21/03/27(土)14:26:22 春の天... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1616822782294.png 21/03/27(土)14:26:22 No.787243714
春の天皇賞で、メジロマックイーンに勝ちたい。 そうライスシャワーが言ったとき、トレーナーは自身が彼女のトレーナーであることを神に感謝した。 菊花賞でミホノブルボンを下した実績を考慮すれば、ライスシャワーがメジロマックイーンに勝てる可能性は存在する。たとえ低くとも確かに存在するのだ。そして、ライスシャワーは必ず勝つであろう。自らに過酷なトレーニングを課し、命を燃やして、低い勝率を100%まで押し上げるのだ。 だからトレーナーは自身がライスシャワーの担当であることに感謝する。この子をひとりで特訓させずに済むからと。見守ってやれるからと。 「……ライスちゃん。覚悟はできてるのね?」 「うん。オネエさま、ライスを限界まで追い詰めて」 敵は王者メジロマックイーン。速さとスタミナ、そして経験さえも現在のライスシャワーで足元にも及ばない。 そこでライスシャワーは精神力が必要なのだという。王者とのあいだに足りないものすべてを精神力で補おうというのだ。
1 21/03/27(土)14:26:49 No.787243822
「……わかったわ」 ところで、このトレーナーという人物は精神論を嫌う節があった。確かにレースはあらゆる要素が結果を左右する。精神もまた然りだ。だが精神力ありきのやり方は、まるでウマ娘の健康や未来をベッドして挑むギャンブルのようなものだと捉えている。大事な大事なウマ娘のそれをたった一度のレースに賭けていいものかと、そう思うがゆえにトレーナーはこれまで精神論とは対角にある理論を以ってトレーニングを施してきた。 しかしである。 ライスシャワーというウマ娘はこの精神力こそがもっとも強い武器だった。敗者の表情に傷つく優しい性格に普段は隠れているが、ごくごく稀に覗ける凄まじい執念。加えて自身の能力を精確に測れる分析力。 つまり彼女が実力差を精神力で埋めれば勝てると判断したならば、それは確かな事実なのだ。この華奢なウマ娘は精神力さえあれば王者すら凌駕しうるのである。
2 21/03/27(土)14:27:03 No.787243865
かくしてライスシャワーとトレーナーのトレーニングは始まった。 それは見る者すべてを戦慄させる凄まじい内容だった。 上り坂でタイヤ引きをさせる。体力が尽きるまで走らせた上でさらにコースを一周させる。あまつさえ前の周より常に速く走ることと指示しながらコースを五周させることもあった。 それは春の天皇賞3200メートルという長距離で、確実に障害となる疲労という要素と徹底的に向き合わせるトレーニングだった。 もちろんそのあいだ、トレーナーはただ走る担当ウマ娘を見ているだけではなかった。 ライスシャワーの疲労の度合い、フォームの乱れ、ペースの乱れ。それらを一瞬たりとも見逃さないよう常に神経を張り詰めて観察していたのだ。 ウマ娘とトレーナーが最も恐れるのはトレーニング中の怪我である。だからトレーナーはあらゆる可能性を考慮し、怪我に至る要因をことごとく潰していくことにした。
3 21/03/27(土)14:27:20 No.787243915
疲労からライスシャワーの足が乱れれば即座に檄を飛ばし自覚させ、集中が途切れればすぐさま注意する。限界のその先の、決して越えてはいけない一線を常に睨みながらトレーニングを管理してきた。 あまりにも過酷なトレーニングゆえ、震えながら歯を食いしばる小さなウマ娘がいた。だが彼女は決して弱音を吐かなかった。それを見て拳を握って目に涙を浮かべるトレーナーがいた。だが決して涙を溢すことはなかった。 そんなふたりだが、一度だけトレーニング中に大喧嘩をしたことがある。 ライスシャワーの疲労と注意力が振り切れ、怪我の危険性が大きく高まる場面があったのだ。 トレーナーは即座に休憩を指示した。だがライスシャワーは首を振った。互いに譲らず、それはもう大喧嘩になった。ただ、互いに相手の気持ちを痛いほどよく理解していたため、禍根が生まれることはなかった。
