのどこかをあちこち探検で歩きまわっているのかもしれない。後でもう一度ターボの部屋を訪ねてみるかと思い、自室に戻る事にした。 部屋に戻りベッドに腰掛ける。ターボが居ない部屋は静かだった。休む気分にもならなかったので手帳を開き、今後のスケジュール整理をする事にした。 ペラペラとカレンダーをめくる。ターボの次走はどうするか。七夕賞に勝利し、秋のGI戦線を目指すとしたら。その前哨戦として選ぶとするならば、毎日王冠か。もしくはオールカマーか。 考え始めたところで部屋のドアをノックする音が聞こえた。ドアを開けるとそこに立っていたのはターボだった。
5 21/05/14(金)12:34:04 No.802556281
「良かった。ターボが見つからなくて心配してたんだよ」 「…」 返事が無い。ターボは無言で私の部屋に入ってきたもののすぐベッドに移動しベッド上で座り、背中を丸めて膝を抱えダンゴムシのようになっていた。 「ターボ?どうした」 「…」 「夕食、食べに行くか?」 「…」 「今日のレース、疲れたのか?」 「…」 一切の応答が無い。どうしたのだろう。声のかけようもなくなり、困り果てていた時、膝を抱え、丸くなったままのターボが言葉を放ち始める。
6 21/05/14(金)12:34:55 No.802556575
「言わなかったら……怒る?」 「え?」 なんの話だろう。ターボの言っている意味がすぐに理解できず聞き返すような形になった。 「……さっきの…隠してるの…って」 ああ、さっきの事か。先ほどの私との問答についての事をどうやら言っているようだった。あの時の妙な違和感はなぜか私の中から完全に消え去っていた。そのためターボが部屋を出て行く前にしたやり取りの事などは完全に頭の内から消え、忘れてしまっていた。それより気になったのはターボの発言だった。 「ダメじゃないけど…。何か言わなければならない事、あるのかい?」 「…」 後ろめたそうなターボの所作。その様子からなんとなく察する。さては自室でスナック菓子やジュースでもぶちまけたのだろうか。もしくはレース場にシューズの忘れものでもしたか。 いずれにしても、さして重い話ではないだろう。そう思っていたが、次の瞬間ターボから出てきた言葉は想像の範囲に収まるものではなかった。
7 21/05/14(金)12:35:23 No.802556743
「トレーナーと、うまぴょい…したら、いいって…聞いたから」 「うまぴょい?」 よく分からなかった。トレセン学園に所属するすべてのウマ娘が学ぶ課題曲のひとつ、うまぴょい伝説の事か。 「今年開催するURAファイナルズのウイニングライブ曲に選出された、あの曲?」 「違うよ!…うまぴょい!…うまぴょい!!!」 「違う?」 「そしたら、もっともっと、もっと…トレーナーと仲良くなれるって、もっとレースでも強くなれるって…だから…」 「…うまぴょい…」 頭を打たれる思いがした。噂話程度には聞いた事があったが、まさかターボの口からその言葉を聞く事になるとは思ってもいなかった。 あの意味不明な単語が示すもの、それがトレセン学園内で男女間のそういった行為を指す『隠語』として使われているという事。耳にしたことはあった。 だが、それが今ターボから出たこの『うまぴょい』と結びつくことはなかった。ターボの反応から、ようやく頭の中でこの二つをリンクすることができた。
8 21/05/14(金)12:36:28 No.802557083
「…」 「…」 お互いに言葉が出てこなかった。私は自分の耳を、自分の考えを疑った。脚の力が抜け、思わずヒザをつきそうになった。あのターボが本当にいま、それを言っているのか。衝撃のあまりターボの顔を見る。ターボもまた、こちらの顔を様子を伺おうとしていた。焦燥し次の言葉が出てこない私の顔を見た彼女は、驚いたように再びベッド上で体を丸めてしまった。 「……誰が、そんな事」 ようやく言葉を絞り出したものの私の頭は完全に混乱していた。 「…いえない!!」 どうやら知り合いのウマ娘からの情報ではあるらしかったが、誰から言われたものなのかだけは、いくら聞いても出てはこなかった。 「でも、トレーナー、さっき、怒ってたから…しない!ターボ何もしないから!!」 「(怒った?)」 「怒らないでよぉ…うぅ…」 「…」 どうやら先ほど妙な違和感を覚えターボにやや強く詰め寄ったアレを、私がターボの画策を何らかの方法で知り、私が怒り心頭であると勘違いをしているようだった。
