虹裏img歴史資料館

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21/05/12(水)23:51:15 「さて... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1620831075982.jpg 21/05/12(水)23:51:15 No.802134110

「さて、トレーナー質問です。どうしてあなたは正座させられているのでしょうか」  それは、と答えようとした瞬間、地ならし染みた葵のスタンプの響きが、接地しているくるぶしに膝に太ももに伝わる。当然、俺は縮こまる。いや怖いもんマジで、見てみ葵の女を忘れたような顔。般若の形相と言っていいだろあれは。目付きは猛禽類の如く厳しく顔色は赤ですらなく蒼白で、しかもこめかみには青筋が浮かび上がっている。角だけは確認できないが多分俺に見えていないだけで実際には生えていると思う。 「それで、質問の答えは?」 「その……」  夕暮れの光が射し込むトレーナー室。俺は鬼子母神と化した葵の顔色を窺いながら、弁明を試みようとした。  そのとき。葵の担当ウマ娘であるハッピーミークが、ぷりぷり怒る彼女を宥めるように割って入った。

1 21/05/12(水)23:51:51 No.802134331

「トレーナー……だいじょうぶ。私、気にしてないよ……?」 「そんなわけありません! 貴方という人はミークに気まで使わせて……!!!」  しかし、ミークの努力も虚しく説得は失敗。ガミガミクドクドは止まらない。取りつく島なんてない。今の葵には何もかもが逆鱗なのだ。ミークはしゅんとして一歩下がった。そして葵はミークが引いたのを見るや般若の面を被り直す。  そして始まる、俺への説教。 「本当にあり得ません! 私はウマ娘ほど嗅覚に優れている訳じゃありませんがこれぐらいは気付きます! しましたよね、ねえ! うまぴょい、しましたよねぇ!?」 「トレーナー、おちついて……?」  「いいえ止まりません! 落ち着いてなんていられません! 貴方は本当に……! 私という者がありながら、私そっちのけでミークと二人きりでカラオケに行くだなんて!」

2 21/05/12(水)23:52:33 No.802134600

「えぇ……? そこなのか……」 「なにか不服な点がありますか?!」 「いや……はい……すみません……」 「はいじゃないんですよはいじゃ! 貴方は事の重大さを分かっていないのですか?! はいで済んだら世の中に法律は必要ないんですよ! 大体ミークは未成年の女の子なんですよ!? なにかあったらどう責任を取るんですか?!」 「……なにかって、なに……」 「なにかはなにかです! この……不埒者! 破廉恥! 浮気者!」  物凄い破裂音を鳴らしながら俺の頬が腫れ上がっていく。子供の頃に読んだ漫画のようなビンタに、思わず笑ってしまいそうになったが、想像の数倍痛くてそれどころでは無かった。 「もう知りません!」  ぷんすこ怒りながら葵という嵐が去っていく。弾け飛びそうな音を立ててドアが閉まる。刹那、トレーナー室に訪れる静寂。この荒涼とした空気、西部劇ならタンブルウィードでも転がるだろう。

3 21/05/12(水)23:53:19 No.802134873

 じんじん痺れる頬をさすりながら、俺は安堵と疲労に彩られた溜め息を漏らした。葵を怒らせるのはこれで三度目だが、毎度こんな感じだ。葵の沸点は洒落にならないぐらい低い。今回だって本当に単純にカラオケに行っただけなのに。しかもミークにトレーナーに内緒で歌の練習したいって誘われた側なのに。うまぴょいって、そりゃミーク歌ってたけど何の話なんだよ。と言うか俺と葵は別にそういう仲じゃないじゃん。なんだ、これは。理不尽すぎやしないか。マジでなんなんだ。あっ、いけない、泣けてきた。人間って嗚咽を上げなくとも泣けるものなんだ。普段なら笑えるはずなのに、なんで、なんでなんだ。なんにも分からない。垂れそうになる鼻水をすすり、目をぐしぐしと擦っていると、がちゃりとドアの開く音がした。 「トレーナーさん……」  ドアの先に居たのはミークだった。まさか、第二ラウンド…… 「だいじょうぶ、トレーナーはいないよ」 「じゃあ何しに……んむっ!?」

4 21/05/12(水)23:54:54 No.802135447

 ほっと胸を撫で下ろし、言葉を口にしようとした瞬間。親以外誰も触れたことのない俺の唇に、温かく柔らかい感触が寄り添った。秒にも満たない接触だったが、俺を慌てさせるにはそれはあまりに十分だった。むふーと鼻息荒くしながら離れていくミークに、俺はわちゃわちゃと無様を晒しながら叫んだ。 「なっ、なにするんだ!?」 「……うふふ」  焦る俺に対して彼女は非常に満足そうに微笑み。  そして、艶のある息遣いと共に。  こう耳元で囁いたのだ。 「こんどは、ばれないように、しようね」  叩かれたところがなんだか痛みを増しているように思える。背中に走るぞくりは、間違いなく悪寒のそれで。  脳内に葵の顔がぼうっと浮かび上がってくる。仏の顔も三度までと言うが、今までのあれが神様仏様なのだとしたら。一体なにがどうしてこうなったのか。どこでミークに好意を持たれてしまったのか。分からない、分からない。何も分からない俺を慮ることもなく、ミークは鼻唄混じりに呟いた。 「つぎは温泉……たのしみ……」  ああ……誰か……助けて……

5 <a href="mailto:s">21/05/13(木)00:03:53</a> [s] No.802138653

何の気なしに書いたけどナニコレワケワカンナイヨー!

6 21/05/13(木)00:29:45 No.802147400

書いた本人がわからないなら俺たちゃもっとわかんないよ?

7 21/05/13(木)00:32:19 No.802148313

NTR…?

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