4 21/03/27(土)14:27:35 No.787243975
いよいよ天皇賞を翌週に控えたトレーニング終盤の頃、トレーナーは一計を案じた。 数人のトレーナー達に声をかけたのである。彼らはクラシック級のウマ娘を担当するトレーナーだった。他にもうひとつ共通点を挙げるとすれば、みなクラシック三冠を目指す者たちだった。 クラシック三冠といえば、それは菊花賞を含むG1レースを指す。 菊花賞での勝利を目指す彼らにとって、ライスシャワーのトレーナーが持ちかけた『前年の菊花賞優勝者と模擬レースしてみないか』という誘いは、これ以上ないほどに魅力的だったのである。もちろん二つ返事で引き受けた。 集まったのは4人のトレーナー達に対して、ライスシャワーのトレーナーはひとつのルールを説明して困惑させた。
5 21/03/27(土)14:27:48 No.787244015
なんと全員で一斉にレースさせるのでなく、1対1のレースを四回連続で行うというのである。未来の三冠を目指すウマ娘たちはリレーのように交代して走るが、ライスシャワーはひとりで立て続けに走る。3000メートルの距離を、四回もだ。 狂っている、と誰かが言った。 だがその一言は欠片も響くことはなかった。ライスシャワーも、そのトレーナーも、自身が狂っていることを重々理解していたのである。 ライスシャワーのトレーナーは、この模擬レースで闘争心を補強しようと狙っていた。長距離の走行によって疲弊した肉体で、意気揚々と前を走ってゆくウマ娘を見せつけるつもりだった。
6 21/03/27(土)14:28:02 No.787244072
一戦目。未来の菊花賞を狙うウマ娘との模擬レースは、ライスシャワーの勝利に終わった。 誰もが予想した結果である。やはり前年度優勝者は強いと笑うウマ娘とそれを慰めるトレーナーの姿が見られた。 そして二戦目。さすがに勝つだろうと考えていた各トレーナーたちは予想を裏切られることになった。ライスシャワーが再び勝ったのである。 ここまで来るともう誰もが冷静ではいられない。菊花賞優勝のハードルはこんなにも高いのかと唸るしかなかった。 続く三戦目。その結果は。 「嘘だろ……」 「おい、一戦目のときよりタイムが上がってるぞ……!」 「ありえない、こんなの」 ライスシャワーの勝利。 模擬戦相手のウマ娘に2バ身の差をつけた勝利だった。その場にいた誰もが動揺する。ライスシャワーのトレーナーさえも例外ではなかった。集められたウマ娘たちは誰もが新進気鋭のステイヤー達である。決して弱い相手ではない。中には重賞を獲得した娘すらいた。 だが、そんな相手にライスシャワーは、既に3000メートルを二周して披露した状態で勝利したのだった。
7 21/03/27(土)14:28:19 No.787244148
最後の四戦目。 二人のウマ娘が第三コーナーを駆ける。ここまではライスシャワーが二番手で、先頭を若きエースに譲っていた。しかし、差は2バ身に満たない。 誰もがこれ以上はありえないと思っていた。その一方でもしかしたらと予感を抱いていた。 続く第四コーナー。差は1バ身。先頭をゆくウマ娘から悲鳴にも似た呼吸が上がる。ありえない。ありえないのだ。既に9000メートルを走った相手に差を詰められるなど。 ゴール前の長い坂。 そこで彼らは信じがたい光景を見せつけられる。 差は1バ身。 「嘘だ、こんなの!」 「悪夢でも見てるのか……!?」 差は1バ身。しかし先頭はライスシャワー。 「いいえ、奇跡よ! ライスちゃん、頑張って!」 先にゴール板を踏んだのもまた、ライスシャワーだった。
8 21/03/27(土)14:28:36 No.787244211
「……勝った」 すべての模擬レースを終えて、漆黒のステイヤーから小さな呟きが溢れる。 勝った。 そう、勝った。 模擬戦の相手にでなく王者メジロマックイーンに対して、ライスシャワーは静かに勝利を確信した。 翌週に控えた天皇賞、春。 日本の激震する瞬間が目前まで迫っていた。
9 21/03/27(土)14:30:23 No.787244636
事実通りなら緩やかに下がる民度…
