21/03/27(土)23:45:58 その昔... のスレッド詳細
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21/03/27(土)23:45:58 No.787418732
その昔、トレーナーさんには種がありませんでした。 タキオンさんの薬がそれを解決すると、展開のアヤで種は私のものになりました。 それから色々あって…今日はそう、私が学園を去ってからの話になります。
1 21/03/27(土)23:46:09 No.787418787
ドリームトロフィーを終えて、私は引退することになりました。 もちろんレースに未練はありましたが、それよりもお母ちゃんになることの方が大事でしたので。 「早く戻ってこないとあんたの娘たちみんな、私が取っちゃうよ?」 ってお母ちゃんから脅されちゃいましたし。 人から取っておいて取られるのがイヤだなんて、卑しいにもほどがありますよね。 でも、私の娘ですから。私たちの娘ですから、あげません。 「なるべく週末にはそっちに行くからな」 「はい!…あ、いえ、無理はしなくていいんですよ?」 「バカ言うな。俺だって娘たちに会いたいんだ」 「そ、そうですよね」 みんなとは…そして、トレーナーさんとは離れ離れになってしまいます。 …どうしても悲しいのが抑えられなかったので、沢山泣いちゃいました。でも、どうにかこうにかお別れをして…トレーナーさんと一緒に北海道の実家へと出向きました。 「それにスペ、お前にも…引退したからって、食べすぎて太り気味にはなるなよ?」 「…はい!」 私って奥さんなのに、娘みたいにあやされるとつい嬉しくなっちゃうんです。ああもう、夫婦なんだか親子なんだか。
2 21/03/27(土)23:46:25 No.787418874
そのまま見送る流れかと思ったんですが、 「行きたいところがあるんだ」 と言われ、私は夫とある場所へ向かうことになりました。 てっきり私の知らないところかと思ったら、そうではなくて…行き先は、産んでくれたお母ちゃんのいる墓地なのでした。 先にお母ちゃんのお墓へとお参りをしたのち、私たちは目的地へと向かったんです。 ほんの数十メートルくらいしか離れてなくて…でも、トレーナーさんは何度かこの墓地へ来た時、一度だってそのお墓を訪れようとはしませんでした。きっと彼には、それくらい遠かったんだと思います。 「あー…えっと、久し振りだな」 トレーナーさんは照れくさそうにそう言いました。 「…意気地のない男で悪かった。いや、意気地がないのは今もか…とりあえず、やっと来れたよ」 夫はそう言うと、墓石の頭を撫で始めたんです。 …気のせいかもしれませんが、私はその時墓石がウマ娘の姿に変わるのを見ました。 いえ…後から聞いた話と総合すると、奇跡が起こったと言うべきでしょう。私が見たそのウマ娘さんは、ティアラ路線の歴代最強と名高い方で…彼の教え子で、恋人で、それから婚約者でした。
3 21/03/27(土)23:46:52 No.787419023
「俺が種無しだって分かっちまって、別れようって言った時…お前には随分怒られちまったよな」 かつての夫は、その方と幸せな家庭を作りたかったそうです。 ですが彼の男性不妊を解決する方法は当時見つからず…その時にもしタキオンさんがいたなら、あるいは彼女が私の場所にいたんでしょうか。 『なんでそんなこと言うの!?ひどいよ!』 でもそうはならなくて、トレーナーさんと彼女はケンカ別れをしてしまいました。 チームの要であった彼女がいなくなると、当時トレーナーさんが率いていたチームは低迷。 やがてチームから離脱者が出だした矢先、 『と、トレーナーさん!』 『どうした?』 『──さんが!──さんが心臓麻痺で!』 怪我で休養中だった彼女は、現役復帰を焦るあまり身体を苛めすぎていたそうでして、練習中に突然前のめりに倒れ…そのまま亡くなってしまいました。 当時の夫は荒れに荒れ、彼女が移籍したチームのトレーナーさんに暴力を振るい、謹慎処分を受けました。 『…俺、辞めます』 悪い出来事が次々に重なってしまい…決定的に折れてしまった彼に、トレーナー業を続ける理由はありませんでした。
4 21/03/27(土)23:47:06 No.787419111
