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夏のあ... のスレッド詳細

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21/04/19(月)21:30:03 No.794440256

夏のある日。 具体的に言えば世間では夏休みが始まった日の事だった。 「ねえ、花火見に行かない?」 マーズの提案を受けてカレンダーに目をやった。 カレンダーの今日の日付の部分には「花火大会!」の赤い文字が浮かんでいた。 「……よし、行こう!」 オイラは読んでいた漫画を閉じ、直ぐさま出かける準備をした。 「あら、デート?」 下の階にいるお母さんにからかわれた。 「ええ……ちゃんとお土産も買ってきます!」 マーズが先に反応し対応した。 「ふふっ、お嫁さんの心配はいらなそうね。」 「もう……そんなんじゃないってば……」

1 21/04/19(月)21:30:36 No.794440491

ー あっという間に日没になり、会場は屋台や観客で盛り上がっていた。 『こんばんわ!』 最初に出会った知り合いはお嬢様とその妹ムーンだった。 「デート?」 お母さんと同じ反応をムーンに返された。 「こらムーン!」 お嬢様が注意するも、オイラ達は笑って済ました。 ……それにしても、オイラ達そこまでカップルに見えるかなあ。 「よぉダイヤ!」 続けて出会ったのはパールとその父クロツグだった。 「パール!クロツグさんも!」 「久しぶりに休みが取れてね、一週間くらいはこっちに居られるよ。」 その後オイラ達は観客席に食べ歩きしながら向かっていった。

2 21/04/19(月)21:32:16 No.794441135

ー 「とうとう始まりますね!」 観客席に到着して少し経つと、花火を打ち上げる準備が出来たようだった。 「開幕式!開幕式!」 ムーンもおぼつかない様子で開始を喜んでいる。 だけど次の瞬間、オイラとパールとお嬢様は真顔になった。 「諸君!この花火は不完全だ!」 司会を務めていたのはアカギさんだった。 あの決戦以来行方をくらましていたアカギさんだ。 「そこで、こんなものを用意した。」 アカギさんの背後に何か巨大な物体があるのに気づいた。 ちょうど月明かりに照らされた部分にギンガ団のマークが描かれているのに気づいた。 「あれってギンガ爆弾じゃ……」 「湖の水を全部吹き飛ばしたっていうあの?」 パールとオイラが問答する。

3 21/04/19(月)21:34:27 No.794442030

「そして今日!」 ギンガ爆弾が持ち上がった。 「新世界が誕生する!」 そのままロケット弾の要領で爆弾の底面が点火した。 「5……4……3……」 そしてどこからともなく聞こえてくるカウントダウンに、周りは混沌に包まれた。 そんな状況でもマーズは笑みを絶やさなかった。 「2……1……」 カウントが二になったところで、とうとう爆弾が打ち上がった。 「マーズ!」 オイラが手を引いてもマーズは動こうとしない。 「まあ見ていなさ「0」 ドォォォン! 凄まじい轟音と共に、夜空というスクリーンに綺麗な花が写った。 その場に居た者全員が絶句する程の美しさだった。

4 21/04/19(月)21:34:57 No.794442206

「……えー以上で、開幕式を終了します。」 「続いて第二部……」 どうやらドッキリだったようだ。腰が抜けた…… ー

5 21/04/19(月)21:35:14 No.794442304

大会も終わり、オイラはマーズと二人でフランクフルトに舌鼓を打っていた。 「そういえば、なんで逃げなかったの?」 マーズは答えてくれた。 「流石のあの人もあんなところで新世界なんて作らないと思ったからよ。それに……」 「何?それにって?」 「……やっぱ言うのやめた!」 「えー!そんなー!」 柄にもなくオイラは残念がってしまった。 「それに、貴方となら一緒に死んでもいいって思っちゃったなんて言えるわけないし……」 「なんか言った?」 「空耳よ。」 「そう。」 そうして夜は過ぎていった。

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