21/05/13(木)20:08:32 理解で... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1620904112915.jpg 21/05/13(木)20:08:32 No.802347577
理解できなかった。いや、理解を拒んだとでも言うべきか。 「どなたでしょうか」なんて初めて出会った時、否、その時以上に距離を感じる言葉だった。 何故?なぜ?ナゼ?頭には疑問が渦巻き、目が回る。吐きそうな程の感覚と覚束ない足下。逃げるように病室を飛び出た。 廊下で1人悄然に沈んでいると、トレーナーの家族がやってきた。 曰く、大きな障害はないと言うこと。ただ、記憶の一部に欠損が見られること。その記憶はおよそ3年ほど───私とURAへと、理想へと邁進した日々───ということ。などと説明を受けた。彼との繋がりが絶たれたような気がして、目の前が真っ暗になった。
1 21/05/13(木)20:08:52 No.802347704
どうやって帰ったのか覚えていないが、気付いたら自室にいた。ファインが心配そうに見ているが、今はそれさえも少し煩わしい。 隠れるように毛布をかぶるが、全く寝付けない。行き場の無い想いが体の内側で荒れ狂う。 それでも朝は来るもので、酷い顔をメイクで隠し、味のしない食事を腹に詰め込む。 学園ではいつものように振る舞った。振る舞ったつもりだったが、気付く人は気付くもので、心配されたり気遣われたりした。会長からは、今は帰って休むべきだと言われ、返す言葉もなく部屋へと帰ることとなった。
2 21/05/13(木)20:17:42 No.802351120
部屋に着くと、既にファインは帰ってきていた。憔悴しきっている私をみてられなぬなったか、私でよければ話を聞くよ?と言ってくれた。 私は全てを話した。トレーナーが倒れていたこと。目が覚めたら私と過ごしてきた日々の記憶を失っていたこと。彼との繋がりが絶たれてしまったと思っていること。 全て聞いたファインは私をそっと抱きしめ、 「大丈夫、大丈夫だよ」 「例え忘れてしまっても、トレーナー君と過ごした3年間は決して消えないよ」 「一度結ばれた絆は決して途切れることがないものなんだよ」 私はいつしか涙が溢れていた。泣いて、泣いて、泣いて、泣き疲れたころには大分スッキリした。 私はすこし照れ臭くなり、みっともないとこを見せたな、と言うと、トレーナー君も知らない顔を見ちゃった、とおどけた言葉が返ってきた。 苦笑しながら、私はやるべきことを決意した。
3 21/05/13(木)20:18:14 No.802351357
次の休日、私はまた彼の病室前にいた。 正直、怖いという気持ちはある。だが、ここで踏み出さないという選択肢は私には無かった。覚悟をきめ、ノックをする。 ───どうぞ 声を聞き、入室する。そこにはやはり以前とは変わりない彼がいた。 「たしか、この前も来てくれた、よね?」 「気分が悪そうだったけど、大丈夫?」 …あぁ、問題ない、とすこしつっかえながらも答えると 「よかった」 少しの静寂が訪れる。何か言葉はないか、と探していると 「それにしても不思議だ」 「何故だか、初めて会った気がしない」 「まるで、ずっと一緒に歩んでた気にさえなる」 その言葉に私は何も言えなくなった。あの旅路を忘れてしまっていても、その残滓が残っていた。消せない絆が確かにそこにあった。 「そういえば名前を聞いてなかったね。教えてくれるかい?」 私は口を開く。弾むような風が、吹いた。
4 21/05/13(木)20:19:13 No.802351725
以前からのお話は終了です 途中のとあるセリフは私の好きなゲームからの引用です 見ていただきありがとうございました
5 21/05/13(木)20:25:39 No.802354089
おつらぁい…
6 21/05/13(木)20:34:58 No.802357607
戻らないの!?
7 21/05/13(木)20:37:23 No.802358541
まぁ記憶は何かの拍子で甦る可能性もあるし... いつかはっきり名前を読ばれて顔が崩れる女帝がみたい
8 21/05/13(木)20:45:27 No.802361777
なぁにまた3年間一緒に歩めばいい
9 21/05/13(木)20:58:32 No.802366914
エアグルーヴ…ああ、この響きは実に君に似合っている