21/04/11(日)17:32:50 『ルー... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1618129970740.jpg 21/04/11(日)17:32:50 No.791856565
『ルールは絶対……です!』 今日はウマ娘たちの実力を見極めスカウトを行う一大イベント、選抜レースの日だ。 この日はレースに参加するウマ娘もそうでないウマ娘も、ライバル達の実力を見定めようとレース場に集まっている…… ……はずなのだが。 「ふぇ~、レース場はどっちですかぁ~?あっち?それともこっち~?」 目の前を目隠ししたウマ娘がフラフラと歩いている……! 《どうしたんだ?》 「ふぇ!あの、どなたかは存じませんが~レース場まで連れてってくれませんか~?」 《目隠しを外したら?》 「ダメダメ、絶対ダメです。ルールなので。どうかこのまま、手を引いてください~」 《わかった》 「ありがとうございます!私、ウマ娘のメイケイエールです~」
1 21/04/11(日)17:35:19 No.791857304
……そうして、メイケイエールの手を引いてレース場までやってきた。 《着いたよ》 「ありがとうございます~よかったぁ、レースには間に合ったみたい」 どうやらメイケイエールは今日のレースに出走するらしい。 《どうして目隠しを?》 「それが~、シンボリルドルフ会長に命令されてしまって~。前の模擬レースの後、『君はレースが始まるまで目隠しでもしていろ』って」 《それは酷いな》 「ですよね~?ただ他の子の靴紐を左右の靴で結んだり苦手な毛虫を服に入れたりしただけなのに~」
2 21/04/11(日)17:40:00 No.791858704
《…………》 「あれ?どうしたんですか?……もしかしてどこかに行っちゃいました?置いてかないでくださいよぉ~」 《どうしてそんなことをしたんだ?》 「へ?どうしてって……レースに勝つ為ですよ。レースは勝つ為に走る、それがルールですから」 《でも、いけないことだ》 「そうなんですか?学園のルールには書いてなかったですけど……」 《ルールじゃなくてもやっちゃいけないこともある》 「……?よくわかりません。やっちゃいけないことはルール書いてある、ならルールに書いてないことは何をやってもいい、そうですよね?」 「私はルールを守りたいんです。レースは一着になるのがルール、だからそのルールを守らなくちゃ……」
3 21/04/11(日)17:43:44 No.791859749
"次走、芝1600m……出場者は……" 「あ!出番みたいですね!行ってきます!」 そう言ってメイケイエールは目隠しを外し、立ち上がった。 「学園のトレーナーさんだったんですね。どうもありがとうございました!」 ぺこり、とお辞儀をして駆け出していく。その礼儀正しい立ち振る舞いからは、とても先程の言動の異質さは感じ取れなかった。
4 21/04/11(日)17:54:38 No.791863163
"レース、スタートです!" せっかくなのでメイケイエールのレースを見ていくことにした。彼女はどんな走りをするのだろう。 "おおっとメイケイエール、少し出遅れたか!?" 立ち上がり、彼女は少し出遅れた。とはいえこれは選抜レース、走っているのは皆デビュー前の新人ウマ娘だ。立て直すチャンスは十分にあるはず…… 結局メイケイエールはバ群に包まれる形になったまま、レースは第四コーナーに突入。そこで彼女に異変が起きた。 「……このままじゃ負けちゃう。レースは一着でゴールするのがルール、レースは一着でゴールするのがルール……」
5 21/04/11(日)17:57:42 No.791864036
彼女は走りながら、まるで何かに耐えるかのように激しく身を震わせている…… 「私にルールを!破らせるなぁ!」 "おおっとメイケイエール、ここで激しく首を震わせながら前に出た!前方のウマ娘を弾き飛ばさんばかりの勢い!" 彼女は全身で敗北を拒絶するかのように激しく首を上下に動かしながらラストスパートをかけた。その剣幕に思わず他のウマ娘たちは道を空けてしまう。 そして彼女はその一瞬の隙を見逃さなかった。 "メイケイエール、完全に抜け出した!脚色は衰えない!メイケイエール、一着でゴールイン!" 全速力でゴール板を駆け抜けたメイケイエール。その表情は、先程の剣幕が嘘のように晴れやかな笑顔だった……