虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/05/12(水)17:21:48 No.801990909

    ─今から小さな海を作ろうか、トレーナー君。 午後のトレーナー室で私は冗談めかした笑みを浮かべ実験開始を告げた。 「え?」とトレーナー君から呆けた声が出る。ウマ娘と同等の身体能力を得て一緒にフルマラソンだとか新薬の投与だとか呼び出されたからにはそういった実験を想定していた所面食らったというところだろうか。なるほど帰結としてはシンプルだ。彼が私に慣れきってしまっただけのことである。 「今日の君にはモルモットより助手をやってもらおうトレーナー君。そこに材料が置いてあるから出してみてくれ」 ちょいちょいと指を差すと疑問符を浮かべつつ彼は素直に小さな袋を取りトレーナー室の机に材料を並べた。 小瓶、絵の具、油、ネイル用のラメパウダー。 最後の材料に関しては新規に購入したもので、正直な話細かい所まで着飾る事に関しては無頓着なため個人的な使用目的は一切ない。 デジタル君は私がこういった商品やそれを取り扱う店舗の情報に興味を示している事に何やら飛躍した妄想をして絶頂していたが、彼女の想像するような色気付いた用途で無いことは確かだ。たぶん。そういうことにしておいておくれよ

    1 21/05/12(水)17:23:04 No.801991201

    「なんか…実験には違いないけど…小学校の理科って感じだな」 ビーカーに水を注ぎ、好きな色を選びたまえと急かす。机の上に置かれたチューブをあれやこれやと摘まみながらトレーナー君は未だ困惑を滲ませて笑っていた。 「何かしらトレーニングや研究に繋がることのない行為を自分から提案するのがそんなに意外なのかい、君は?」 「正直に言わせてもらうとね」 「君の私に対するイメージがなんとなくわかったよ」 むうとふてくされたように唇を尖らせる。なんだか癪だから「私自身も意外に思っているさ」とは口に出さないでおこう、とちらりと窓の外へ視線を移した。 好きな色か。今日は特に何かを得る目的で計画したわけではないのだが。なんてことない情報ですら「これは使えるかもしれない」「参考になるデータだ」と口元を歪ませてしまう。悪い癖とは思わない。これは性分だ。 「出来たよ」 トレーナー君がゆらゆらと赤い水が入ったビーカーを揺らしてみせる。 「ふぅン…………………赤か…赤、ねえ」

    2 21/05/12(水)17:23:44 No.801991341

    「好きな色を選ぶんでしょ?」 海にするには少々不釣り合いな色じゃないか?と軽い冗談が喉を上がる。だがそれを追い越して口から飛び出たのはつい頭の中をよぎった都合のいい想像だった。 「君、まさか私の瞳の色だからとでも言うつもりじゃないだろうね?」 言ってしまった。もしそうでなかった場合どうするつもりなんだ私は。 「はは、よくわかったね」 彼は私の言葉に戸惑いもせず、それこそあどけない子供のような笑みを浮かべた。ああ、君のこういう顔はすごく困るんだ。どう言葉を紡げばいいのかわからないじゃないか。そう迷う暇もなく彼はいつものように明るく「タキオンは?」と問いかけてくる。 「そうだな………」 椅子から半分立ち上がりトレーナー君の顎を掬う。 「私も、君の瞳の色がいい」 トレーナー君は驚いたように口を開け私を見つめたまま黙りこくった。 その瞳の中に私の笑みがはっきりと焼きつくのが分かるほど顔を近づけたのは、これが初めてだった。

    3 21/05/12(水)17:24:28 No.801991518

    「私も君の暖かい薄紅の瞳の色が好きだ」 まじまじと見つめあい押し黙る。彼のふと見せるまるで「仕方ないな」とやんちゃな子供を見守るような、優しくて、誰より近くて、誰より遠い笑顔。 この表情だけは、私と居る時だけのもの。 「さて、実験を続けようかトレーナー君!」 途切れた会話をごまかすように顔を離し、互いに誰にともなく何事もない風を装う。 ほら、と手順を説明し見よう見まねでトレーナー君が続く。小瓶に色のついた水を注ぎ、ラメを入れて、油を注ぐ。 ゆっくりと傾けると、瓶の中を泡沫が揺れ海と呼ぶには淀んだ濃い色をした液体の底でラメが優しくキラキラと輝きを放つ。 「出来たよ、私とトレーナー君の小さな海だ」 「へえ…綺麗だね、これ。ここに飾る?」 「それも悪くはないがね」 瓶を持つ彼の手にそっと触れて、もう一度視界を独占する。

    4 21/05/12(水)17:25:04 No.801991660

    「これは君個人が持っていたまえ。私も君の瞳の代わりにこれをもらって行く事にする」 「代わりに……って」 「君にはまだ果てを見せていないからね。それ以外にもまだ二人で映すものがたくさんある。だからさ」 そうだ。君にはまだ、私を見ていて欲しい。君の瞳、君の声、君の笑顔、君の時間、君の全て。それを手に入れるにはいくらでも時間がある。一人で走り抜けるのではなく、今は君と歩いて行きたいのさ。 君色の瓶を柔らかく波立たせ、私はフッと微笑んだ。 そういうわけで産まれたのが君なんだダイワスカーレット

    5 21/05/12(水)17:26:04 No.801991902

    !?

    6 21/05/12(水)17:26:24 No.801991975

    急展開が過ぎる…

    7 21/05/12(水)17:28:25 No.801992489

    こいつらついでみたいにうまぴょいしたんだ!

    8 21/05/12(水)17:29:35 No.801992728

    ピロロロロロ…アイバガビリィー…

    9 21/05/12(水)17:30:11 No.801992871

    最後の一行でワープするんじゃない ゴルシかお前は

    10 21/05/12(水)17:31:23 No.801993159

    これは強い方のタキオン

    11 21/05/12(水)17:35:52 No.801994196

    瞳の色ってそういう…

    12 21/05/12(水)17:38:14 No.801994752

    生命のスープ作るな

    13 21/05/12(水)17:39:12 No.801994970

    嘘よ……あたしを騙そうとしてる……

    14 21/05/12(水)17:40:59 No.801995372

    さすがママ…パパとは心から通じ合うぐらいに愛し合ってたのね!

    15 21/05/12(水)17:43:41 No.801996010

    最後の最後で俺の脳がバグったのかと思った

    16 21/05/12(水)17:53:15 No.801998539

    ママ……ママでいいの?

    17 21/05/12(水)17:54:42 No.801998926

    まあうまぴょいするだろうけどさあ

    18 21/05/12(水)17:58:14 No.801999859

    >こいつらついでみたいにうまぴょいしたんだ! タキオンはついでみたいに語ってるけど実際はガチガチに緊張してるのを表面上なんでもないように取り繕いながらうまぴょいしたんだと思うよ

    19 21/05/12(水)18:01:30 No.802000797

    超光速の粒子は時間をも飛び越えるからな…

    20 21/05/12(水)18:07:53 No.802002575

    差し切り体勢すぎる…

    21 21/05/12(水)18:19:06 No.802005712

    しっとりイチャイチャと思ったら差し切ってきた

    22 21/05/12(水)18:30:13 No.802008716

    初ぴょいがめちゃくちゃ恥ずかしかったからさらりと済ませた可能性がある

    23 21/05/12(水)18:31:41 No.802009166

    ラスト200mで追い込みすぎる…