虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/04/18(日)23:12:05 No.794185332

    「パンジーの水やりで気を付けないといけないのは灰色カビ病だな」 「カビ、ですか?」 「そう。葉っぱがね、水が滲んだような色になって褐色になった後 そこから草って灰色のカビが密生しちゃうんだ」 「やだ、気持ち悪いー」 トレセン学園中庭にある花壇でトレーナーと中等部らしき栗毛のウマ娘が会話をしている 彼女や周囲の女性と達は皆熱心に彼の話に耳を傾けていた 「原因は落ちた枯れ葉や枯れた花びらからカビが付着する事なんだけど水のやりすぎでも発生するんだ だからなるべく午前中にあげるようにしてやってくれ。そしたら夕方までには水が乾くからね」 「はい!分かりましたトレーナー!」 「うん、良い返事だな。確か君はこの間のチューリップ賞で入着してたな」 「え!?見て下さってたんですか?」 「この間したアドバイス通り上手くバ群を避けた良い位置取りだったからね」 頑張ったね、という声に栗毛のウマ娘の目が輝き、頬に赤みが差す そして何が言いたげなタイミングを見計らって女帝が彼等に近づいていった

    1 21/04/18(日)23:12:18 No.794185399

    「貴様も随分と草花の手入れが様になってきたな」 「やあエアグルーヴ」 「副会長!こんにちは!」 「うむ。お前達も精が出るな。私が卒業した後はお前達が学園の庭の手入れも担う事になる。よろしく頼むぞ」 「「はい!」」 「よし。じゃあ後は教えた通りにな。行こうか」 連れ立って歩き出した二人を女生徒達が見送る 残念そうにしていた栗毛のウマ娘を一瞬、ちらりと横目で見ながらコホン、と女帝が咳払いした 「らしくないね」 「たまたま出くわしただけだ。他意は無い」 「そう?」 実際少し前からトレーナー達の会話を女帝は聞いていたのだが彼もそこに深く言及はしなかった バツが悪そうに少し耳を垂らし始めていた彼女だったが すぐにその耳はピン、と立つ事になる 「次の日曜、空いているかな」

    2 21/04/18(日)23:12:57 No.794185610

    「ふむ?」 「少し手伝って欲しい事があるんだが」 来た、と内心女帝は思っていた 近頃業務に追われロクにトレーナーとお出かけが出来ていない事に丁度鬱憤が溜まっていた所である 彼のトレーニングからも次の日曜は休息を取るつもりだろうと予測し 生徒会の業務を半ば強引に片付け、自らドーベルやテイオーの手まで借りて終わらせている 「ふむ…少し待て。確認する」 「悪いな」 「いや、気にするな。他でも無い貴様の頼みだからな」 言いながらスマホの表面をなぞって見せるが最初から空いているスケジュールである 少しばかり無意味な操作を繰り返した後女帝がトレーナーを見上げた 「問題無い。日曜なら貴様に一日付き合う事もできるだろう」 「そうか!いや、助かるよエアグルーヴ!丁度見せたいものもあるしさ!」 「ん?ああ、そうか。まあ仕方あるまい」

    3 21/04/18(日)23:13:19 No.794185732

    尾を振りながら鼻歌交じりに業務をこなしたその日 女帝はシンボリルドルフとナリタブライアンからニヤつかれているのには気づかなかった そして迎えた日曜。二人はトレセン学園近隣の住宅街を歩いていた 動きやすい恰好で来て欲しい、と言われたエアグルーヴは若干意外そうにしていたが たまにはこうした散歩もいいなと上機嫌である 「少し歩いたが貴様の見せたいものとはどこにあるのだ」 「もうちょっとだよ。まあこの時期じゃないとな」 周辺を眺めながら何かを思い出し、エアグルーヴが顔を上げる 「この道は…そうか。トレーナー…少しばかり寄り道をしたい所があるが構わないか?」 「ん?別に構わないけど」 「今坂道を上っているが実はこの登り切った数寄屋住宅があってな… その家の入口の左右に見事な椿の柵があるのだ」 「うんうん」

    4 21/04/18(日)23:13:36 No.794185826

    「かつて中等部の頃この辺りまでジョギングに来た事があって見つけたんだが その時たまたま出てきていた家の女性に呼び止められてな。こちらが見たがっているのに気づいたらしい それからは留守が多かったのか会う事は無かったが…確か椿の品種は…」 「門の左側が侘助だな。そして右が神楽獅子」 「なんだ、よく知っているな」 「目的地だからな。ほら、見えてきたぞ」 「え?」 「俺ん家なんだよ。うちの実家だ」

    5 21/04/18(日)23:13:50 No.794185919

    「そこそこ、か…」 庭でパンジーやハーブの咲き乱れる花壇の草むしりをしながら女帝がごちる かつて自らのトレーナーに草花に関する知識を聞いた時彼はそう答えた 「別に嘘はついてないだろう」 「ふん…」 椿の剪定と根元に散った花びらを片付けているトレーナーの声から察するに苦笑しているのだろう なるほど手入れの腕が上がっていた訳ではない 最初からある程度の経験があったのをひけらかさないでいただけの話だ それが彼らしくもあり、逆に小娘の浅はかさを痛感しむず痒くもある 「しかしまあ、賑やかな庭だな」 「そっちの盆栽は親父の趣味だな。和洋折衷とでも言うのかね」 「景観は悪くない。ご両親のセンス、というやつだろう」 額の汗を拭いそして彼の母屋の方に女帝が目を移す 開かれた縁側の奥にはリビングと そして今しがた二人が上げた線香が仏壇でゆらゆらと揺れているのが見て取れた