9 21/05/14(金)12:36:56 No.802557227
…もし、あの時、私がターボに声をかけていなければターボは覚悟を決め『それ』を決行していたのだろうか。本気になったウマ娘の膂力は並の人間が及ぶものでは無いと聞くが…。 あの時感じていた違和感の正体は、まさか、これだったのだろうか。 「…怒らないでよ…ターボ、やだよ。やだ、やだ、やだ、やだよ…」 気づくとターボが泣きだすのを堪えるように目に涙をため、口元を歪ませながらこちらを見ていた。善い行いとは言えない強引な手段を採ろうとしていた罪悪感からだろうか。もし仮に私が真剣に怒るとすれば、ターボにこんな事を吹き込んだというウマ娘に対してだろう。ターボに対しては可哀想だという気持ちしかなかった。 「怒ってないよターボ。ただ、ちょっと少し…びっくりしただけさ」 ターボの傍に移動し、彼女の頭をなでる。途端にターボが泣きながら体に飛びついてきた。私も両手で背中を抱くようにしてその小さい体を受け止める。
10 21/05/14(金)12:38:03 No.802557588
「…ターボ、トレーナーの事すきだから!だいすきだから…!」 恋愛対象として見られているとは思わなかった。私自身、娘か何かを見るような目でターボの成長を見守っていた。周囲から私達を見ても、きっとそのような印象を受けるだろう。だが今、ターボの想いに応えないわけにはいかなかった。 「うん、私もだよ。ターボの事は2年前から見てる。今までも、これからも。ずっとターボの事を見てる。ターボは私の自慢のウマ娘だ。だから心配しなくていいんだよ」 「うううううう~~!」 胸の中で、声にならない声でターボが呻いているのが伝わってくる。泣き止まぬわが子をあやすように彼女の背中をポンポンと優しくさする。 「そういう事はさ、ちゃんと順を追わないと誰も幸せにならないから、ダメだよ…」 「…ジュンオオウってなに?」 涙声でターボが顔を上げ、質問する。 「いや、その…例えば、お互い好きになった後にデートするとか…、お付き合いするとか、順序の事だよ」 「デート!」 衝撃を受けたようにターボが反応する。目が丸くなる。
11 21/05/14(金)12:38:33 No.802557744
「ねえ!練習ツカレタ時にトレーナーにカタグルマで寮に送ってもらうのは!デート?」 「あれは…ただの移動かな」 「じゃあじゃあ!休憩中にトレーナーと一緒にガリガリ君ソーダ食べるのは?」 「あれは…休憩」 「アッ!合宿!合宿中トレーナーと一緒に焼きそば食べて、花火見た!あれは!?」 「…うーん」 「あれは!?デート!?」 「…そうだな、デートかな」 「デート!」 ターボが嬉しそうに叫ぶ。彼女は完全に落ち着きを取り戻していたようだったが、私に抱き着いたまま中々離れようとしなかったので困った私は話題を変える事にした。
12 21/05/14(金)12:38:34 No.802557748
それ以上 いけない
13 21/05/14(金)12:40:02 No.802558197
「さ、もう20時になるよ。何も食べてないからお腹すいただろう」 「あッ!そういえばソウダッタ!」 「もうホテルの夕食もきっと終わってるからさ、外に何か食べに行こう」 「うん行く!あっ!トレーナー!これは?デート!?」 「…そうだな」 じゃあ、と。抱き着いていた状態から離れようとした時だった。彼女の唇が私の唇に重ねられる。一瞬の、短いものだった。 「…デート行こう!ねえねえトレーナーはさ!ターボとずっと一緒だよね!」 「ああ、ずっと一緒だよ」 いつも見る、彼女の笑顔がそこに戻っていた。