ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/03/27(土)08:42:17 No.787174869
いつもと違うお布団に包まれて迎える、何度目かの朝。 毛布の中は暖かくて、柔らかくて。ずっと微睡んだままでいられたらいいのに、お日さまの光線は無慈悲に瞼を撃ち貫く。 「霧子」 カーテンを開けたあの人の声が聞こえる。優しく頬を撫でる手に、目を閉じたままわざとらしく擦り寄る。 「仕事、行ってくるよ」 別れの言葉を短く告げて、あの人も私から離れていく。 冷蔵庫に入れられたご飯は一食分。朝も昼も、今の私にはあまり違いのないものだから。「お腹が空いたらなんでも食べていい」って、あの人はいつも寂しそうに笑う。 這いずるように布団から出て、ぼさぼさの髪も直さないまま無為に掃除機をかける。どこかに汚れがある訳じゃなく、ただ心が汚くなったから。 人生みたいに無意味な掃除を終えてしまった後は、墓標にも似た白いソファーに倒れ込む。 無理矢理目を閉じて、不快な眠りに幸せを夢見る。 アンティーカとして活動し続けた時の私。医大生として勉強に励む私。どれほどの理不尽にあっても諦めず、誰も憎まずにいられる私。 目を覚ましたら、また涙が溢れていて。締め切ったカーテンの向こうでは小鳥が春の歓びを謳い上げていた。
1 21/03/27(土)08:48:54 No.787175770
何かあった霧子
2 21/03/27(土)08:50:17 No.787175942
アイドルにもお医者さんにもなれなかった霧子
3 21/03/27(土)08:53:04 No.787176317
やめんね！！
4 21/03/27(土)09:05:56 No.787178029
やることを無くして無為に日々を過ごす霧子は美しいと思います
5 21/03/27(土)09:16:26 No.787179501
大事なものを得たが多くを失った霧子
6 21/03/27(土)09:26:51 No.787181015
霧子はかなしかね～…
7 21/03/27(土)09:40:44 No.787183466
>大事なものを得たが多くを失った霧子 代わってあげるっすよ