21/04/01(木)17:00:59 一流が... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
21/04/01(木)17:00:59 No.788807503
一流が邪魔をする 単なる不器用と言ってしまえばそれまでだが キングヘイローは己の素直な感情を吐露する事ができない 無論トレーナーや親しい友人達はそんな彼女を受け入れ、そして理解してくれる それが嬉しくもあり時に弊害となるケースもあるのだと彼女は改めて思い知った URAを優勝しても尚、トレーナーとは抱擁以上の進展は無かった もどかしい、が進めない 悶々と過ごして既に3年が経過していた あの夕暮れのグラウンドではっきりと自覚してしまったものの 彼女は一人の乙女である以上にウマ娘であり、彼はトレーナーだった 優先順位が生まれる。最優先は走る事、勝利を得る事である 結果は残せた以上少しだけできた今が暇なのだという自覚はあるが さていざ!という段階に至って普段後押ししてくれるトレーナーはゴールにいる どうしたものか。散々迷った挙句彼女はゴールの方へと声をかける事にした
1 21/04/01(木)17:01:11 No.788807536
「なら、邪魔の入らないようにしようか」 ちょっとしたおまじないのようなものだ、と彼は寝室で毛布を取り出した これを二人でかぶれば少なくとも周りからは見えないしお互いどんな顔をしているか分からない 年頃の女性が相手の自宅の寝室に来ている時点で既に勝負がついているのようなものだが それでも最後の一歩、は結局踏み出しきれない事もあるものだ いわば末脚か、とキングヘイローは納得する事にした 我ながら単純だと思うが、向こうから伸ばされた手を取らない程野暮ではない こうでもしなければ動けない自分も悪いのだ 情けない。何が一流か、だが今は心配がいらない 仮にみっともない所を見せたとしても毛布の中にいるのは自分とトレーナーだけなのだから 誰も見ていないし、誰も邪魔をしない 何をしてもいいし、トレーナー以外に聞いている相手はいない
2 21/04/01(木)17:01:21 No.788807563
ばさり、と毛布に包まれ視界が闇に包まれると 自然と彼の臭いが鼻腔に侵入し そして何かのスイッチが自分の中に入った気がした ごつり、という衝撃 身を寄せ掛かった事により彼のおでこに自らの額をぶつけたせいだったが とまらない キングヘイローは止まらなかった ぶつけた額を支点に唇を突き出す。柔らかい感触と漏れた吐息に身体が熱くなるのを感じながら そのままトレーナーの背中に手を回しより密着する ゆっくりと唇を割り開いていくと自らの舌に相手の粘膜の感触がした 視覚が奪われている分敏感になるのはその他の五感である 探り当てたトレーナーの舌を絡めとり、唾液を流し込み、己の口内へと誘導し、吸い付く 空気が漏れたのか卑猥な音がしてどちらのものか分からない鼻息の音 肺を満たすのは酸素ではなく、互いの吐息のせいか思考が鈍っていく
3 21/04/01(木)17:02:01 No.788807675
単純化していく思考が身体に与える命令はシンプルである トレーナー、トレーナー、トレーナー、トレーナー もっと、くっついて、だきしめて、ちかくで 倒れ込む様に横になった毛布の塊がもそもそと西日の差し込む寝室で蠢き 時折思い出したように声が漏れる 異様な光景だがこれを咎めるものはいないし 中身で何が起きているかを想像するものはいても、観察者はいない 結果として宿願は叶ったが キングヘイローが用意してきた勝負下着は見せる前に台無しになってしまったし この日の経験は強烈に二人の脳裏に刻まれてしまった 失敗なのか、成功なのかは分からない ただ少なくとも二人が再び事に至る際は毛布を被る事になるのだろう。