ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/04/17(土)14:04:54 No.793628412
「ふ、ぅ……トレーナー……」 春先の学園内は、浮ついた空気でいっぱいになる。 それは新入生が入ってきたり、選抜の時期だったり、恋だったり、クラシックシリーズの初戦だったり、控えている天皇賞だったり────春なんて、浮つく要素で満ちているのは確かだ。 しかし、この場における浮つく原因は、もっと原始的で、根本的な場所にある。
1 21/04/17(土)14:05:11 No.793628475
「レース前だろ」 「分かってる」 「追い切り」 「見たでしょう」 背中に抱きつく柔らかな感触が、いかに追い詰められたものかを示す。 ────発情期。サイクルとも呼ばれ、表向きには恥じらわれて隠されるそれは、程度の差こそあれど、学園全体の雰囲気を浮つかせる最大要因。 学生の身分には少々重たいその現象は、しばしば走る事によって発散され、そうでない、なかなか発散させられない者は、一部の低容量ピルで減退させる事が多い。 もちろん手前で発散させる者も居て、学内ではそれが悪い事ではないと、きちんと性指導の観点からも教えていると聞く。 が、しかし。それら全てに該当しない、極端な例、あるいは真面目過ぎた例ももちろん居る訳で。
2 21/04/17(土)14:05:28 No.793628562
「はやく、して」 「ちょっと待って」 「待たない」 「10秒」 うっすら汗ばんだ身体。ジャージ越しから伝わる熱気と湿気が、はっきりとその欲望を伝えてくる。 10秒。日報にチェックマークを入れて、即座に机に放る。バインダーが机に落ちる音と共に、抱きついた腕が緩む。 「いいんだな」 「言わせないで」 振り向けば、頬を染めた彼女。 息は浅く、目は潤んで、少し熱っぽい。 今の時期でなければ、その場で帰らせていたに違いない。 しかし、今は。
3 21/04/17(土)14:05:45 No.793628636
唇を重ねたと同時に、舌が割り入ってくる。 普段の毅然とした態度からは想像出来ない、情熱的なキス。 部屋中に水音を響かせながら開かれる、秘め事の序幕。 時折漏れる声と息が、その淫らさを浮き彫りにするようで、互いの情動を刺激する。 彼女の手首を掴んでいた手を離してやると、一旦行き場を失った手が、こちらの体をぺたぺたと触れて、腰へと下る。 唇を重ねたまま、じわじわと下腹部へ手が伸びる様は、この後のことをよりはっきりと予感させて、よりはっきりとそそり立たせてしまう。 意識せずとも伝えてしまうその欲の波は、彼女の手に熱と硬さで伝搬し、より互いの欲を高めていく。
4 21/04/17(土)14:06:02 No.793628733
唇を放すと、蕩けきった顔が目に入る。言葉など無意味な表情が、一層欲を煽ってくる。 ぱたん、とソファに寝かせてしまえば、それはまるで据え膳のようで、より理性を揺さぶられる。 そのまま顔を近づけると、ふと、普段は常から着けているはずの耳覆いがない事に気付く。 それだけならまだしも、横になった彼女をよく見ると、ブラもしていないように感じる。 「……そこまでして誘うかね」 「だって……」 ────どうしてもしたかったし。 そう言いたいのは、仕草で伝わってくる。 レース前。この季節でなくとも、不安は大きい。 求める気持ちは、分からなくもない。 それに応じたのも、共に背負うと決めたのも自分なのだ。 だから。
5 21/04/17(土)14:06:17 No.793628792
「あ、あっ」 「我慢しないで」 覆うもののない耳に向けて囁くたび、ぎゅうっと締め付けられるのを感じる。 ぐい、と奥に突き立てると、ますます締め付けが強くなって、余裕のない声が上がる。 上擦った、小鳥のような声。気丈に振る舞う彼女の鎧わぬ姿に、愛おしさと劣情が高まっていく。 ぱちゅ、と水音が響くたびに、着痩せしがちな彼女の胸が波打ち、視覚的な快楽を伝える。 器量の好い彼女の身体を、彼女の求めとはいえ淫らに貪る現実が、ひたすらに脳を焼く。 好きだ。間違いなく好きだ。彼女の全てが、ただ好きだ。 そんな気持ちごと、彼女に向けて打ち付けていく。 好きだ、好き、好き────
6 21/04/17(土)14:06:32 No.793628848
気付けば、彼女の柔らかな身体を抱きすくめて、うわ言のように囁きながら、乱暴に腰を打ち付けていた。 互いの欲望のままに、快楽を追っている状態。上擦った嬌声と水音、うわ言と吐息が、2人を包む。 「とれー、なーっ」 彼女の手が、一段とこちらを強く抱く。 「あ、ぁ……あいして、るっ、から、もう、言わな、ぃ、で」 揺さぶられて、上擦って、細切れになった睦言が聞こえた時、思わず腰を引く。 しかし、彼女の脚が、既に腰に回っていて。 どろりと昏い欲が目覚めて、互いに果てる。 二度、三度と注ぐ熱は、彼女の胎を、確実に染めていった。
7 21/04/17(土)14:06:46 No.793628904
「……面と向かって言ったら、安っぽくなるじゃない」 制服に着替えながら弁明する彼女の頬は、少し膨らんでいた。 思えば、なし崩しの関係のまま、面と向かって言う事はなかった。 ────互いにどこか惹かれてた、そんな程度の縁に終止符を打つ。 そんな思いで言おうとした言葉は、彼女の唇に遮られた。
8 21/04/17(土)14:07:16 [s] No.793629042
余裕のないキングが書きたかった
9 21/04/17(土)14:07:49 No.793629183
私 性 合
10 21/04/17(土)14:10:40 No.793629926
トレセン書院来たな…
11 21/04/17(土)14:11:41 No.793630203
すごいものをみた
12 21/04/17(土)14:12:51 No.793630478
キング成分補充できてありがたい
13 21/04/17(土)14:12:56 No.793630508
一流の怪文書は健康にいい
14 21/04/17(土)14:13:19 No.793630605
助かる
15 21/04/17(土)14:14:34 No.793630934
一流のウマ娘は怪文書も一流
16 21/04/17(土)14:15:11 No.793631084
(知ってる、これ多分黄金世代の誰かが一部始終とは言わずともどっか見たり聞いたりしてる奴だ…)