    6 21/04/18(日)23:14:06 No.794186005

    「丁度エアグルーヴが会った後位の時期かな。元々病気がちだったお袋が亡くなってさ」 庭の手入れを終えリビングでくつろぐ女帝へとトレーナーがお茶を差し出しながら ぽつり、ぽつりと語り始めた 「その後かな。親父とはあんまり仲良く無かったんだけど家に呼ばれて 母さんの育ててた花を枯らしたくないからお前も手伝ってくれ、なんて言ってさ」 「良い親父さんじゃないか」 「そうだな。あんな真剣な親父の顔、初めて見たよ それまで生きてる内はやれ盆栽の見栄えが悪くなるだの、椿に病気が移るだの言ってた癖にさ」 笑いながらお茶を一息に飲んだトレーナーが手入れを終えた庭を一望し そして大きく息をついた 「だからさ、寂しかったんだろうな。後を追うようにぽっくりさ」 「…そう、か」 「まあ唯一の救いはこことトレセン学園が近かったことだな。仕事の合間に来ては水もやれるし」 「夏合宿の時期は貴様、どうしていたんだ」 「流石に人を雇ったよ。…とはいえ少し迷ってる」

    7 21/04/18(日)23:14:17 No.794186070

    「うん?」 「維持費は特に問題は無い ただ君がこれからより高みを目指していくのなら遠征も増えるからな 寮で育成できるだけの草花だけ残して家自体も売りにだそうかと考えてる」 「お二人の思い出の詰まった家を、か?」 「ああ。だから最後に、満開の椿を君にも見ておいて欲しかった」 「……」 トレーナーの視線は相変わらず庭の方を見ていた 女帝もまたそちらに目をやる。盆栽と、そして春の花が煌びやかな賑やかな庭だ 誘われてか蝶々も見える 女帝は虫が苦手だ。唯一天道虫だけは問題は無かったが…

    8 21/04/18(日)23:14:36 [オワリキャップ] No.794186184

    彼とも、こんな風な間柄になるとは思わなかったし 彼もまた、この様に実家に彼女を連れてくる事は今まで無かった 何より自らとのトレーニングをこなしながらこの庭を手入れしていたとは知らなかった 今、このタイミングでそれを許したのも間柄があっての事だろう ヒトは変化する。ウマ娘もまたそうだ 「トレーナー。ここは大体、学園から徒歩15分という所だな」 「そうだな」 「私もそろそろ卒業の時期だ」 「ああ」 もう一度二人は庭を見て、やがてお互いの顔を見合わせた 「「ここに住まないか」」 繰り出したタイミングが全く一緒だったので噴き出した、と二人は式の席で友人達に笑いながら語ったという

    9 21/04/18(日)23:16:07 No.794186732

    素晴らしいものを見た

    10 21/04/18(日)23:16:32 No.794186887

    女帝怪文書が今日は多く読めて眼福だよ…

    11 21/04/18(日)23:16:58 No.794187015

    はーーーー…好き

    12 21/04/18(日)23:17:41 No.794187222

    いい いい…

    13 21/04/18(日)23:20:03 No.794188020

    良すぎて良いとしか言えない

    14 21/04/18(日)23:20:54 No.794188324

    素敵な雰囲気だ

    15 21/04/18(日)23:21:10 No.794188436

    スーッと体に効いて月曜日からまた頑張れそう

    16 21/04/18(日)23:23:15 No.794189183

    女帝怪文書は増えれば増えるほど肩こり腰痛に聞くからもっとやれ

    17 21/04/18(日)23:23:23 No.794189232

    良い男と良い女の会話は身体が絶好調になるのでもっとくれ

    18 21/04/18(日)23:23:24 No.794189239

    女帝怪文書は健康に良い

    19 21/04/18(日)23:23:27 No.794189255

    複数立ってるけど女帝怪文書は身体に良いからな…

    20 21/04/18(日)23:23:58 No.794189435

    こういうので良いんだよこういうので…

    21 21/04/18(日)23:24:41 No.794189683

    春先の涼しい風みたいな謎の爽快感

    22 21/04/18(日)23:26:37 No.794190345

    最後二人で同時にがベタだけど良すぎる…

    23 21/04/18(日)23:29:08 No.794191217

    よく寝られる

    24 21/04/18(日)23:34:55 No.794193080

    女帝はトレーナーが身の上話をしてるのを告白を切り出す前準備と気づかなかったのか

    25 21/04/18(日)23:37:03 No.794193770

    女帝はテイオーばりに怪文書多いよね…

    26 21/04/18(日)23:46:24 No.794196857

    実際育成すればするほどうわいい女だこの子!ってなるのが悪い

    27 21/04/18(日)23:50:12 No.794198116

    この甘酸っぱい感じが体に染みわたってありがたい・・・

    28 21/04/18(日)23:50:12 No.794198121

    ふぉぉぉぉぉぉぉうぎぃぃぃぃぃぃよしゅぎるぅぅぅ!! 私の性癖には合っていますよ

    29 21/04/18(日)23:55:00 No.794199672

    なんとなくだけど花壇の優しい雰囲気とかから生前のお義母様の性格感じ取って仏前でつぅ…って涙流してる女帝が見えた

    30 21/04/18(日)23:58:58 No.794200945

    女帝怪文書はいずれ癌にも効くようになると期待されているからな

    31 21/04/19(月)00:08:00 No.794203604

    >女帝はテイオーばりに怪文書多いよね… しかもほぼイチャイチャばっかだから安心して読める