ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/04/01(木)12:11:44 No.788754915
「待った~! 待った待った!」 トレーナーの南坂が会議室のドアを開けようとしたらツインターボの駄々声が聞こえて来た。 「あんたね……何回待ったって言うのよ。実際のレースじゃ待ってくれないんだからもっとちゃんと考えなさいよ」 ナイスネイチャがあきれ声で言うと向かいに座っているイクノディクタスも続ける。 「そうですよターボさん。今回もマルゼンスキーさんは戻してくれますけどレースでは待ったなんてありえませんからね」 「えぇ……」
1 21/04/01(木)12:11:56 No.788754964
「うぅ~悔しい悔しい悔しい~!!!」 いつの間にか戻す事前提で喋っているイクノにもあきれ気味のネイチャである。ターボは悔しさのあまり地団駄を踏んでいた。何度も見た光景である。 しかし、対戦相手のマルゼンスキーは少し笑みを浮かべながら両取りヘップバーンだった角を自分の手駒に戻してくれた。 「すみませんマルゼンスキーさん。ツインターボの我儘に付き合わせてしまって」 「いえいえ」 南坂は袋から差し入れのペットボトルのお茶を取り出しマルゼンスキーに差し出す。 「ターボもそれちょうだい!」 はいはいと南坂がお茶を差し出すとターボは勢いよく封を開け喉を鳴らしながら一気に飲み始めた。ぷはぁっと息を吐いて置かれたペットボトルにはお茶が半分も残っていなかった。
2 21/04/01(木)12:12:36 No.788755114
チームカノープスでは週に一度メンバー同士で将棋を打ち合い研究するトレーニングを行なっている。 ナイスネイチャはB級戦法と呼ばれる奇襲戦法を好み、相手を嵌める事が得意だ。反面、それを受けられるとそこからの攻めが弱いのが目下の課題となっている。 イクノディクタスは定跡をよく知り基本に忠実である反面、奇襲戦法などは苦手な印象を受ける。とは言え正攻法をよく知っておけば奇襲戦法には対処できるだろうし、このまま上達すれば一番伸びる可能性がある。
3 21/04/01(木)12:12:47 No.788755159
>両取りヘップバーン 駄目だった
4 21/04/01(木)12:13:35 No.788755359
マチカネタンホイザは将棋の初心者ではありながら中々筋が良くこれから定跡を覚えていけば伸びそうなポテンシャルがある。とは言え、そこから伸びるのは本人の努力と素質次第だろうか。 ツインターボは将棋の経験者であるのだが……正直言ってカノープスの中では一番弱い。相手陣地に攻める事しか考えずに自陣が疎かになってそこを突かれてしまう。そして突かれるとツインターボは待ったと言って止めてしまうという典型的な下手っぴだ。だから南坂はこの将棋トレーニングはツインターボの為に行なっていると考えていた。
5 21/04/01(木)12:13:56 No.788755442
今日はマチカネタンホイザがオフの為、マルゼンスキーに将棋を打ってもらうようお願いしたのもその為だ。 聞くところによるとマルゼンスキーも最近将棋トレーニングを始めたらしく、メキメキと腕を上げトレセン内では噂になっていた。そんな彼女ならツインターボは積極果敢に挑むだろうし、彼女はそれに応えてくれるだろう。南坂が考えていた目論見は当たっていた。
6 21/04/01(木)12:14:19 No.788755523
マルゼンさんなら豊川語録を履修しててもおかしくないな…
7 21/04/01(木)12:14:26 No.788755546
「でもターボちゃんも最初と比べると強くなったわね」 まだどの手にしようか考えているツインターボにマルゼンスキーは声を掛ける。 「そっ、そう?」 「さっきまで悔しそうにしてたのにちょっと褒められると直ぐに嬉しそうにする所がターボちゃんのいいところよ」 マルゼンスキーはそう笑いながらお茶を一口だけ飲み元に戻した。
8 21/04/01(木)12:15:05 No.788755664
その後もツインターボとマルゼンスキーとの対局は続き、ツインターボの攻めをマルゼンスキーがひたすら受け続けていた。 「でもね、将棋は受け続けても最後に勝てばそれでいいの。レースも同じ事。はい、両取りヘップバーンね」 そう言いながらマルゼンスキーが差した急所の手にツインターボは口をあんぐりと開け頭を抱えた。 「うわぁ……」 「あれ、ターボ待ったは?」 「もうこれを打たれたらその先どう打ってもターボの負けだよ……」 ツインターボは意気消沈した様子で「参りました」と頭を下げるとマルゼンスキーは持っていた伊達眼鏡を掛けて右手の甲でクイっと上げ、ニヤリと微笑んだ。
9 21/04/01(木)12:15:55 No.788755845
「やっぱりターボさんは上手くなってますね」 「そう?」 「ええ、だって今まで詰められててもひたすら待ったをかけてましたけど、今回はそうなる前に頭で考えて気付いて投了したんですから。つまりそれだけターボさんは自分の頭を考えられるようになっているんです」 未だに少し落ち込んでいるターボをイクノは励ましてくれているのだろうか、掃除をしながら南坂はそう思ってるとイクノは次にこう続けた。 「それにマルゼンスキーさんに負けても将棋ウォーズならターボさんでも勝てますよ」 「将棋ウォーズ……?」 「えぇ、将棋ウォーズというのはパソコン・スマートフォンからプレイできる基本無料の将棋対戦ゲームで、全国の人とネットで24時間年中無休で対戦できるんです。そのせいで私も最近は寝不足でーー」 イクノが最近夜ふかし気味だったのはそのせいだったのか! 南坂は慌てて間に入りどうにかしてツインターボに将棋ウォーズをやらせないよう説得するのであった。
10 21/04/01(木)12:17:12 No.788756101
マンモス語録とマルゼンスキーの親和性の高さよ
11 21/04/01(木)12:17:55 [s] No.788756275
以上。 マルゼンスキーは豊川語録を使いこなすだろうなと思って書いた。 でも将棋はまだふわっとしか分からないから具体的な事はあんまり書けないんだ……
12 21/04/01(木)12:21:00 No.788756998
持ち時間1分切れ負けならターボが強い説
13 21/04/01(木)12:24:45 No.788757831
賢さCくらいはありそうなターボだ
14 21/04/01(木)13:11:13 No.788768264
寝不足はやめろ!
15 21/04/01(木)13:41:29 No.788773709
将棋を打つ ではなく 将棋を指す だと覚えてほしい 将棋において「打つ」は持ち駒を盤上に置くことを限定的にそう呼ぶだけで 将棋をするという行為は「指す」しか使わない