トレセン学園を去った後のトレーナーさんは、相当に落ちぶれていたそうですが、 「でも俺見ちまったんだよ…絶対ってヤツを。それとさ、その絶対が打ち破られた時に思ったんだ…いつか、俺の見込んだ、俺が育てたウマ娘が…同じようなことを出来たらって…そう、思っちまったんだよ…」 そんな彼の目に、不世出のスターが飛び込んできました。 「それから、もう終わったって言われてたウマ娘がさ、そんなの知ったことかって年末最後の大一番を制したのを見ちまった」 次にやって来た人もまた、不世出のスターと呼ぶにふさわしい人で…夫は、失くした夢を取り戻しに行くことを決意したんです。 それでどうにかトレーナー業を再開出来たわけですが、本当に立ち直るまでにはスズカさんとの出会いを待たなければいけませんでした。 その時を迎えるまで、ゴールドシップさんが支えていなければどうなっていたことでしょう。 「ああ…俺は助けられてばかりさ」 そう自嘲し、苦笑いをしたトレーナーさんは、 「そんな俺だが、最近やっと助け合えそうな相手を見つけた。このスペシャルウィークさ」 急に紹介されて驚きましたが、確り頭を下げました。
5 21/03/27(土)23:47:24 No.787419212
「…俺はさ、ホントウマ娘に助けられてばかりで…それにおハナさんからも散々。ああ、よくもまあトレーナーをやってられたなって思うよ」 夫の目が潤んできました。 彼がこうして彼女の元を訪れようと決意するまで、どれほどの苦悩があったことでしょう。 …なんにせよ、トレーナーさんはここにいます。私と一緒に訪れました。 「お前や、今いるチームの連中も…正直、俺には過ぎた教え子だって思うよ。でもな…」 トレーナーさんは彼女から手を離すと、そのまま真っすぐ彼女を見据えて言いました。 「曲がりなりにもお前たちに選んでもらえるトレーナーになれたことが、俺の誇りだ」 ああ、あの目です。 あの目を見た時から、私は彼に惹かれていたんでしょう。この人になら騙されたっていいって思いました。 いや…騙されはしませんでしたが、旅の道連れにはなりましたね。 ──そっか。うん、ありがと。 確かにそう聞こえました。 互いに見合った私たちは、きっと狐につままれたような顔をしていたに違いないんです。
6 21/03/27(土)23:50:05 No.787420073
イイハナシダナー
7 21/03/27(土)23:53:01 No.787421005
このシリーズだいぶ前だな
8 21/03/27(土)23:59:50 No.787423215
スペェ…
9 21/03/28(日)00:09:05 No.787426199
トレーナーさんの種はたくさん受け継がれるのだ
10 21/03/28(日)00:16:27 No.787428558
やはりトレーナー君の種はウマ娘たちの幸福のために使われるべきでは?会長は訝しんだ
11 21/03/28(日)00:27:10 No.787432171
トレーナーさんの体質が受け継がれるかはタキオンは興味あるだろうな
12 21/03/28(日)00:36:09 No.787435295
はい、寝る前にスペちゃんのお話聞きましょうね 引退したから思う存分トレーナーさんとうまぴょいしようとしたんですよ そしたらトレーナーさんったらパイプカットするだなんて言い出しましたから、私がどうしてって尋ねたら、もう8人も子供がいたら十分すぎるしお前も出産の時結構危なかったろって言うじゃないですか なるほどぐうの音も出ない正論だと思いましたが、その一方でどうしても諦めきれないのが私でした 「そう言わずに勢い任せで」「ダメだ」ううん、取り付く島もありません 「私の分もお願い」いやあ、急に出てきて驚きましたよ、スッと消えていったからてっきり成仏なされたのかと 幽霊さんがエイヤと一声、トレーナーさんはたちまちに目が血走りうまだっちしたではありませんか 「やめてくださいトレーナーさん!差し切り体勢で来てください来てください!」 「おうよ」たちまち彼の切り開く者が迅速果断に私のゲートで差しのコツ◎を発揮しますと、あっという間に私のゴール板へと到達 それで終わりかと思ったら「今度は菊花賞だ」とトレーナーさんは仰り、別腹タンクまでも… よし、お話終わり 寝てもいいですよ
13 21/03/28(日)00:36:58 No.787435581
は。?
14 21/03/28(日)00:37:18 No.787435703
スペ。
15 21/03/28(日)00:41:28 No.787437168
ガビガビさん!それをスペちゃんのところ以外でもやってくださいよ!
16 21/03/28(日)00:44:02 No.787438035
別腹タンクってそういう…
17 21/03/28(日)00:45:57 No.787438647
今度は9人って話だったな…