21/04/24(土)00:21:19 ランニ... のスレッド詳細
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21/04/24(土)00:21:19 No.795711461
ランニングマシンから落ちた顔とトレセン学園の生徒間で言えば それは突然の衝撃にいささか間の抜けた顔をしてしまう事を言うのだが タイキシャトルが自らのトレーナーに抱き着いたのを見た際の キングヘイローもまたそんな顔をしていた 「彼女の実家に昔ホームステイしてたんだよ」 あの頃のタイキはツインターボ位の身長でなーと懐かしそうに語るトレーナー 成程英語が流暢で、タイキからも「ニーサン」と呼ばれている訳だ 納得しながらもキングが感じた二人の距離感はまさに兄妹のそれだった 彼女がトレーナーと知り合ってからは大分月日が経った気がする それでも尚、追いつけないような親しみを二人の間から感じた 「…ング。キング。聞いてるか?」 「え?ええ。もちろん聞いていたけれど」 「はぁ…キング。今回のヴィクトリアマイルは高松宮記念より更に400m長い 安田記念に挑む君にとっては前哨戦の意味も強い。油断しないようにな …菊花賞の事を思い出せ」
1 21/04/24(土)00:21:30 No.795711521
誰のせいだと思っているのよ! つい言いたくなったもののキングは言葉を飲み込んだ 既に出走間近。タイキシャトルと先程あった時の事を思い出す 初対面ではなかったが時折彼女の視線が自分に向けられる時妙に鋭い理由が明らかになった トレーナーも飛んだ爆弾を用意してきたものだ もっとも彼女はボムではなくシャトルなのだが それもとびきりの、最強マイラーが恐らくは本気でこちらを潰しに来る …受けてたとうじゃないの 彼が誰のものなのかクイーンビーにはハッキリと示しておかなければなるまい ゲートはタイキシャトルが内枠2番、キングもまた7番と悪い位置ではない そしてゲートが開き一斉にウマ娘達が飛び出した
2 21/04/24(土)00:21:42 No.795711592
疾 い 流石は先行バ。出だしの集中力のみでなく内枠の動きをタイキシャトルは心得ていた 多くのウマ娘が苦しむであろうスタート直後での加速でバ群から抜け出し そしてちらりとキングヘイローを見定めると まるで逃げウマの様な加速で差をつけていく 珍しい彼女の初速に逃げウマ達が負けじと追随し他のウマ娘 そしてキングヘイローもまた続いていく しまった、とキングは歯がみしていた こちらの位置確認とあれはこちらへの挑発のつもりもあったのだろう 力んでしまった身体は緩急をつけようにも中々いう事を聞いてくれない 頭に浮かんだのは先程見た、タイキに抱き着かれるトレーナーの姿 熱くなった頭、歓声、地面を踏みしめる無数の蹄鉄の音 「菊花賞の事を思い出せ」 その言葉を思い出した時にはキングは本来いるべき中位置からは程遠い後方集団の中に居た
3 21/04/24(土)00:21:53 No.795711663
減速したキングヘイローの姿を見て記者の間からは嘆息が漏れる 短距離は、高松宮記念は良かったがそこから更にマイルは冒険をし過ぎたのではないか 彼女を見つめるトレーナーもまた勝負の行方を悟ったのか 普段の応援体制から腕組をし表情を硬くしている と、レースが終盤に差し掛かりタイキシャトルのスピードが緩んだ瞬間会場が沸き立った まさに紫電一閃、電光石火 電撃の煌めきのように加速したキングは一気に先頭集団へと追いすがり そして末脚を見せタイキを差し切り一着でゴールを成し遂げていた
4 21/04/24(土)00:22:07 No.795711736
「良いレースメイクだったな、キング」 「あら。もう少し慌てた顔でもしていればいいのに。可愛くないわね」 タイキシャトルのように飛びつこうとしていたものの トレーナーの方から手を上に抱えられ内心下唇をかみながらも ハイタッチを交わしあう二人 「まあ、途中掛かった時は俺も一瞬慌てたがな…」 「貴方のレース前の言葉を思い出したから」 「成程。しかし記者や観客からすれば君が異様に加速しているように見えたろうな」
5 21/04/24(土)00:22:17 No.795711817
つまりこうである 序盤加速したタイキシャトルによって 本人も、そして他のウマ娘もほぼ全員がかかり状態になってしまっていた そこでキングは自らのペースを普段の調子に戻した為 外から見ればあたかも彼女が減速したように見えたのである その後後方集団のウマ娘の一人の背後につき風の抵抗を減らした彼女は 掛かりによってスタミナの切れはじめる瞬間を狙い加速 そして垂れウマ達を次々と回避、溜めていた足を爆発させ一気に差し切ったのだ …かつて、菊花賞においてセイウンスカイに無理にペースを合わせた結果 余力を持っていたはずがスタミナ切れにより失速、惨敗を喫した事が活きたのだった
6 21/04/24(土)00:22:31 No.795711895
「しかし珍しいな…あそこまでタイキが掛かるのは初めて見た気がする」 「貴方もまだまだね」 ちらりと彼女を視線で探すと腕で顔を拭い、そして地下バ道に消えていくタイキシャトルの姿が見えた 今回は勝てた、が間違いなく彼女は修正してくるだろう 黄金世代ばかりが敵ではない。王の道とはなんと険しい事か 「…安田記念が思いやられるわね」 「君ならやれるさ」 「ええ。私、負ける気は無いから」 「どこ見て言ってんだ?」 キングの挑戦は未だ半ば、鞘当てもまた始まったばかりである。
7 21/04/24(土)00:26:41 No.795713319
キングとタイキがバチバチしてるのは珍しいな… いい…
8 21/04/24(土)00:29:42 No.795714200
ふふふお待ちしておりましたわ
9 21/04/24(土)00:30:46 No.795714501
罪な男…
10 21/04/24(土)00:35:44 No.795715958
いいですよね 幼い頃の約束を胸に来日したらなんか憧れのお兄ちゃんが別のウマ娘の専属トレーナーになってて脳を破壊されるの
11 21/04/24(土)00:36:08 No.795716068
このレース展開の描写の丁寧さ、スキルや掛かりの臨場感 私の性癖にあっていますよ 他の話も見てみたいですね控えめに言って最の高です
12 21/04/24(土)00:44:42 No.795718514
母乳じゃない方のグラスの怪文書とこの怪文書でかなりシリアス分が補給できたぞ 嬉しい
13 21/04/24(土)00:49:41 No.795719936
なんで最近母乳異常に増えたん?
14 21/04/24(土)00:53:38 No.795721009
月曜朝から学会が賑わってたから…