10 21/03/27(土)14:31:08 No.787244809
つよい
11 21/03/27(土)14:31:25 No.787244872
これは鬼が宿ってる
12 21/03/27(土)14:31:27 No.787244884
黒オーラ出てるな
13 21/03/27(土)14:37:06 No.787246158
限界まで削ぎ落とした肉体に鬼が宿った…
14 21/03/27(土)14:38:42 No.787246524
これは黒い刺客
15 21/03/27(土)14:39:01 No.787246620
やはりオカマは最強…
16 <a href="mailto:s">21/03/27(土)14:39:32</a> [s] No.787246751
書いてるうちにだんだんとオネエ様の影が薄くなっていってこれ大丈夫かなと思ったけどもういいやと思ってそのまま書いちゃったから許してほしい
17 21/03/27(土)14:40:55 No.787247067
超許すよ…
18 21/03/27(土)14:41:14 No.787247134
いやオネエさまだからこその安心感はあったぞ
19 21/03/27(土)14:42:27 No.787247421
怪文書なのにカッコいい
20 21/03/27(土)14:42:33 No.787247441
これは右目に蒼が宿る
21 21/03/27(土)14:44:10 No.787247807
ライスも辛いだろうけどオネエ様もすっげえ睨みつけるような視線をぶつけてるのは分かる
22 21/03/27(土)14:46:12 No.787248323
極限まで情を削ったオカマに鬼が宿る…
23 21/03/27(土)14:46:19 No.787248337
ヒールか ヒーローか 悪夢か 奇跡か
24 21/03/27(土)14:46:43 No.787248442
これは最強のステイヤー…
25 21/03/27(土)14:51:51 No.787249685
辛口の釜飯ありがたい…… 願わくばこのまま原作を破壊していただきたい……
26 21/03/27(土)14:52:42 No.787249890
良いんだ今ここにいるのはオカマとウマ娘ではなくヒットマンと刺客なのだから
27 21/03/27(土)14:54:51 No.787250416
いつもと雰囲気が違う…ってなるんだ
28 21/03/27(土)14:55:38 No.787250598
ウマ娘じゃない生き物来たな…
29 21/03/27(土)15:03:17 No.787252314
アチシは男でも女でもそしてオカマでもなくなった…残ったのは鬼だけ…!
30 21/03/27(土)15:07:19 No.787253233
釜飯から鬼握りに…
31 画像ファイル名:1616825369944.png 21/03/27(土)15:09:29 No.787253760
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
32 21/03/27(土)15:09:58 No.787253879
>男か >女か >オナベか >オカマか
33 21/03/27(土)15:11:21 No.787254177
>1616825369944.png 随分…鍛え直したな…
34 21/03/27(土)15:11:32 No.787254220
OPにいたよねライスの後ろで腕組んでるオカマ
35 21/03/27(土)15:12:00 No.787254326
su4721540.jpg
36 21/03/27(土)15:18:15 No.787255855
>OPにいたよねライスの後ろで腕組んでるオカマ ネバーギバーのところで黒いコートたなびかせて後ろにいるオカマ…
37 21/03/27(土)15:26:00 No.787257710
1993年のステイヤーって言ったらBNWか まだ負けない方程式の頃のおビワさんだな
38 21/03/27(土)15:27:17 No.787258047
模擬レース相手がみんな無理ぃぃぃ!ってなってるのはわかる