虹裏img歴史資料館

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

21/05/01(土)02:37:10 一流と... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

画像ファイル名:1619804230150.jpg 21/05/01(土)02:37:10 No.798048040

一流とはなんだろうか。一流というものは、自称をしたもののその言葉の響きから類推するにはあまりに間口が広く、在り方も多用だ。例えば、キングのエスコート。彼女を優先するのは勿論の事だがその方法も様々。昨日なんて、私は一流の執事が欲しいわけではないの。とダメ出しを食らってしまった。彼女が自分に期待する一流…それを敏感に感じとりそのように振る舞うことができてこそ一流なのだろう。つまり今はまだ一流に程遠いという訳で、別れ際にキングの言った言葉が頭のなかをぐるぐると回っている。 「あなたには挽回するチャンスをあげる。明日は素敵な日になることを期待しているわ」 しかし、夜が更けてもその答えが見つかることはなかった。

1 21/05/01(土)02:44:50 No.798049253

すっかり寝不足のままキングとの待ち合わせ場所に到着。まだこちらに気がついていないキングは指先でくるくると髪を弄びながらスマートフォンをしきりに確認している。もしかして、待たせてしまっただろうか。彼女の服装は昨日とは違い、全然違う服のはずなのに、彼女以外あり得ないという着こなしで、つい胸が高鳴ってしまう。一流の答えは見つからないまま、とにかく彼女を待たせることに耐えられなくなり駆け足でキングのもとへと向かう。 「あら、おはよう。どうしたの?そんなに急いで」 「もしかしたら、待たせてしまったかもしれないと思って」 用意していた言葉のかわりに浮かれた彼氏のような台詞が飛び出す。これはいけない。取り繕うとしてもはやぼろが出ている。しかし、そんな自分を見たキングは愉快そうに笑った。 「まだ約束の時間の前よ?今来たところ。ふふ、でも楽しみでちょっと早く着いちゃったかもね」 逆に気を遣わせてしまったか。差し出された手を反射で握ると、彼女の体温を感じる。そのままどちらともなく商店街に向かって歩き始めた。

2 21/05/01(土)02:49:36 No.798050002

その日はと言えば、散々だったように思う。何か提案するでもなく、キングが望んだ事に追従し世間話をしながらウィンドウショッピング。時折気に入ったものがあれば、キングは試着してこちらに意見をもとめた。可愛い、だとか、美人だとか、ボロボロの語彙で感想を脊髄反射で返すと当然よね、とにこにこしながらそれらを会計していく。プレゼントにするだとかも考えつつ、彼女の買い物に財布を挟むのはそれはそれで無粋なような気がして、結局こちらから能動的に何かをしてあげられているとは思えない。両手に荷物を持とうとすれば、片手は空けておきなさいと荷物持ちとしても不充分な有り様であった。

3 21/05/01(土)02:58:20 No.798051394

「少し休憩しましょうか」 キングの提案に首肯し、手近なファミレスに入る。席について荷物をおろし、軽食と飲み物を注文をするとほっと一息がつけた。 「それで?何をそんなに畏まっているのかしら?」 キングの指摘に息を飲む。どうにも、気持ちばかりが逸りすぎてうまくいっていない気はしていた。これでは昨日の二の舞である。このままではまずいという焦りが一流からどんどん自分を遠ざけていく。もはやこれまでと、キングに一流のエスコートについて尋ねる。彼女なら、なにか答えがあるのかもしれないと期待して。 「そんなの、あるわけないじゃない。エスコート?いい?これはデートよ。私は私のやりたいことを言うし、あなたはあなたのやりたいことを言えばいいじゃない。そもそも私に一流のありかたについて教えてくれたのは貴方でしょう?」 そういえば、そうだったかもしれない。キングが母の影を踏もうとがむしゃらに走っていたあの日、母の影を追うことをやめようと言ったあの日に自分で彼女に言った筈じゃなかったか。いつからか、自分がキングにとっての一流足るためにどうすればいいかという本末転倒な思考になってしまっていたのだろう。

4 21/05/01(土)03:02:26 No.798051975

凝り固まってしまっていた考えが解れると、目の前にいるキングがとても魅力的な女の子に映った。もちろん、もともと彼女は素敵な女の子ではあるが、一流という言葉を噛ませて壁を作ってしまっていたのかもしれない。彼女は答えを急ぐわけでもなく、黙ってこちらの言葉を待っている。ええと、困ったな。簡単な筈なのに、言葉が出ない。カラン、と溶けた氷がグラスのなかで動く音。薄くなったアイスコーヒーで喉を湿らせてから、とても単純で大事な気持ちをキングに伝える。 彼女はその日一番の、とびきりの笑顔を見せてくれた。

5 21/05/01(土)03:04:02 No.798052168

思い付きで初心を見失ったトレーナーとそれを受け入れるキングが書きたくなりました 書きました キングいいよね

6 21/05/01(土)03:05:53 No.798052436

はーーー好き

7 21/05/01(土)03:05:54 No.798052440

やはりキングは懐の広さも一流…

8 21/05/01(土)03:06:38 No.798052539

付き従って跪けなんてキング1度も言ってないからね… ありのまま一流たれというだけなんだ

9 21/05/01(土)03:07:10 No.798052613

一流の怪文書で一流の睡眠が約束された キングいい...

10 21/05/01(土)03:17:25 No.798053820

「ところで、あなたはいつまで私の手を空けたままにしておくつもりなの?」 ファミレスから出て、開口一番に唱えたキングの言葉の意図を探る。片手は空けておくよう言い出したのは彼女の方で…と考えて自分のバカさ加減に気がつく。ズボンで掌を拭き、なにかを待つように半端に開いた小さなキングの手を握る。すると彼女は違うわよ。と言わんばかりに指を開いて、自分のそれに絡める。いわゆる恋人繋ぎというものだ。 「朝はあんなにあっさり握ってくれたのに、二度目はこんなに時間がかかるなんてね?」 返す言葉もございません。それで、あなたはなにかしたいことはないの?と言わんばかりにこちらのよう素をうかがうキング。 「蹄鉄が減っていたから見に行こう」 「そうだったかしら?いえ、あなたが言うんだから間違いないわね。目利きは任せるわ。キングにふさわしい靴を用意なさい!」 勿論ですよと握った手に力をいれて、今度こそ二人で歩きだすのだった。

11 21/05/01(土)03:21:45 No.798054318

ちょっとだけ続いた キングといちゃつくのは健康にいいおやすみ

12 21/05/01(土)03:25:49 No.798054759

一流の怪文書は睡眠の質を向上すると言われている

13 21/05/01(土)03:28:57 No.798055069

声が脳内再生される 助かる

14 21/05/01(土)04:09:36 No.798058091

キングの声はテイオーとは別の意味で聞いたら耳に残る そんなに主張が強いという訳でもないのに脳内フルボイスが出来てしまう

↑Top